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誓いの花 STAGE12

失ったから失いたくないのか。

失うのが怖くて躊躇うのか。

どちらも『根拠』の上の『仮定』。

だが、やり方を間違えてはいけない。

本当に大切なものなら、その過程で傷つけてもいけないのだから…。





Flower of an oath〜誓いの花〜 STAGE12





「………あそこの、砦なんだよな?クロス」


「ああ。オルウェが飛んで行った方角から見て、あそこで間違いないはずだ」


エリルにテレポートしてきたロゼ達。
この場所に来たのには勿論理由あってのことだ。

クロス、そしてコスモスの証言で、ハルがいるのは北東にある砦なのではないかとなった。
微かな手掛かりだったが、ロゼにとっては重要だった。


「はあ…」


「って、ロゼ?どうした?」


だが、それよりも……


「いや、灯台下暗し……だと思ったんだ。それだけだ」


どうもロゼとしてば近くにいたのに気付けなかったことが問題のようだ。
まあ、気持ちはわからなくもないのだが。
…………………ん?



「………ここには、すべてが終わってから来たかったわ」



コスモスは、やや複雑そうな表情を少し前から続けていた。
この呟きはロゼとクロスには聞こえなかったが、クロスはロゼに耳打ちする。



「なぁ…、姉さんの様子、どう思う?」

「………ビスカ兄さん、じゃないか?」

「あー。…ところで、ロゼはいいのか?2人の関係」

「当人達に任せとけ…と言いたいんだが、俺は今、お前の気持ちもわかる気がする…!」

「……だよな。姉さんだもんな」


注:すべて小声での会話です


ところで、噂をすれば(以下略)という言葉がある。
今回も、そうだったようである。



「ロゼ、戻って来てたのか?………あれ、コスモス!?」



あ、ビスカが現れた!



「……作者、真面目にやれ」←クロス



あーごほん。
ともかく、ロゼはすぐにビスカの声に反応していた。



「…ビスカ兄さん。今は仕事じゃないのか?」


「今日は夜勤だからね。」


「ふーん。………ところで、コスモスさん?」


にっこり微笑みながら、ロゼはコスモスを呼んだ。

彼にしては珍しい、少し悪意を込めた笑みだった。


「な、何っ!?」


聞くからに動揺しているようなコスモスの声。
この瞬間思わずクロスが「ロゼ、お前…そんな奴だっけ?」と言いかけたのは別の話である。


「言いたいことがあるなら本人に直接言えばいいじゃないですか?」


その言葉に動かされたのだろうか。
コスモスはロゼの前……いや、ロゼが後ろに下がったとも言うが……に立つと、ビスカに言った。



「答えて、ビスカ。あの時の言葉は、まだ有効かしら?」



はっきりと、だが少し震えた声での問いかけ。

ロゼやクロスは知らないのだが、2年と少し前、彼女はここでビスカに切り出された話があった。
ここまでちゃんと読んでくださっていれば、改めて説明する必要はないだろう。


そんな、コスモスの問いかけに、ビスカは微笑みながら言いきった。



「当たり前じゃないか。そうじゃなかったら、俺が待ち続けた意味はないよ」




「だったら……もう少しだけ、待ってて。」


どこか苦しげな口調。
それを感じ取ったのか、ビスカはコスモスに囁いていた。


「じゃあせめて……弟『達』を守ってあげて。」


「ッ…!何言ってんのよ、馬鹿!」


途端に顔を赤らめて、軽くビスカをはたくコスモス。
それはそれで楽しそうであった。が、



「…………取り込み中悪いけど。それどころじゃねーみてーだっ!」


突然クロスがそう言ったかと思えば、刹那、空中に小規模な爆発が起こる。
手には、あの魔力を撃ち出すものを持っていた。


「あんだけやっておいて、外すなっ!」


思わずロゼはそう言うが、クロスからは意外な言葉が返ってきた。



「ここで派手に暴れたら、エリルの人達に迷惑がかかるだろ?だからだよっ!」



「成程。やるなら外で、か……。コスモスさん!!」


その言葉には確かに一理あった。それに、ロゼ自身、地元の人を巻き込みたくはないと思っているからもあった。
一瞬で見抜いたクロスもすごいが、やるべきことをやらなくてはいけない。
次の瞬間には即座に、コスモスに呼びかけていた。


「わかってるわ!………ビスカ、ごめんねっ!」


「……気をつけて」


案外、ビスカもあっさりとコスモスを離した。
彼も騎士を身内に持つだけに、その想いも知っているから。


数発の威嚇発砲の音が聞こえたかと思うと、もう3人の姿は見えなくなっていた。

行ったのだと推測するのには簡単すぎた。
ビスカは、思わず苦笑を浮かべていた。


「………絶対誰か怪我して帰ってきそうな気がする……病室幾つか確保してもらった方がいいかな?」


ビスカは、知っていた。
普段冷静なロゼが、感情に任せて突っ走ることになりえる存在のこと。
コスモスが、心の中では何よりも弟を大事に考えていること。
そのためならとんでもない無茶をすることもあるということも。

武器を持っては戦えない、ビスカにできることといえば、看護師である立場を利用して、守ることぐらいだった。


「職権乱用とか言われても関係ない。俺は、彼女にもロゼにも、戻って来て欲しいだけなんだから」


言ってから、「勿論、クロス君もなんだけどさ」と呟いていたのは言うまでもない。







「ロゼ、タイミング間違えんなよ!」


何度目かわからない、装填動作を行いながら、クロスは言った。
現在地:エリルのすこし外。


「お前こそ、しっかり当てろよ」


「当てれば、こっちのものだものね♪」


周囲には、十数人の武器を携えた人間がいた。
既に何人か倒れているのだが、そのほとんどはコスモスがいなしたという(汗)
故に、余裕がある態度なのか。

そして、それもあってか、クロスの口元も笑っていた。


「悪いが、あんたらの相手してる余裕はこっちにはないんでな!一気に決着つけてやる!」


言ったと同時に、これまででは最大の、それでも自分達を巻き込まない程度の威力で、爆発を起こした。

そして、煙が晴れた時には……



「あ、あいつらいない!?」


「今の一瞬でか!?」


慌てふためく意識のある数人がいましたとさ(ぇ)







「にしても、面白いぐらいに上手くいったな」


ロゼがそういえば、コスモスも頷く。


「ホントよね。爆風に乗じて、テレポートで逃げるっていう単純なことなのにね」


そんな中、クロスだけは何かを感じ、難しい顔をしていた。


「………」


「クロス、どうした?」


不思議に思ったロゼが聞くも、クロスは答えなかった。
ただ、じっと遠くに見える砦を眺めていた。

こういう時は、何か考えていることがほとんどだった。
諦めてロゼはコスモスに話しかけた。


「コスモスさん。」

「何?」


「………俺が、好きになってもいいのかな」


これまたロゼにしては珍しい、やや気弱な声だった。
少なくとも、騎士となってからは他人には見せない、はずだったのだが…。

それがおかしくて、コスモスは思わず笑ってしまった。


「何それっ…、ロゼットあんたがそんな弱気なこと言うなんて……っ!」


「お、俺は真剣に言ってるんです!!」


その反応に、僅かにむっとしたロゼは即座に反論。

すると今度は優しく、確信めいた声でコスモスは言う。



「なら、その想いを貫きなさい。それに、スズラン様があんたを嫌うはずがないのよ」



「何ですかそれ、どこからその自信が……」


言い切ったのに困惑するロゼを見て、ついコスモスは口にしてしまった。


「……知っていたけど。あんた、他人のことには鋭いのに自分のことじゃあ鈍いのね」


「どういうっ」


「そのままの意味よ。(…スズラン様、大変ね。こんな奴を好きなんだから…)」


年上の女性だからだろうか。
コスモスはスズランに何度か恋の相談を受けたことがある。
それで、知ってはいたのだが、目の前のお姫様の想い人ときたらこれなので、小さなため息をついてしまっていた。


「……自覚してるのかしてないのかはっきりしないのも困るわね」




その一方で、じっと何かを考えていたであろうクロスは、不意にロゼの方を見た。


「もしかしたら……」


その呟きはコスモスと話していたロゼには聞こえない。
コスモスなら気付いているかもしれないが、多分彼には言わないであろう。


「…ハルに、何かあったのかもしれない。気配は感じるけど、微妙に乱れてる……」


先程まで砦を見ていたのだから、恐らくはそこから感じているのだろう。
結構な距離があるので、普通の人なら感じることもできないだろう……が、風に守られているクロスなら、別だ。
それに、彼には元々優れた洞察力がある。

2つの力を駆使すれば、強く感じることもできることだろう。
それ故に、かなりの的中精度を誇るのだが……。

今回ばかりは、当たってほしくはない予感だった。


どちらにせよ、采は投げられた。
レイア地方の今後の明暗がかかった、と言っても過言ではない戦いは静かに始まりを迎えた…。





■後書き■
恐らく、前回のスターチスとタフトが動き出したのと同時期な話と思われます。
コスモス中心っぽい感じでしたが、何気にこの人すげえ!だってロゼをもいじるし(ぇ)
というか実際はロゼの話聞く以前に自分のことに精一杯そうな気もする。
そして、クロスが感じたハルの気配は何を意味するのか…?
ま、とりあえずは次もお楽しみに。

No.55 日乃 水葉 2009年11月27日 (金) 00時05分


RE: 誓いの花 STAGE12

今回はロゼサイドの話のようで。
ビスカとコスモスの再会……そして、始まるレイア地方の今後をかける戦い……。
様々な思いが入り乱れる中、事態はどのように動くのか。

No.57 HIRO´´ 2009年11月30日 (月) 13時21分




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