彼らの背後で、手に汗握った |ω・`)
寓意的で、それでいて手に汗を握る展開でした。
風香嬢という夢か幻のような存在に惹かれ、集い、付き従う。 烏合の集団が、ときに目的のために素晴らしい規律で動き、やがて分裂し、それでもついていく。 歴史の中で、理想に燃えて革命やクーデターをおこし敗退した青年たちの心情をもみるようで、唸りつつ楽しませていただきました。
自分で自分に言い聞かせているような理屈っぽい表現も、リズムがいいのと作品にもあっているせいで、読みやすかったです。
梅(b^▽^)b拝
name:招夏
Date:2011年09月19日 (月) 21時31分 No.39
CDの真ん中の穴のような…
こんばんは。拝読致しました。
本人(本ゾンビ?)にあるのは前に進むと言う意志だけ。彼女に付き従う意味も、規律を守って彼女を見守ろうとする理由も、彼女を助ける為に組織を作ることも、すべて集まった周りの人が考える。風香嬢って名前まで周りの人の命名だ。
何にもない、まるでCDの真ん中の穴のような彼女の周りを、色々な人が集まり不思議な楽を奏でてる。そんな不思議な作品だと思いました。人が集まる理由なんて、案外こんなものなのかもしれませんね。興味深いお話でした。
欲を言うならば、改行をもう少し多くしてもらえるともっと読みやすかったかなぁと思います。^^;
青春のロードムービー
読み応えのある作品をありがとうございます。
いくつか感じたことを。
まず、ゾンビは風香嬢であり、あとに続く集団が人間であるのに、なぜか逆であるような印象を受けました。
意志を持って行動する風香嬢の孤高さのほうがいさぎよく、かえって追っかけ集団の同一性、非主体性、リーダー不在を好む性質のほうが、ゾンビっぽいと思えたのです。
読みながら、現代の若者気質、たとえは悪いのですが、デジタルアイドルの追っかけをしているヲタク集団のようなものを連想していました。
やがて、風香嬢の腐敗にしたがって、幻滅、動揺、派閥が生まれ、集団の同一性が崩れていく過程が、若い精神の老成を見ているようでした。
語り手の理屈っぽい口調もあいまって、青春ドラマを読んだという読後感を味わわせていただきました。
name:楠沢
Date:2011年09月20日 (火) 21時51分 No.65
こういうの好きです。
こんにちは。作品を拝読させていただきました。
せっかくの企画なので各項目ごとに感想を述べていきたいと思います。
☆はホラー度に合わせて0−5までの六段階。
今後投票やらなんやらあるそうなので自分メモ的に☆づけさせていただいています。項目は作品とそのときの気分で変えていますので、☆の数はあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
<タイトルマッチ度 ☆☆☆☆☆>
シンプルなタイトルですけれど、本文を読むとタイトルがとてつもなく深いです。旅ではなくやっぱり行進だと思います。
<ホラー度 ☆>
バリバリの腐っている表現はありますが、不思議と怖さを感じません。私も☆1に同意。
<ゾンビ必須度 ☆☆>
これがゾンビでないものでも作品は成り立つので2。一方ゾンビだからこういう雰囲気の話になったのでしょう。
<総評>
風花嬢が歩いて行くだけの話と言ったら失礼になるかもしれませんが、それだけのことを書いているのに風花嬢がどんな歩みを進めているのか「我々」との関係が手に取るようにわかりました。「我々」が人数多いせいか、語りスキーが多いせいなのかくどくど(よい意味です)喋っているくせに、作品自体は「言葉で表現することではない」物語と感じました。風花嬢の存在、我々と風花嬢の関係等、それらは言葉で表現できるものでもなく、するべきものでもなくそういうものなのだという。普通に雰囲気も好きです。
大変おもしろいものを読ませていただきました。ありがとうございました。
何を書こうか迷った
いったい何を書こうか迷って、それでも何かコメントしたくて二度読みました。
BUTAPENNさんが書かれているとおり、ロードムービーと称するのが的確なのやもしれません。色々寓意的に読むことも可能ではあるのですが、果たしてそう読んでいいものなのかどうかも迷っています。寓意的に読むことで意味が固定化されるのは、この作品にとってはあんまりふさわしくなかろう、と。
読んでいる間、頭の中で流れていたのはなぜかチューペットのCMソングでした。チューペットの音楽に合わせて進むゾンビと後ろにつき従う彼ら。
そこに意志だけが
ごきげんよう、三里です。
風化していく風香嬢。
前に進むという、たぶんゾンビの本能だけで動いている彼女が、浜辺で進むことを諦めたところが印象に残っています。
本能って、例えば「欲」と表現してしまうと悪いものという印象を与えがちですが、どんなことでも極めて純粋になれば、それはただ高潔なんですよね。
とか、そんなことを考えたりしました。
主人公が一人称複数であることは、生きている人間の思考に統一感がないことを連想させました。
どんなに模倣しても模倣しても、本物には敵わないものですよね。
風香嬢は主人公たちにとってidolだったのでしょう。崇拝せずにいられなかったのでしょう。
木箱に破片を収めていく主人公たちは、この後、どんなidolを見つけるのか、あるいは見つけないのか。
余韻が素敵です。
【ネタバレ感想】鳥肌がたちました
白縫さん、始めまして。
御作、拝読致しました。読後の余韻がさめないままに感想を書かせて頂きますので、読みづらい文章になっちゃうと思いますがご寛恕願います。
色々な味を内包した、非常に読み応えのある作品でした。
冒頭を読んでいるときは、少々硬い文体、言葉選びなどもあり、このお話のフィクションラインが自分の中で定まらず、眉をしかめるシーンもありました。
しかし読み進めるにつれて、どんどんと引き込まれていきました。
風香嬢を崇拝する『我々』は、私の中では、最初は無垢なものに盲目的な崇拝を感じるある種の**イズム(すみません、誤解を恐れず書いています)に突き動かされた集団として映りましたが、その後の旅路を進めるにつれ、『我々』は、それまで一枚岩であったかのような結束力が、知らずのうちに、失われていきます。
風香嬢に訪れる変化と時を同じくして、組織に現れ始めた変化に触れたとき、諸行無常という言葉が浮かびました。
個がいつかは朽ち果てるように、どのような集団も、いつかは変わっていってしまう。
『我々』が分裂を始めたとき、私の目には、それまで盲目的だった集団の中に、自我を持った個が発生した(成長した)ようにも感じられましたが、それは単に加入した時期によって風香嬢に抱いた感情が異なっていただけだったのかもしれない。 そして組織にとってそれがプラスだったのかといわれれば、プラスでもマイナスでもない。 ただ現実として、風香嬢の肉体と同じく、分裂し始めた組織がそこにあるだけ。
その様子が、淡々と、しかしどこか切なく描き出される終盤に、強く惹かれました。
『我々』だけが風香嬢の背中の中に見出した意味。 それは外からみていると愚かで滑稽なものであったとしても、
その一瞬、皆で共有した眩いまでの憧憬であったように映ります。ちょっと言葉が違うかもしれませんが、これもひとつの青春なのだろうなと感じました。
そしてなんといっても、ひっそりと旅を終える風香嬢の描写。
ゾンビというキーワードで、これだけ美しい最期を描かれる白縫さんの物語に、心を揺さぶられました。
素敵な物語を、有難うございました。
腐敗を知らない怖さ
悪友が500文字競作の共作でお世話になっております。いちおう「初めまして」なのでしょうか。
まさか、白縫いさやさんがこんな作品を書かれるとは驚きでした。深読みすれば、風香=風化と読み替えて、どんな真実も、それが国策に反すれば最終的には公権力に抹殺されるという歴史を淡々と記述しているという風にとれますが、でも、茶林さんも書かれているように、何かの比喩して解釈する事を恐れさせる内容で、これってよく考えたらいさやさんの得意とするところですよね。
もっとも、僕は時勢的に腐り行く原発ムラを思ってしまいました。付き従うのは、原発ムラの癒着強権構造を知らない市民達。例えば、二酸化炭素云々という嘘90%の話に乗せられた連中。作中の公権力と民間人を読み替えるとそうなっちゃいますね。
あと、butapennさんの感想にもあったように、おっかけ集団の方が「競作用の図」にあるような存在に感じられました。いっそのこと、自由題でなく競作で登録しても良かったのに、、、。
不思議なものを読みました
読み進んでいるうちに、物語の語り手が…
ああやっぱりそうなのか。
普通、読む側からすれば事の真相を知りたくなるのですが、読み進んでいるうちに真相なんかどうでも良くなって来るという、奇妙な感覚。
堪能いたしました。
name:前条
Date:2011年10月16日 (日) 01時07分 No.255
心地よい寂寥感
ともすれば、既に述べられているように、
"風香嬢"に意志を委ねる現代の"我々"への警句なのかもしれませんが。
ですが、そういったことはすべておいて、
四章の最後で、いまいちど繰り返された"我々"の呟きに、ぞくりとしました。
ただ、その純粋なそれに、あれこれ裏を考えた自分が恥ずかしくなるようで。
まったくのところ、誤解を恐れず評する言葉を紡ぐのなら、まさに、この一言こそが本作の魅力を語っていると感じます。
最後のとき、それがどのように見えたかは、"我々"の贔屓目に見た幻視であっても。
なるほどまさに、本作を読む我々は、『各々が独自のストーリーを読む』に違いない。
強いて難点を挙げるなら、秋の夜長、独りで読むにはいささか出来過ぎていた。そのくらいでしょうか。
どうしようもなく寂しくなったので、温めた飲み物を用意したくなりました。
ブッチぎりですごいとおもうこのお話
こんばんわ、卯月音由杞といいます。
作品を拝読しました。
猛烈な勢いで死者に突き動かされる生者たち、その様を自身の内部から描いている点が興味深かったです。代表として語り手はいるが、彼は個人でありながら自分たちを一体のもののように述べていく。風香の風化に従って群れは千切れ、別れ、最終的に「各々が独自のストーリー」に帰って行く。これは風香を鏡とした「我々」の旅なのではないか、と思った次第です。テンポのよい語り口調も相まって、痛快なロードムービーを見たような印象です。楽しませて頂きました。
name:モギイ
Date:2011年11月13日 (日) 17時57分 No.355
一緒に旅に出ていたような
大作過ぎて私の腐った眼球にはついていけませんでしたのでプリントアウトして拝読しました。
女王の後に付き従うアリのような男達。風香のフェロモンに惹かれる者だけが加わるのでしょうか、一つの意思を持っているかのように集団が機能するあたりもアリのようですね。
風香嬢の風化に伴い個々の意識を取り戻していく過程が見事に描写されていたと思います。なんとも不可思議なお話でした。
それにしても風香嬢の魂は今も海底を闊歩しているような気がしてなりません。彼女は何を求めていたのか、誰も知ることはないのでしょうね。
なんだか凄い作品でした
それはぎっしりと書き綴られた文章のせいかもしれません。正直言ってしまえば、私にはこういう文体は苦手なので、読み進めるのがちょっと苦痛ではありました。
腐敗を進めながらただひたすら突き進んでいく風香嬢。
取り巻きの人々は、なんだかアイドルの追っかけみたいで、またたびに惹きつけられた猫のようで、ただただ背中を追って後へ付き従って行く。読み終わったあとには長い長いマラソンのゴールに辿り着いたような、訳の判らない感動と安らぎがありました。
なんとも不思議な作品です。
お祭りも終わったので追記
皆さんの感想も目にして改めて考えがまとまったんですが、この作品の一番「恐ろしい」と思うところは、読者それぞれが問題意識として持っている事柄を、容易に仮託、写し鏡にしてしまうところなんじゃないかと思う。
たぶん作者さんはそれらすべてを含み、落とし込んだ上でこの作品を書いたのではないと思う。けど、読者の側は勝手に自分で落とし込んで、この作品を読む。これが、この構図が恐ろしい。
そしてさらに恐ろしいと思うのは、すべてではなくともおそらく幾分かは、作者さんも読者が「そういう読み方をするだろう」ということを想定しているだろう、ということだ。これが恐ろしい。いやらしい。(注:すごく褒めてます)
ある意味、一番のホラーだったと思います。
ひっそりこっそり
ひっそりこっそりお礼参りです。
あまりにも多様なコメントをいただいて、大変うれしい半面、どう返したらいいかなぁと悩む部分もありまして。
書き手として考えていたことをお話しするというところでどうごご堪忍。
執筆にあたって念頭においていたのは、一次的にはアイドルとそのファンの構図で、二次的には“自分以外の他人に夢を見ること”です。特に後者の構図はおそらく色々な場面で見ることができるものなので、人によって解釈が分かれたのもそのせいかもしれません。
ただし、念頭に置いていた構図はこれぐらいで、後は脳内一面桃色花畑、ひたすら「FU・U・KA!! FU・U・KA!! FU・U・KA!!」とコールを叫びつつテンションと情熱と勢いとそれに準じた何かだけで一息に書き上げてしまいました。
比率で言えば、構図への配慮:風香コール=2:8くらいでしょうか。
森見登美彦級の「教訓などない」話でした。はい。
ゾンビ祭りですもの。楽しく遊んだらいいじゃないか!
その楽しさが少しでも共有できていたとしたならば、書き手冥利に尽きるというものです。