| タイトル：昨夜、杉浦啓太郎君の夢をみました。 |
投稿者：大橋新也
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私自身、彼には、大変世話になりました。私の父が倒れてから約一週間。ずっと父の傍についていてくれました。そして、最後の脈が途絶えるまで・・・・・。父も、ろれつが廻らなかったのでしたが、ちゃんと杉浦君の介添えには、感謝して、そして安らかに旅たつことが出来ました。
父の葬儀には、かご平の武藤君が率先指揮で、多くの同級生と一緒に葬儀を取り仕切ってくれました。そのご恩は、今も尚、忘却いたしては居りません。
さて、杉浦啓太郎君のエピソードですが、彼の家は、質屋でした。彼は幼いときから、両親の商売上の態度、姿勢に疑問をもっていました。彼の目からは、両親は、お客をいじめている様にしか見えなかったのです。と言うことは、めっぽう高い利息で質草を種に金を貸していたことです。「これでは、どうやっても返せるわけがない。こんな商売によって生活している中で、将来ともに恨みをかうばかり、自分が目の黒い内に、それを清算しなければ、将来は決して明るくない。」その様に心に決めた彼は、進学に関して、両親と交渉したのでした。それは、「自分は、必ず医者になって、両親の罪を償う。」と言う不動の決意でした。しかし、両親は、それを聞き入れず、彼に質屋を継がせようとしたのでした。そこで、決定的な答えを両親から引き出したのでした。両親が曰く、「もしも、お前が千葉大の医学部に入学ができて、更に、成績が一番で卒業できたならば、立て替えた学費はチャラにする。(さすが質屋のオヤジらしい態度、自分の息子であってもお客の様にあつかう。)」それを聴いた彼は、「シメタ!」と思って。それから猛勉強!!! 見事千葉大の医学部に入学。さらに、約束通り、トップの成績で卒業したのでした。
そう言う腹の据わった彼でしたので、卒業後も教授の言うことは聴かず。結局、関東逓信病院に誰の推薦も取り付けず就職したのでした。しかし、その後も、マイペースな彼は、関東逓信病院をけとばして、日本橋の高島屋の横筋に面した一等地に、可愛いクリニックを開業。そこで、老人医療専門に従事したのでした。彼のお得意の療法は、「アリナミンの大量静脈注射」です。アリナミンは、口から投薬すると、必ず胃壁を痛めますので、直接静脈に注射することによって安全に身体全体に行き渡ります。この薬の効果は、老人は、真っ先に毛細管の中の血流が淀んでしまうので、このアリナミンの効果によって、スムーズに、その血流を正常化します。
同級生の藤谷隆夫君のお母さんは、ほとんど毎日の様に、そのクリニックを訪れていました。
そんな彼が、ある日突然、駆け足の様に、あの世に旅立ってしまったのです。
彼は、多くの知人患者に親しまれ、頼られ、愛されてきました。
これで、きっと、彼の幼かった当時の両親の所業の償いが出来たと思ったのでしょう。
兎に角、言い出したら後に引かない強靭な性格の持ち主でした。
