[31] 散華〜6〜【WIZ、剣士】 |
- DJ - 2008年09月06日 (土) 20時12分
ハインは頭の良い男だった。何の気なしに聞いたことにも、誠実に答えてくれた。 ハインと話しているのが、ルースは好きだった。感心もしたし尊敬もした。自分が行けばにこやかに迎えてくれるのも嬉しかった。 ハインが帰ってくるのはいつも深夜だった。
人気のないギルドホール。 自分の居室に入ろうと通りかかったランド、 「兄さん、寝ないんですか」 やんわりと諌めた。 「んー、寝るよ。おやすみ。」 ルースは笑ってごまかす。 ハインを待っているのだろう。それはちょっと妬ける話だとランドは思う。でも。 ――兄さんは明日は寝不足でふらふらだろう。それを補うのが僕の役目。 どこまでも前向きなランドは、素直に自室に引き取った。
ややもして、それと入れ替わるように。 「まだ起きてたんですか」 音もなくハインが帰ってきた。 「うん」 今日はどこへ行ったんだい。その魚は何を食べるんだい。それはきれいだろうね。その町はどこにあるの。 「今度連れてってあげましょう」 ハインは、甘い。 攻めるより守りに長けたこの壁剣士は、戦場ではルースの護衛を仰せつかっている。その庇護欲がプライベートでも抜けないらしい。 「3時だ。そろそろ寝ないと明日に障りますよ。」 「んー…」 曖昧に嫌がった。甘えている。 何と答えたらよいのか迷っていると、言ったそばからこの男、すやすやと寝入ってしまった。 ハイン、頬に笑みを浮かべたまま、晩酌の続きをする。
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――まだ灯りが。 寝返りついでに目を覚ましたランド。 そっと居室を出た。 案の定、灯りはテーブルのものだった。 「やあ。こんばんは。」 ハインが屈託なく声をかけてくる。 「おかえりなさい。遅かったですね」 あなたのことは嫌いじゃない。でも、兄さんがあなたを待っていたなんて、死んでも教えてあげませんから。 その兄は、すでに寝息を立てている。 「まったく、どこでも寝るんだから…。」 図書室にひっくり返っていたり、ギルメンとトランプ中に寝ていたり。しかも、一度眠ったら朝まで起きない。ルースは寝起きがおそろしく悪いのだ。 ランドは甲斐甲斐しく、そういう兄を見つけては部屋に運んでくる。 女性にすらあっさり押し倒される兄だ。ギルメンといったって、加入したばかりの者もいる。兄の身を狙う不心得な者がいつ現れるか、知れたもんじゃない。 結局ランドも、ハインに負けず劣らず甘いのだった。 「兄さん」 肩を揺する。 「んー…」 構わず抱き起こすと、ルースは一瞬薄く目を開けたが、そのままランドの肩に頭を預けた。 「すまないランドくん、これを飲んだら行こうと思っていたんだが」 ハインも立ち上がる。 「いいですよ。あとは僕に任せてください」 「いや…」 結局二人して、ルースの自室に向かうことにした。先導して扉を開けてやるハインだったが、ランドは申し訳ないと思いながら邪魔と思ってしまう。 ようやく兄をベッドに座らせて、ロングコートとブーツを脱がす。 「君はいい弟だな。」 ランド、ルースの実の弟ではない。 「…過保護だっていうんでしょ」 兄と呼んで慕っているだけだ。劣情を抱かないという暗黙の主張の下、こうやって一番近いところにいることができる。 ――ええ、当然あなたからも守ります。 ハインには指一本触れさせずに兄を寝かせた後、ランドは音を立てて外鍵を閉めた。 ハインは苦笑した。 「とって食ったりしないって。」 「外敵対策ですよ。」 ランド、にっこり微笑んだ。
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・ちょwぬるすぎるwWIZが姫すぎて自分でもむかついてきたw ・けど愛されアイドルはどこのギルドにもいると思うわけで、その存在が萌え!ですw ・とりあえず弟WIZ vs 新参剣士対決が書きたかっただけとゆう(本命天使どこいった!!!1
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