「悲しみの館」の感想はこちらです。
前回とある企画でお莫迦っぷりを披露した、通りすがりのハードボイルドですが、今回はシリアスに。
お口に合うかどうか。ご賞味下さい。
name:招夏
Date:2011年09月20日 (火) 16時02分 No.54
昭和の匂いがします〜
拝読致しました。
トヨペット セイコー(カタカナで書くと妙に昭和) ゴールデンバット…そここに散りばめられた小道具が昭和の香りを漂わせていますねぇ。
星四つだったのでかなり覚悟して読ませていただきました(笑)。
確かに首が曲がったまま睨んでくる奥さんなんて、実写で見たら怖いだろうなぁと思いましたが、文字なので割と大丈夫だったみたいです。内容は、怖いというよりも悲しいという気持ちの方が勝っていたような気がします。だからこそ、このタイトルですね。
ゆっくりと雰囲気を堪能しながら読みたい作品。面白かったです。
昭和生まれには涙もの
こ、これは。
終戦後、紙質の悪い「少年クラブ」や「少年画報」に載っていた香り高い冒険小説をほうふつとさせますな。
いや、まだ生まれてませんでしたが(え)。
レトロな雰囲気、とても堪能しました。
中野学校やザウエル拳銃。戦後という時代背景でなければ、このお話の悲哀、せつなさは出てこなかったのではないかと思います。現代だったら、さしずめiPS細胞ですか。
昭和というのは、つくづく浪漫のある時代だったですねえ。
浪漫と郷愁を詰め込んで
まさに30-06さん、という作品を読ませていただきました。
現在こういった『冒険倶楽部』風の作品を真正面から書ける作家さんはなかなかいないと思いますが、本作はまさに逃げも隠れもしない、腰の据わった一品でしたね。小物もそうですが、一つ一つの語り口調まで郷愁的ロマンを感じさせるこだわりで、このこだわりこそがまさに、という感じであります。
いや、いいものを読ませていただきました。
これ以上はないタイトル
ごきげんよう、三里です。
まさにこのタイトルのためのお話。そしてこのお話のためのタイトル。素晴らしい。
個人的には、途中客室で拳銃を取り出す描写にやられました。
緻密で情景が浮かび、ドキドキしました。
読ませますね。巧い。
細かいところまでしっかりと書き込まれた作品は大好物です。
そもそもバイクも昭和
731部隊のゾンビ編と来ると、戦時編と、このあとの米国陰謀編(きっと書かれるんですよね?)が気になります。もしかして、連載中のサイボーグ美女って、このゾンビ技術の応用なのでしょうか。だって、死にたくても死ねない体、そして近寄る男を生殺しにする存在ってゾンビそんものだし、、、。
関係が解明される事を切に願ってやみません。
name:楠沢
Date:2011年10月09日 (日) 18時42分 No.145
拝読いたしました
こんにちは。作品を拝読させていただきました。
せっかくの企画なので各項目ごとに感想を述べていきたいと思います。
☆はホラー度に合わせて0−5までの六段階。
今後投票やらなんやらあるそうなので自分メモ的に☆づけさせていただいています。項目は作品とそのときの気分で変えていますので、☆の数はあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
<ホラー度 ☆☆☆>
招夏さんも仰っているとおり怖さよりも悲しみが勝っているので☆3つで。
<つかみはOK度 ☆☆☆☆>
タイトルから始まり岬の洋館で「医院」に女中が出てきて。いかにもな始まり方でつかみがよかったです。
<昭和度 ☆☆☆☆☆>
私は車はTOYOTAの最近の車種しかわからないのでトヨペットがどんな形をしているかもわからないのですが。
昭和の香りはぷんぷんと感じ取れました。私がもう少し昭和に造詣が深ければもっと楽しめたのかなと思ったり。
<総評>
タイトル通りの作品でした。「悲しい」という単語はタイトル以外には出てこないのですが、作品全体から言葉に出来ない悲しさが伝わってきました。雰囲気作りもお見事でした。
「悲しみの館」読みました
取って付けたような台詞回しに、強引なストーリー展開。
まさに昭和の息吹を感じます。
随所に散りばめられた蘊蓄と、適当に組み上げた虚構を迷惑も顧みず押し出すあたりが、30-06さんらしさでしょうね。
笑いを期待していたので、少し残念です。
それはともかくとして、
○招夏さん
お読み戴き、ありがとうございます。
CIA局員=ロレックスという公式は、もはや過去の都市伝説でしょうか。セイコーのあの丹念に作られた製品は、やはり昭和の頑固親父の腕に似合います。
ホラー度と言うよりスプラッター度で四つ星を付けたのですが、ミシュラン選定には程遠く。
悲しみは新たな悲しみを産む訳で、主人公はその悲しみにピリオドを打とうとした訳です。
色あせた雰囲気が伝われば何よりです。
重ね重ね、ありがとうございました。
○BUTAPENNさん
いやもう、僕も生まれてませんでしたが。(ホントダヨ
正直僕的に、このあたりは海野十三とかの影響が大きいかと思います。
秘密兵器なガジェットと怪しいマッドサイエンティストに、ワクワクドキドキな20世紀少年である事は否めません。
そうですね。同様に、明治も大正もそれぞれにロマンがあって、掘り起こしてみるのも面白いのですね。
昭和という時代は平成とは違う、様々な可能性を秘めた時代でした。なにかこう皆が同じ夢を見て同じ目標に突き進んで、その結果が破壊と悲しみを生んで、また復興という目標に一丸となって突き進み、好景気が絶好調の頂点で終焉を迎えるという、本当に幻のような長くも儚い時代でありました。
ありがとうございました。
○茶林さん
ありがとうございます。
これでもか、という30-06風味を出してみました。
本作は「怪奇大作戦」をハードボイルド風にアレンジして、やってみたかったという企みでありました。
その他に初代ゴジラから続く、昔の東宝特撮の怪奇性やカタストロフといったものも盛り込んでみたいなとか欲張って結局空回りじゃんぶくぶく…
作中の佐森博士のビジュアルモデルは平田昭彦ですよでも異論は認めますとか言いつつ、あの格調高い昭和の冒険小説に一歩でも近づければと願うばかりです。
楽しんで頂けて幸いです。
○三里さん
いや正直言って、このタイトルは書き上げた後で付けたものなのです。
これでも結構悩みました。
銃のメカニズムはひたすら戦中(と思われる)の、無理矢理日本語的表記にこだわり抜いてみました。(今日では表現法が違っていて、結構苦労したり)
基本日本は非銃社会なので、この存在感に直感的な危険や非合法活動を暗示するという、便利極まりないアイテムなのです。
お読み戴き、ありがとうございました。
○天然記念狼さん
彼の細菌戦部隊は、戦争という悪夢が生んだ亡霊なのでしょうね。
ですが、傷跡は決して忘れてはなりませんね。
このお話は、ゾンビ祭りの為のオリジナルであって他意ありませんよ。ええ、そうですとも。
とはいえ、再びこの主人公を起用した「終戦時の怪奇と謀略に溢れたマッドサイエンスと破壊の冒険奇譚」なんてのもやってみたいなと思いつつ、これ以上手を出したら収集が付かなくなるのです。はい。
連載中のヘンタイテインメントは、続きを楽しみにしていて下さい。
○楠沢さん
採点、ありがとうございます。
レトロスキーとして、感無量なご感想です。
トヨペットは僕もあまり記憶になく(ホントだってば)博物館でチラ見した程度ですが、今見れば大層オシャレな車です。
タイトルの候補は三つ四つあったんですが、今ではこれで良かったなと思っています。
昭和の空気と儚さが伝われば幸いです。
name:前条
Date:2011年10月16日 (日) 23時27分 No.260
引き込まれる昭和
細かな部分まで昭和らしく統一された、非常に映像的な作品でした。
映像が脳裏に浮かぶとき、映写機の音が響いたかと思うほど、この世界に引き込まれました。
元軍医、中野学校、ドイツ製拳銃を持つ工作員に、南部式。たまりません。
好みな雰囲気に興奮しすぎて、怖さがやや中和されましたが、
それでも、格子の奥に潜む異形のシーンには、ぞわっとしました。
映像作品ならば、きっとここで心臓に悪い効果音が入りそうだなどと想像しつつ、楽しませていただきました。
月並みですが
これだけ、昭和の雰囲気を演出する為には
すごい知識がなければならないはずですが
ものの見事に描ききっていて、引き込まれました
乱歩が元気だったら、戦後こういうテイストの
作品書いたかもしれませんね
補足
月並みですがのタイトルは
月並みな感想ですがと言う
つもりで書きました
念のため
ありがとうございます
やっと全作読めました。(遅読)
感想が遅れて申し訳ありません。
面白かった。
それぞれの人となりと申しますか、味わいを短編にぎゅっと封じこめたフルコースでした。
○前条さん
お読みいただきありがとうございます。
戦後間もない頃の、モノクロ映画のような雰囲気が伝わればという企みでした。
ちょっと悪戯でNG特集もしてみたいとか。
昔の映画はやたらと効果音が多いですよね。
そんな今ではダサいと思われる効果も、また味があって良いものです。
既にお察しと思いますが、作中に登場するザウアーはM38hなのでありまして、ヴァルターPPKやマウザーHScの影に隠れて日本では少々マイナーな感もあるダブルアクションオートを(SIG SAUERは自衛官&お巡りさん御用達ですが)、ここではあえて雰囲気作りに採用してみました。
昭和のフェロモンに興奮して頂けたなら何より。ありがとうございました。
○高柴さん
月並みな返答でありますが、お読み頂きありがとうございます。
どうかお気になさらず。
でも月に並ぶって凄いですよね。殺戮の女神、ヘカテ並って事ですよね。
それはともかく。
知識もなにも、ここは「勢い」という奴でしょうか。
激動の昭和も昨日の事のように思えるのですが、もう既に時代小説にカテゴライズされる訳でありまして、これも時代の流れかなと思えるのです。
乱歩先生のあの見世物小屋とか紙芝居のような、何とも奇しい雰囲気やワクワク感が再現出来たなら何よりなのです。
子供も大人も、好奇心と冒険心と夢を持てた時代。
そんな匂いを感じて頂けたら幸いです。
name:モギイ
Date:2011年11月07日 (月) 21時10分 No.313
レトロな雰囲気を堪能しました。
さしずめ、昭和版ユニバーサルソルジャーといった
ろころでしょうか。日本軍の実験と聞くだけで背筋がぞぞっと
してしまいますね。綺麗な奥様の成れの果ても恐ろしいですが、
背後で行われてきた非道な行いを想像するほうがずーっと
怖いかもしれません。
三谷さんが火を放ったのは奥さんの涙を見たからなのですよね。
いい男じゃありませんか。
昭和ロマンを感じさせていただきました。素敵な作品を
ありがとうございました。
いいにおい
こんばんわ、卯月音由杞です。
作品を拝読しました。
昭和の……昭和の匂いがします。冒頭から未舗装の路を辿るトヨペット。隠棲する元軍の研究員。明らかに身元を偽っているとおぼしき(ドイツとの関係をほのめかす……)語り手。いい匂いがします。
種々の小道具も。物語全体を象徴するかのように「古い世界にちりばめられたモダン」を演出していて、太平洋戦争という激変後、ゆるやかに移り変わっていく時代の境目を思いました。
楽しませて頂きました。
name:ナノハ
Date:2011年11月10日 (木) 10時00分 No.329
雰囲気に酔いました
「悲しみの館」拝読しました。
ご無沙汰しております。ナノハです。
犬祭の時とは全然違う雰囲気にびっくりしました!
描写が非常に丁寧で、主人公と一緒に古い洋館の中へ入っていくような錯覚を起こしました。特に部屋の窓から庭を眺める場面。無駄がない文章なのにわかりやすく、私自身がその場で博士の行動を垣間見ているようでした。うーむ、すごいです。
博士も奥様もとても愛し合っていたのでしょうね。博士と一緒に死んでしまいたい、お願いします…という思いが涙になって現れたのかな。
コミカルもシリアスも楽しませていただき、ありがとうございました!
楽しませて頂きました
皆さんありがとうございます。
そして主催者様に感謝を。
○モギイさん
この三谷というキャラは、以前別所の競作で僕が作ったキャラ(設定は大幅に変更しています)でして、結構思い入れが深いのです。
嘗ての戦争が産み出した傷跡。そんなものを今回参加するにあたり、空想の中で語ってみたかったのです。
全て破壊した主人公こそが、実は一番悲しみを噛み締めていたのかも知れません。
ありがとうございました。
○卯月さん
匂いを感じて頂けて光栄です。
映画や漫画でもそうなんですが、作品には独特の匂いがあって、個性的であればあるほどその香りが濃厚になるものですね。
古いモノクロ映画から漂う雰囲気。そして、腐乱臭と硝煙の匂い。
僕は戦中から戦後にかけての話が大好きで、現代の常識では計り知れない怪しい謎を塗り込むには格好の素材であったりします。
お読みいただきありがとうございました。
○ナノハさん
こちらこそご無沙汰しておりまする。
たまにゃ真面目にやりますぜ!みたいな気合で参加させて頂きました。
バーチャルな冒険を体感して頂ければ、まさに作者冥利に尽きるのです。
主人公が破滅への来訪者だったのか、ない監禁地獄から開放してくれた救い手だったのか。
楽しんで頂けて何よりです。ありがとうございました。
なんだか懐かしいです
感想が遅くなりました。
拳銃を持った主人公、怪しい屋敷と博士、病に臥せった婦人の正体。731部隊。戦後混乱期の日本の雰囲気が余すところなく伝わってきますね。こういうものが書けるって本当に凄いなあと思います。
映画だったらモノクローム、小説だったら少年向けのレトロな表紙(30年代、40年代くらい)のものが似合いそうです。
薀蓄の豊富さが生かされたマニアックな銃の描写も魅力ですね。
楽しませていただきました。
ゾンビは甦る
ぬぅ… アクション派総玉砕か…
涙にむせびながら、独り戦場の跡に立つ。
だが、それでこそゾンビ祭りだ。必ずや甦る。
「無念」と一言唱えなされ。
エロイムエッサイム エロイムエッサイム 我は求め訴えたり…
○まあぷるさん
お読み頂きありがとうございます。
あの細菌戦部隊と絡ませるという設定は少々強引だったような気もしましたが、それはそれで良かったかなと今では思っています。
本編では語っていませんが、ぶちゃけ死体蘇生術の元ネタは、ラヴクラフトの死体蘇生者ハーバート・ウエストからのオマージュで、イギリスから漏れた機密が極秘裏にドイツを経由して登戸に伝わったという脳内設定でした。
たまに怪奇小説モドキも書いていますが、今回は書いていて本当に楽しかったです。
キャラクターとしての銃器の存在感を、時代背景に沿った用語で解説するのは、難しくもありなおかつ楽しい時間でした。
楽しさが伝われば何より、ありがとうございました。