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SLMメモリー4

Scout of Lost Memories
メモリー4
創生の遣い リノア






 不思議な感覚がする。
 言葉ではうまく言い表すことが出来ないけど…。
 敢えて言葉で表現するなら、懐かしさ。
 記憶の何処かに存在していたであろう、この感覚。

 

「目覚めたか…。テメェの記憶が」

 目の前で対峙する少年に向けて、言葉を発した存在。
 『破壊の遣い』を名乗った謎の男、ゼバル。
 さっきは、桁外れの力を見せ付けられたんだけど…。
 負ける気が、しない。


―――……行ける!


 改めて、タクロウは目の前に立つ男に鋭い視線を向ける。
 それでも向こうの姿勢は不変。
 まるで、彼の身に起こった事など些細な出来事である事を、体現しているかのように。

「…フィル、サイケこうせん=I!」

 そしてタクロウは、攻撃を再開する。
 彼の側で佇んでいたエーフィのフィルに指示を出す。
 タクロウの指示を受けて、フィルは額の水晶部分から紫の光線を発射。
 ゼバルは、その光線に掌を翳す。
 そして、今までに何回も放っているあの攻撃を繰り出す。

 だが、フィルの攻撃は打ち消されていなかった。
 それどころか逆に、ゼバルの攻撃を無力化してしまう。

「…チィッ!!」

 舌打ちをすると、足元で軽い砂塵が発生すると同時に姿が消える。
 その数秒後、タクロウ達がいる場所を中心に広範囲の地面に亀裂が入る。
 そして崩壊。

「うわわわわ!!!」

 咄嗟にタクロウは駆け出す。
 途中、気絶したままのカズキも回収した。


 ズドォォォォッ……!!
 遠くから見ても、巨大な砂塵がこの場所で立ち込めているのがはっきりと解る。
 それ程、今の攻撃は凄まじかった。

「はぁ、はぁ…」

 息を切らしながら、タクロウは森林を駆け抜けていく。
 元々ゼバルの攻撃で全身がボロボロの状態。
 幾ら身体を動かしやすくなったとはいえ、それでも無理をしていた事に変わりは無い。

 走りながらも、時折背後を確認する。
 まだゼバルが追ってきているのではないかと言う、危険を考慮していた為だった。







 しかし意外にも、ゼバルは先程の位置から然程離れてない場所に居た。
 先程の砂塵のせいで、タクロウ達を見失ってしまったようだ。

「チッ、少し力を入れすぎたか。仕方無ぇ、こんな所であんまりでかい力を使いたく無かったんだがな…」

 まるで、何かに対して躊躇っているような台詞を吐くと…。

「破壊の促進(ブレイク・ザンロス)」

 独り言のように呟くと、ゼバルの右腕に奇怪な紋様が浮かび上がる。
 その紋様は、緑色に輝きだすと…。
 ゼバルの右腕全体を覆っていく。

 その状態になったゼバルのそれは、最早人間の身体とは言い難かった。
 先端が5つに枝分かれした、腕のような形をした高密度エネルギーその物だった。

「チマチマ探すより、まとめて吹き飛ばした方が手っ取り早くていい」

 そう言うと、再びゼバルの身体が宙に浮かんでいく。
 森全体を見渡せるような高度にまで上昇すると…。

 ゼバルは、そのエネルギーを地上目掛けて叩き付けた。
 地面に激突した瞬間、そのエネルギーは炸裂し、物凄い規模の大爆発を巻き起こす。
 ズドォォォォォォンッ!!!


 今、目の前に広がる光景が、先ほどの攻撃の凄まじさを物語っていた。
 ほんの数秒前までは、自然が溢れる豊かな土地だった、
 だが今は、巨大なクレーターが残り、緑が全て失われた更地と化していた。
 
 ゼバルのたった一度の攻撃で、この辺り一体が完全に破壊され尽くしていたのだ。

「…へっ、見付けたぜ」

 地上で腰が抜けているタクロウを見付けると、そこへ向かって一直線に進んでいった。







「い、今の……何!?物凄い光と音で、それから…」

 タクロウは、何が起こったのかを理解できていなかった。
 しかし、それも仕方の無い事だった。
 何しろ突然周囲が光に覆われて、物凄い轟音が響き渡った事しか理解できなかったのだから。
 タクロウが我に返って見渡した結果、目に入った光景が現在のこの状態だったのだ。

「…うわああああああっ!!」

 あれほどの桁外れな力を見せ付けられ、タクロウの心に残ったのは『恐怖』だけだった。
 最初の『負ける気がしない』という思いは何処へやら…。
 或いは、それすらも目の前の恐怖に飲み込まれてしまったのかもしれない。

 最早、タクロウの頭にはカズキを連れてあの化け物から逃げる事しか入っていなかった。

「(あんなの、勝てる訳無い…!! あんなの…!!)」

 ゼバルが自らの名を名乗った時、タクロウにはとある変化が起きていた。
 それは、彼自身の記憶のほんのの一部が見えてきた事。
 そして、それによって彼自身失っていた力の一つを、呼び覚ます事が出来た。

 だが、それすらも…。

「(あんな桁違いの力が相手じゃ、何の意味も無い…!)」

 そんな事を考えている間にも、ゼバルはタクロウに迫ってくる。
 このままでは、とても逃げ切る事は出来ない。
 そうなると、選べる選択肢は一つだけ。

「戦うしか……!」

 震える足を必死に落ち着かせながら、タクロウは立ち上がる。
 そのとき既に、ゼバルはタクロウの数メートル先で待ち構えていた。
 ちなみのこの時、奴の右腕は元通りになっていた。

「へっ、もう逃げねぇのか?」

「逃げ切れる状況じゃないから……ね」

 相手の雰囲気に気圧され、言葉からは弱々しさが感じ取れる。
 それでも、表情は硬かった。

「…フィル!!」

 タクロウの頭上から、フィルが飛び出した。
 そして紫色のエネルギー球体を発射する。

「けっ、馬鹿正直にテメェの攻撃なんか喰らうわけねぇだろうが!」

 またしても、ゼバルの姿がその場所から消失した。
 フィルの攻撃が素通りしてから、再び元の場所に姿を見せた。
 そして…。

「消えな」


 ズドォォォォンッ!!
 これで何度目だろうか。
 ゼバルの放つ未知なる破壊攻撃が、タクロウとフィルを薙ぎ払う。

「ぐっ、ぅ…」

 タクロウはとうとう、両手を地面に付いてしまう。
 フィルもダメージが大きくて、殆ど余力が残っていなかった。
 …最早、2人とも限界に達していた。

「少しは手応えあると思ったんだがな…。いや、偶然にしろ俺に一撃与えた事は大したものだ。が、やっぱ期待外れだったな」

 このままでは、やられる。
 その事を覚悟した瞬間だった。

「消え…」

 突然だった。
 突然現れた女性が、ゼバルの右手を抑え込んだ。

「!?」

「リノア!? 何でテメェがこんな所に」

「それは私の台詞ですよ。まだ、時は満ちていないのです。勝手な行動は慎んでください」

 突然の第3者の出現に、タクロウは戸惑っている。
 だが、ゼバルとリノアと呼ばれた女性はお構い無しに対話を続ける。

「勝手な行動ってなぁ、何でわざわざ待つ必要がある?今、この場でこいつを始末しちまった方が手っ取り早くて楽だろうが」

「貴方は『破壊の遣い』を先代から受け継いで、どれ程の時を過ごしました?」

「あ?んなもん一々憶えてるかよ。まあ、人間の常識で測れる範囲をとっくに超えてるって事だけは、はっきりしてるがな」

「私達の戦いは、単純な殺戮ショーでは無いのです。時と場所を選ばなければ、取り返しが付かない事を貴方も知っている筈」

「…」

「それでも尚、彼と戦い続けると言うなら、私は全力で貴方を阻止します」

「けっ、そのガキもそうだが、テメェの相手はもっと面倒だ。この場は引き下がってやるよ、『創生の遣い』リノア」

 それだけ言葉を吐き棄てると、ゼバルの姿が消える。
 彼の気配は、遥か彼方へ去っていった。

 この場に残されたのは、タクロウとリノアと呼ばれた女性一人。

「あ、あの…」

「勘違いしてはいけません、私は貴方の敵。彼…、『破壊の遣い』ゼバルの同胞です」

 タクロウが言おうとしたのかを予め察していたかのように、リノアはタクロウの思いを否定した。

「え…!?仲間同士なら、どうして戦いを中断させるような事を…?」

「どうやら、記憶はまだほとんど眠ったままのようですね。何れ、この時の意味を理解できる日が訪れる事でしょう」

「…?」

「では、失礼します」

 意味深な言葉を言い残して、リノアも先程のゼバル同様この場から立ち去っていった。

「僕の、記憶に関係しているのかな…。さっきの2人」

 意味深な言葉は、今のタクロウに理解できる筈もない。
 可能性として残されていたのは、今まさにタクロウが言葉にしたそれだった。

”ねえ、タクロウ!カズキ君を!”

「! そうだ、カズキ君!!」

「へっ、心配そうな声出すなよ…。ちゃんと生きてるさ」

 気が付けば、カズキは身体を起こしていた。
 が、やはり傷を追っているせいなのか、身体を抑え込みながらの目覚めだった。

「カズキ君、大丈夫なの!?」

「ちっと身体が痛むけど、まあ心配無いさ」

「良かった…。とりあえず、さっきの場所から大分南に逃げてきたから…。そろそろシンジ湖の近くに出る筈だよ」

「そうだった。一旦家に戻って、準備し直すんだったな」

「うん」

 とりあえずタクロウはカズキに肩を貸した。
 フィルはタクロウの頭の上に乗っていた。

 タクロウ達は傷を治すという目的も含めて、一旦故郷フタバタウンに向かって歩いていった。










 あれから3日ほど経過した。
 2人とも、傷はすっかり完治していた。

 そんな2人は改めて、今後の目的について話し合いを始める事にした。

「確か、シンオウ神話に知識の神と呼ばれるポケモンが居て、そいつが何か関係しているんじゃないか…って話だったよな」

「うん。だけど、それ以前にこの間僕達を襲ってきた敵…。あいつも、僕の記憶に関係がありそうな感覚がしたんだ。そして…」

「お前自身が無意識のうちに発揮した、『打ち消される事の無い攻撃』の力…か」

「兎に角、現状解らない事だらけなんだ。一つ一つ、疑問点を解決していくしかないよ」

「…やっぱり、ユクシーに会ってみない事には何も変わらない…って事だな。よし、それじゃあ早速探しに行こうぜ」

「あのね、そのユクシーの居場所に関する手掛りが無いからこうしてるんでしょ?」

「そう言えばそうだったな」

「…(汗)」

 カズキの何ともいえない発言に、タクロウは呆れる事しかできなかった。
 まあ、それはそれとして話を続ける。

「とりあえず僕たちは、当初の目的通りカンナギタウンを目指そう。そこで、何か手掛りが見付かるかもしれない」

「ああ」

 結論は決まった。
 当初の目的地、カンナギタウンを目指すと言う事で二人の意見は一致した。

「じゃあ、行くか」

「うん」

 荷物を纏めると、2人は再び故郷フタバタウンを旅立っていくのだった。







 辺りは、黒一色で塗り潰された世界。
 まるで永遠の闇をそのまま形にしたかのような場所。
 その場所に、二つの気配が突然現れる。

 タクロウの前に現れた謎の二人、ゼバルとリノアだった。

「…にしても、正直期待外れだったな。手応えが無さ過ぎだ」

「まあ、貴方でも圧倒出来る程度ですからね。警戒に値する迄もありませんでしたね」

『だけど、油断はしないほうがいいよ。あいつは、どんな風に変化するのか全くの未知数なんだからね』

 と、そこへ別の気配が出現する。
 その気配は、この二人と比べても次元が違うほどの、圧倒的な存在感を曝け出している。

「…へっ、そりゃ確かに貴方の言う事は正論だ。幾ら今は、取るに足らねぇ雑魚とは言え、『運刻交差(ディジチャークロス)』までにどんだけ伸びるかなんてのは、誰にも解らねぇ」

『それでも僕たちのやるべき事は変わらない。解っているね?『破壊の遣い』ゼバル 『創生の遣い』リノア。従順なる、『浄化の使徒』よ』

「…ああ、解ってる」

「そろそろ、我々の活動周期が廻ってきます。その時の為に、貴方の力を完全な物に」

「今しばらくお待ち下さい。俺達は、貴方のためだけに行動する存在。貴方の行動の妨げになるであろう『連中』の始末は、俺達にお任せ下さい」

『頼んだよ。ゼバル、リノア』

 その言葉を聞き届けた後、2人の気配はこの場から消失した。
 2人はそれぞれ、広大なるこの世界に『ある目的』を持って再び降臨するのだった。


続く


後書き
うわぁ、完成にどんだけ時間喰ってんだよ自分。−−;
このメモリー4が完成するまでの間にCOMのジョウト篇が終わっちゃうし…。
あんな調子でこっちも進められたらいいのになぁ…。(遠い目)
まあ、それは兎に角。
このメモリー4を以って、SLMのオープニングシリーズが終了しました。
次回からこの小説が本格始動です。…連載開始からどんだけ時間使ったのかなんて、もう憶えてません(待て)。

さて、基本的にこの小説はバトルシーンが然程多くありません。なので、1話辺りの長さがまた短くなりそうで怖いんですけど…。−−;
普通のトレーナー同士のバトルとかは原則的に省こうかと思ってます。あんまり意味の無い戦いを何回も繰り広げるのもあれなので。
その分、1話辺りの展開が速くなる感じがします。さっさと核心に迫っていきたいですね。
という訳で、後書き終わり。次回もお楽しみに

No.33 クロム 2009年06月27日 (土) 12時24分


あやふやに感想

圧倒的実力のゼバル。しかし、止めたのはその同胞と明言するリノア。
果たして、浄化の使途たちの目的とは一体?奴らの目的とは一体……?

そして、カンナギタウンを目指すタクロウとカズキ。そこで一体何があるのでしょうか?カンナギタウンと言えば、確か、シロナの出身地でしたよね?

ところで、リノアと言われて、某RPGのヒロインを思い浮かべるのは、きっと私だけでしょう←

No.34 HIRO´´ 2009年06月29日 (月) 17時26分




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