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[116] “存在”【シフ×テイマ/シリアス・微甘】
くらひと - 2009年11月16日 (月) 21時54分

草木も眠る夜半のこと、
二人は並んで街道を歩いていた。
いつもは賑やかな古都でも、
夜になればそれが嘘のようだ。
昼夜も人込みが溢れる西方の都市アリアンを考えてみれば
古都ブルネンシュティグあまりにも静まり返っている。

久しぶりに古都に帰って出歩いてみたいという
彼女の希望からか、
宿に荷物を置いて出たものの
お互い声を掛けることもなく、静かな景観を見るだけだった。

数分、

数十分は経っただろうか、


「久しぶりね。此処に来るのは」
思いついたように呟いた彼女は微笑んでいた。
冷たい風が吹いていたにも関わらず
借りた部屋に荷物と一緒に外套を置いていったのだろうか、
白花色のゆったりとした薄いガウンに身を包み
淡い色をした衣の上で長い白銀の髪がさらさらと揺れている。
いつもの普段着も似合うが、
飾り気の無い服装も彼女を惹きたてていると思うと、
景色なんかよりもそちらばかりが気になって
自嘲気味に「そうだな」と言葉が零れる。
「どうしたの?」
そう訊かれても「別に」と曖昧に返事を返した。

(見惚れていたとは言えない…。)


自分とはさほど歳の差もなく
大人びていながら何処かあどけない。
そんな不思議な雰囲気を持っている彼女は、
あの日出逢った時から、今も変わっていない。

“シルヴィア”
それは愛しい名前。




+++


抱きしめる度に何かが心を埋めてくる。
夜で良かったと自分でも思った。
堂々と街中ではできないことだ。
シルヴィアは少し照れくさそうに笑って抱き返す。
「淋しいの?」
彼女の声音が、あの日を彷彿させる。

血溜りの中で横たわる、大事な人―


「…淋しくない」
「曖昧ね」
シルヴィアの手が短い銀髪を撫でた。

「昔のこと、思い出したの?」
「………」

生まれ育った場所、港街ブリッジヘッドは
治安が悪く、強盗や殺人など当たり前のようだった。
元々貧しい家庭で、父親は金銭的な理由からか
家を出たっきりで一度も顔を見たことがない。
母の顔しか知らず、心許せる友人や知人を作れる余裕など無く、
常に怯えて過ごさなければならなかった。

家を出たいなら、いつでも出れる。
だが家を出た先に何が待ち受けているか分からなかった。
いつ自分が理由も無しに手にかけられるか、
恐怖心に煽られてただ耐えることしかできなかった。


「・・・シルヴィア」
「何?」


浮かんでくる。

微笑みを見せるあの人が。


「俺って、人殺し?」
「どうしたの?いきなり」
透き通った黄緑色の瞳が覗き込んでくる。
思わず目をそらした。


言葉が詰まる。


自分で殺さなきゃ、殺される。
ただそれだけのこと。


一方的に奪われることに復讐心を抱いたときから
運命が狂わされていた・・・?
それは単なる鬱憤晴らしからかもしれなかった。
どれだけ怒りに任せても相手に歯が立つわけなくて、
刃を向けられたとき、もう駄目かと思った。


「他の人からそう言われても―」


自分の左胸に吸い込まれるよう向かってくる刃を


「認めることも否定することもできるけど」


凝視するしかできなかった。


「でも、」



突然目の前に現れた人影が庇って、


「自分でもそう認めたときが―」



自分が死ぬという運命を止めてくれた。


 
でも、

俺がその人の生きる時間を止めてしまった。



「………」
穏やかだったシルヴィアは悲しさを滲ませていた。
「俺はあの時間違いなく死んでいた。
 …いや、死ななきゃならなかった」
「……」

あの日自分を嘲た声が今も鮮明に脳に揺らめくように響いて、
残響が瞳の色を濁らせる。

「母さんが死んで、…何で俺が生きなきゃならないんだ…?」



“仇を討たせる為”、か―?


「そんなこと…考えちゃ駄目だよ」
再び自分を見つめる彼女の瞳。

「貴方にちゃんと生きて欲しいから、そう思ったんじゃないかな」
「…そんなこと誰だって言える」
「いいや違うよ」

「貴方だから、だよ」
「…?」

うっすら涙が浮かんでいても、笑顔を作っている。
「これは皆の願いであって―」

シルヴィアが抱き締める。


「私の願いでもあるの、“ヴィダル”」


夜風に髪が静かに靡く。

月に照らされたシルヴィアの白い肌がとても映えていて、
細くか弱い身体を強く抱き締めれば
花のように散ってしまうのではないかと恐れて
でも失いたくない矛盾に絡まってしまう。

「辛くても、苦しくても、逃げ出したくても、…大丈夫。
 私が傍に居るから」


「こんな俺に…?」
自分にはとても過ぎている少女がくすりと笑う。



「生きる為なら、仕方ないよ……

 でもね、

 生きるなら、精一杯生きなくちゃ」

シルヴィアの白い手が彼の頬を撫でる。
そらし続けたヴィダルの赤紫色の瞳が、
ようやくシルヴィアを見つめ返した。

「…私も生きるから」



初めて村を出たときは古都を目指せばいいと言われた。
あなたの大切な人が、
赤い石によって運命を変えられてしまったと。
会ったこともない人なのにどうして大切な人なのか、
そういう疑いを抱いたけれど、
ヴィダルを一目見たときに感じた。
何と言えばいいのだろうか、

ただ傍に居たいという思いがあった。

その思いが、今も私を生かしている。


「甘えたいなら甘えていいよ。
 泣きたいなら泣いていいよ。

 それが“人”だから…


 ヴィダルは、私の大切な人だから」

涙が白い頬を伝う。


掬った雫が熱かった。



強く、強く抱き締めれば、
服越しから伝わる鼓動分かる。
それは二人が確かに生きている証であって―

確かに“此処いる”。
 


甘えて、子供のように泣いた。
お互い縋るように抱き締めながら。


運命に翻弄されてもなお、生きたいと希う。



母と重なる面影。

傍に居たい面影。



大切な影。

もう失くしたりはしない。と、



静かに唇を重ねた。




“ヴィダル”
それは愛しい名前。




+++

初めての投稿です。
ずっと前から書きたいと思っていた
シフ×テマ作品です…!
遠慮がちに甘えているシフ君を
受け入れながらもまた彼を求めているテイマを
書きたかったのですが
甘えているのか独りよがりなのかよく分からず…;;
なんかもう路線から外れている気がしますが
どうか大目に見て下さいませ…

テイマは調教師だとか、なんかSっぽいですが
自然・動物と共に生きていると見れば
包容力のある女の子じゃないかなぁと自分は思っています…v
シーフは少年時代は過酷だったのかなとか…
もう大半が妄想でできていますが
カプはこの二人が好きです…v

他のカプでも書いていきたいなぁと思っていたりします。
時々顔を出すかもしれませんが
どうぞ宜しくお願いします(礼



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