憧れだったんだ。
あの人の近くにいることが僕はとても好きだった。
バトルするのも、おしゃべりをするのも、あの人といるのが好きだった。
英雄になったと聞いたとき、僕はなんとなくあの人に近づいたんだ。
でも、英雄と言っても、あの人は僕よりも年上で、だけど大人よりも年下の子供。
だけど、僕にはあの人が光り輝いて見えた。
そして、近づくために、強くなりたいと願った。
傍に居たいと思った。
でも、あの人にはずっと気にかけていた人がいた。
僕が強くなって、あの人と同じ強さを手に入れたときには、もうすでに、その気にかけていた人が傍にいた。
僕ではなく、その人が……。
別にその人を憎んでいるわけじゃない。
むしろ、あの人が幸せになってくれるなら、僕は喜んでこの事実を受け入れようと思った。
精一杯あの人を祝福しようとした。
でも、僕は一体何をすればいいんだろう?
何を目標にすればいいんだろう?
何がしたいんだろう?
何が出来るんだろう?
僕の力なら何でもできると思っていた。
その気になれば、世界を一周することも難しくはないはずだと。
でも、なんかやる気になれなかった。
想像ばかりに思いを馳せて、実際にやろうとすると熱が冷めてしまう。
夢や想像の中ばかりで僕は満足してしまうんだ…………
大人になるって可能性がどんどん狭まることだと、誰かが言っていたような気がする。
確か研究員の人だったかな。
子供のときにいろいろな体験をして、夢を持つのだという。
例えば、パイロット、船の船長、警察官、ケーキ屋さん、博士……
ジムリーダーやポケモンマスターになりたいという子供だっている。
でも、僕はそのような憧れを夢の中で想像しては、現実にて諦めているような気がする……
だって、実現した時に、夢ってモノは消えてしまう気がするから……
唯一、1つだけ持った夢というのがある。
あの人の傍でずっと笑っていたいなと思ったこと。
だから、それだけは現実で叶えたくて必死に特訓をして、強くなった。
あの騒動だって、僕があの人の代わりに鎮圧させた。
あの人が褒めてくれると思って、僕はがんばったんだ。
その後、あの人とバトルをし、僕の強さを認めてくれた。
純粋に嬉しかった。
でも、その隣の人を見て、胸が痛んだ。
2人が見つめあっている姿を見て、どうしてもその場から逃げ出したくてたまらなかった。
きっと、好きだったんだ。
きっと、僕の初恋だったんだ。
きっと、それは叶わない。
いや、“決して”それは叶わない。
誰かが言ったことがある。
初恋は叶わないって。
誰かが言っていた気がする。
人が幸せになる影には、人が悲しむことがあるって。
あの人の願いが叶う時、僕の願いは叶わないことになる。
叶わなかった僕は、どうしよう。
夢も希望も真っ白な僕はどうしよう。
誰か……僕に綺麗な夢を描いてくれるのかな……?
でも、このときの僕はまだ知らなかった……
僕の周りで、次々と惨劇が起ころうとしていることに……
取り返しのつかない、巨大な悲劇の歯車が回り始めようとしていたことに……
……知る由もなく、僕は巨大で真っ白いキャンバスの中心をぼんやりと見つめていた……
アトガキ
これって小説?(聞くな)
なんとなく書いてみました。
まー……何の話かは……そのうちわかるかなぁ。
ある人物の視点から書いた話ではあるんですが……わからなくても別に問題ないや。(待て)
とりあえず、そんな感じです(謎)