候文で手紙を書こう
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森まゆみ著「即興詩人のイタリア」(2003年刊)、古書市場にては五千円の値も付きたるほどの幻の名著なるが、此度ちくま文庫より文庫化せられたるはまことに悦ばしく存じ居り候。 本書は、森鴎外訳「即興詩人」に登場する現場を探る四度にも亘るイタリア紀行の詳細なる記録にして、安野光雅氏による同趣旨の取材への同行も含み候。 安野氏はイタリアにてANNO(年)という文字を碑に認め大いに喜びしに、森さんはMORI(死ぬ)という文字を見て喜ぶこと能はざりし由。 森まゆみさんは、注目のノンフィクション作家にて、彼女による「樋口一葉の手紙教室 『通俗書簡文』を読む」(ちくま文庫)は文語の勉強には恰好のものと覚え候。 森さんは、古書なども含め、地道に非常によく勉強されて居て、読者を飽きさせること之無く御座候。 森さんによれば、鴎外は9年にも亘ってさほどの傑作とは必ずしも言えぬアンデルセンの原作を超えるやうな翻訳作業に務めたる結果、鴎外の日本語力は磨かれ、後の鴎外の名作を生む礎を築きたりとの評価にて候。 また、鴎外は一度もイタリアの地を踏むことなく翻訳したるも、現地に行ってみて現地のありさまが忠実に表現されているのは驚異的と言はざるべからずとの評価も之有り候。 |
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[40]2011年06月01日 (水) 16時58分 |