1.はじめにプリンセスクルーズ社の予約システム POLAR Online の日本語版を利用した予約が普及してきており、日本発着クルーズにおいて募集型企画旅行(今後”ツアー”と略)への集客一辺倒だった旅行会社の役割も大きく変わりつつあります。
しかしながら、乗客の側が「旅行会社が予約を自社のツアーとして扱っているのか個人手配旅行(今後”個人旅行”と略)として扱っているのか」を明確に認識していないようにも思われます。
そこで、最新の状況をまとめてみました。なにか誤りとか訂正して方が良い箇所があれ指摘してください。
2.個人旅行か旅行会社のツアーへの参加かプリンセス・クルーズ「取り扱い旅行会社一覧」(添付URL)には、自社で企画・募集するツアーを専門に扱う大手旅行会社、大手のツアーを扱うと同時に個人旅行の予約も行っている(中小)旅行会社、個人旅行を専門に扱っている旅行会社を区別しないで掲載しています。
これらの旅行会社を訪問(あるいは電話)して予約の相談する時には、自分がどの種類の予約をしようとしているのか明確に認識しておく必要があります。
@ 個人旅行(FIT)の予約:一覧でWEB専門、XX個人旅行と注記された旅行会社はこの個人旅行の予約に特化しており、一般的にはツアーを扱っていません。その他の旅行会社は社名だけでは判断不可(部署、店舗によっては扱うことも有)
もともと、POLAR Online 予約システムは個人旅行とツアーの参加者比が80%対20%と言われている米国で発達した予約システムなので、個人の要望を正確に反映し短時間で予約を完了できるように設計されています。
このシステムにおいては、希望クルーズ、カテゴリーを選んで行くと、そのカテゴリーの空いている客室番号がリアルタイムに一覧表示されます。旅行会社担当者はこの一覧からお客の希望場所(右舷、左舷、船首、中央、船尾等)を聞き、客室を選ぶことになります。もちろん、「客室番号」を指定した予約の依頼※も可能ですし、車椅子対応客室の選定も可能です。
続いて、ダイニングの時間、テーブルサイズ(リクエスト)、位置(窓側等)の選定に進みます。
この予約が完了すると、料金、部屋番号と(プリンセスクルーズ社の)予約番号が書かれた予約確認書が旅行会社から発行されます。
※米国の予約サイト(Cruise.com)等を見れば、空室状況がリアルタイムで確認できます。これを見て予め希望の客室(2〜3室)を決めた後、旅行会社に依頼するのも良いのでは。
利点:● 自分の希望に合った場所の部屋番号を予約時に確定できる。
● 部屋の場所に特段の希望がなく、部屋番号の確定が最悪のケースで乗船時で良ければ、ギャランティー(保証)キャビンの選定ができる。この場合、同じ金額でアップグレードされる可能性がある。
● プリンセスクルーズ社の予約番号があるので、いつでも米国本社のサイトの特設ページ(クルーズパーソナイザー:Cruise Personilizer※)にアクセスし、予約内容を確認、寄港地観光の予約、スパの予約等が可能になる。
※アクセスの手順は別途説明
欠点:● 乗船に必要な書類および資料は旅行会社より送付されるが、乗船時および船内で旅行会社のスタッフ、添乗員によるサポート※はない。
※船内ではクルーズ会社の日本語サポート(日本語説明会、日本語資料、日本語を話すクルー等)があるので船内での生活に旅行会社のサポートが必要かどうかは個人の好みに左右される。
A ツアー(募集型企画旅行)への参加:これらのツアーを扱う会社は、自社がプリンセスクルーズから仕入れた(グループアロケーション)客室※1を自社の方式で管理しています。
このケースでは「客室の部屋番号を指定した予約」は受付けられず、出発日の2週間程度前に送付される乗船書類に部屋番号※2と(プリンセスクルーズ社の)予約番号※3が記載されるのが一般的だと思われます。
※1 仕入れ数量が多いほど、割引額(利益幅)が大きくなるのでしょう。このため、ツアーを組んでいる大手旅行社は来店客をツアーの予約に誘導する傾向があります。
※2 本来ツアーでは乗船書類と共に部屋番号が通知されるのが普通です。
しかし、悪質なケースとして予約客に通知しないでクルーズ会社の予約ではギャランティー(保証)キャビンと入力していたケースがあります。
このため、普通に予約をいれたにもかかわらず「乗船するまで客室はき決らない」と旅行会社は連絡していす。
ギャランティーキャビンの予約でグループ割引の増大を図ったのでしょうが、ツアーとして本来あり得ない手法です。
※3 ツアーでも、1.5ヶ月〜1ヶ月前に社内的に予約客に部屋を割り当てる会社があります。このケースでは問い合わせをすれば予約番号を教えてくれます。
利点:● 自宅近くの駅、空港から出発するツアーであれば、クルーズが初めての方でも添乗員が案内してくれるので安心して乗船できる。
● 万一、列車とか飛行機が予定より遅れることがあっても、添乗員が処置してくれる。特に、台風シーズンに小樽および横浜から乗船する場合、途中の交通機関が保証※されており乗船遅れの心配がないのが安心。
※旅行会社が代替え交通手段を用意するために別途費用が発生することもあるが。
● 船内でもツアー専任(顔見知り)の添乗員が相談に乗ってくれる。
● 独自の寄港地観光を用意しているツアーもある。これであれば、満席で予約不可の心配がない。
● 全ての寄港地での観光を含めたツアーを企画・販売している旅行会社もある。これなら追加費用が不要。
欠点:● 部屋番号を指定した予約ができない。
● 部屋番号が出港の2週間程度前まで決まらない。これに伴い、乗船時間も決まらない。
● クルーズ会社の予約番号が2週間程度前になるまで通知されないので、プリンセス米国本社のクルーズパーソナイザーを経由した寄港地観光(船会社提供の)、スパの予約等ができない。
● 1ヶ月程度前に船会社提供の寄港地観光の申し込み書がきても、人気のあるツアーは個人旅行の予約者がクルーズパーソナイザー経由ですでに押さえてしまっていて、満席の場合がある。
<<非常に重要なこと>>(大手)旅行会社において、専任添乗員が同行しない「出発港に集合、帰港地で解散」のツアーが良く見られます。これらのツアーにおいては、出発港には旅行会社のデスクを設け、船内には専任添乗員に変わるスタッフを配置することにより、ツアーで最も重要な「旅程管理」の責任を代行しているのかもしれません。
しかしながら、船内で多くのツアー参加者が少数の顔見知りでない旅行会社のスタッフに相談に乗って貰うのは物理的に困難なことと思われます。
したがって、この形式のツアーではツアーの利点は
殆ど得られず欠点ばかりが目立つことになります。
「出発港に集合、帰港地で解散」のツアーを選ぶより、個人旅行が好ましいと個人的に思いいます。
なお、ツアーとしては
専任添乗員が同行してこそ、その利点が発揮されるとも思います。特に初めての方は。
http://www.princesscruises.jp/travel-agent-list/