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誓いの花 STAGE3


「Flower of an oath〜誓いの花〜」   STAGE3




ロゼとクロスはお互いにしばらく黙りこんだ。

やがて、先に口を開いたのはロゼだった。



「俺は、約束を守るためだ。スズとのな。」



『スズ』という呼び方に即座に反応し、思わずクロスはこんなことを言ってみた。


「約束?・・・というかそれよりも、お前俺の前では「姫」ってずっと呼んでなかったか?」



「別に、呼び方は俺の勝手だろう?・・・言っとくがクロス、ノーコメントだ。」


どこか楽しげなクロスの口調に反応したのか、即座にロゼはそう切り返してきた。
「うっ」っと一瞬言葉に詰まるが、それでもクロスはロゼをからかおうとした(おい)。



「・・・ロゼ、・・・・・・・・姫様のこと、どう思ってんだ?」



「言っておくがそれが「恋愛感情」という意味でなら言わないぞ。・・・まぁ、もしお前が好きな奴がいるんなら、それと引き換えに言ってやらんこともないが?」


またもやロゼはクロスの言葉の先手を打ったとさ♪(ぁ)





「なっ・・・・・・!?あのなぁ!!俺にだって好きな奴ぐらいいるっての!!」





「ふーん・・・クロスにもそういう相手いるんだな?(にやり)」



そんなどこか勝ち誇ったロゼの笑みを見て、数秒後。

クロスは、気づいた。




「〜〜〜っ!!・・・・・・ロゼっ、お前なぁ!?(真っ赤)」




そう。
クロスは勢いでついロゼの口車に乗せられ、ぽろりと自分に好きな相手がいると肯定してしまっていたのだった。


しばらくロゼはただ眺めていたが、やがて声をたてて笑いだす。



「ははっ・・・雰囲気が変わっても性格は変わっていない・・・みたい・・・だなっ・・・」



そんなロゼをにらみつけているクロス君でしたが、顔が赤く迫力など一切ないのでした(誰)

そして、ある程度クロスが落ち着きを取り戻したのを見計らって・・・かは定かではないが、ロゼは呟く。




「・・・さっきの話だけどな。・・・・・・「恋愛感情」ってのが何なのかよくわかってないが、好きか嫌いかと聞かれたらそれは好きだって言い切れる。」




その言葉に、若干呆れつつクロスは左手で前髪を上げる。


「お前・・・人の恋愛には鋭いくせに自分のは鈍いのかよ・・・・・・(汗)」



「そうかも、・・・しれないな。・・・・・・ところでクロス、その額の傷は・・・?」


意外にも肯定していたロゼだったが、ふとクロスを見ると上げた髪の下に傷痕らしきものを見つけた。

やがて、その視線に気づいたのか、クロスは苦笑しながら口を開く。



「・・・あーこれか。・・・2年前のあの時にちょっと、な。・・・髪型変えたのも、これを隠すため。・・・・・・って・・・」


ぽたっ・・・


そんな音が聞こえたような気がして、一瞬何かと思ったクロスだったが、目の前のロゼを見て理解する。
・・・だけど信じられなかった。


「・・・えーっと・・・何で、泣いてるわけ?」


指摘されるまで気づいていなかったのか。
ロゼは慌てて自らの目元に指先で触れてみる。すると、確かに濡れていた。



「・・・っ・・・!? 人前で泣くことなんてなかったのに・・・」



自分でかなり驚いている様子のロゼに逆に驚きつつも、クロスは黙って成り行きを見ていた。

しばらくの後、ロゼは小さな声で呟く。



「・・・不安だったのかもしれない。」



たったそれだけだったが、クロスにはとても意外に思えた。
ロゼが素直に思ったことを言うのをあまり見たことがなかったからだ。


「・・・珍しいな、ロゼがそういうこと言うなんて・・・」


ぼそりとそう言ったクロスだったが、ロゼはそれをきっかけにして一気に言った。



「お前にはわかるのか!?守られてばかりが嫌で、守る力がほしくて騎士に志願したのに守れなくて・・・そんな複雑な心境を持ち続けている奴の気持ちが・・・!
でも、俺は別にこの気持ちがこのままでも構わない!!・・・ただ、スズとハルを失いたくはないんだ!
・・・だから、俺はスズとの約束を守るため、それもあるけど!!必要なんだ、俺が俺らしくあるためにも・・・!」



いつも冷静なはずのロゼは、微塵もそんな様子を感じさせないほどに声を大にして取り乱していた。
しかし、前回も言ったが、叫ぶことはほとんどないに等しいのでかなり息が荒くなっている。

クロスも、例の事件でかなり堪えた面はあった。
それでもまさかロゼがここまで感情を露わにするとは思っていなかった。
しばらく、何も言えずに立ち尽くしていたクロスだったが、不意に不機嫌そうな声でロゼに言う。


「・・・ところで、大切なのは姫様とハルだけなのかよ?」


言ったクロスの表情はまるでさっきまでの仕返しだと言わんばかりなものだった。
でも、きっと今は少しぐらい言ってやってもいいと思うんだよな。




「心配しなくても、お前も入ってるっ!!」




それだけ言い放つと、ロゼはふいっとそっぽを向く。
少し顔が赤くなっているのは気のせいということにしておいておくとする(ぇ)。

それを見て、クロスは思わず口元に笑みを浮かべ、後ろから近づく。

・・・あ。先に言っておきますが、2人の立ち位置は変わってませんよ?
しかし、ロゼが照れ隠し?で後ろを向いたため、クロスはロゼの真後ろってことになっただけです(何)。



やがて、クロスはロゼの背中にもたれかかるような体勢になり、そのまま口を開く。


「・・・あのさ、ロゼ。」


「・・・何だ?」


どこかむすっとした口調のロゼに一瞬苦笑しつつ気にせずクロスは言う。


「泣きたいなら、泣けば?・・・この状態だったら俺は見えないし。それに、俺だって何もやってなかったわけじゃない。少しぐらいでもロゼを助けることはできっけど?」



しばらくして、クロスには背中越しに僅かな震えが伝わってくる。
おそらくロゼは声を必死に押し殺して泣いているのだろう。








「クロス・・・・・・その、・・・ありがとう・・・」



ぽつりとそっけなくロゼはそう言った。

そして、しばらく黙っていたが、クロスは耐えられず思わず笑いだした。


「ロゼってホントに素直じゃないよな・・・」


「余計な御世話だ馬鹿クロス!」


さも不機嫌そうにロゼは反論する。
それでもクロスは笑うのをやめなかった。



「違うって・・・そういうところもロゼらしいって言いたいんだよ!・・・それにっ、何年付き合ってると思ってんだよ、俺達は!」



「そうだな、もう7年だな。・・・ところで、さっきの話・・・・・・」


諦めたのか、ロゼはふとこう漏らす。
笑いながらもクロスははっきりと言った。


「さっきのは本当。・・・っていうか俺がロゼに嘘をつく必要ねーだろ。」


「ま、それもそうだな・・・(こいつには絶対言ってやらん。・・・再会できて本当に嬉しかったなんて・・・)」」







■続・後書き■

ロゼとクロスは仲はいいですよ?
けど、クロスはハルには敵いません。
あくまでもロゼにとっての『親友』はハルだから。

ちなみにクロスは花では一番扱いやすいキャラです。今のところ。
基本はっきりとした物言いなので。(何)
だからといってクロスにはまったく謎がないというわけではありません。
まー今後の展開もあるので言いませんが。

ちなみに4話は現在執筆中です。


では恒例?の津波さんの感想です!

<津波さんの一言感想>
ロゼ、ツンデレツンデレ!
次回はクロスをからかうことをメインでやって欲しいと思いました。というかやれ(命令!?)
普段は上目線のロゼですが、姫様には強気でいられないとかいうお約束でも私は好きです。
……でも本当に素直じゃないな、ロゼ(ぁ)








No.23 日乃 水葉 2009年02月03日 (火) 22時35分


簡単感想?

クロス、ロゼにやられまくりですね。
というより、ロゼがクロスの弄り方を熟知してるのかな?(違)。

それでも、この2人は仲が良い感じがしました。
要するに今回のは、2人の仲が良いゆえのじゃれあい(違)。

まあ、それはそうと。
今後はクロスがロゼの支えになりそうですね。
今後の展開に期待しています。

No.24 クロム 2009年02月03日 (火) 23時09分

勘違いコメント

ずっと不安だったロゼ。ロゼは大切なものを守るために必死で戦ってきた。でも、クロスとの再会によってどうやらいい方向へ進みそうですね。2人で活路を見出してくれることを期待します。

……それにしても、クロスの気になる人も出てくるかどうかも少し楽しみです。出てこないで終わるというオチもまたオツですけど。


……ところで、クロス×ロゼフラグに見えたような話でもありました(ェ)

No.28 HIRO´´ 2009年02月27日 (金) 10時43分




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