[47] 無題【剣士×シーフ】 |
- おかゆ - 2008年10月22日 (水) 01時56分
INギルドホール
「―――ッ!離せよ!!」
シーフは銀髪に隠れる紅い眼で剣士を睨みつけた。 両腕を押さえ、壁に押し付けられている状態ではろくな抵抗もできず、ましてや力自動上昇の剣士には全く敵わない。
「ずっと考えてた」
剣士はこんな状況であるにも関わらずぽつりと呟く。
「この細い腕でダートを投げていた時も、罠を自慢気に解除していた時も、GHでみんなと笑っていた時も」
淡々と話す剣士に、シーフは抵抗を忘れていた。 いや、できなかったのかもしれない。 剣士の眼はまっすぐにシーフを捕らえていたから。
不意に強く押し付けていた腕を離し、シーフの顔に優しく手をやる。
「いつも余裕ぶってるこの顔が崩れていくところが見たいんだ。…もっと言うなら突っ込んで悦ばせてやりたい。ずっとそう考えてた」
シーフの顔が真っ赤に染まる。 普段クールを装ってる彼がここまで感情をあらわすのは珍しい事だった。
「…じょ、冗談、だろ…」
とうとう本当に身の危険を感じた彼は慌てて辺りを見回し、探知する。
「今は誰も来ないだろうな。お前も知ってる通り皆Gv中だ。」
確かに探知にも誰も引っかからない。 どうこの場を切り抜けようかとシーフが試行錯誤しているうちに、剣士はシーフの服に手をかけていた。
「真っ白だな、お前の体」
真っ白…
シーフは思いついたようにスキルを発動させる。
「シャドウスニーキング!」
剣士の手にはシーフから剥いだ服のみしか見えなくなった。 しかし、剣士は笑う。
「……ハハッ!そんな格好で何処に逃げるっていうんだ?GHを出てもスキルが切れた途端に見世物だ」
否定はできなかった。 確かにCPも残り少ない。
殺るしかない
GHで倒れていればきっとBISがリザしてくれるだろう。 ここを切り抜けるにはこれしか方法はない。 シーフは息を潜め、剣士に狙いを定めた。
―――ヒュッ、
ガン!!
「…ってぇ!!!」
剣士の悲鳴…かと思えばシーフの悲痛な声。 結果的に暗殺は失敗に終わってしまった。おかげでCPは−になり、スニーキングも切れてしまっている。
「何だ、そんなところに居たのか」
そのまま剣士は倒れているシーフに覆い被さる。
「あーあー、鼻血出ちまって。ダンシングONにしてる時はうかつに近づくなよ」
シーフはもう絶望的な気持ちだった。 反面、妙にニコニコしている剣士が余計に恐ろしく見えた。 自分の非力さに無意識に涙が零れる。 一度零れてしまった涙は止まらなく、シーフ自身にはもうどうする事もできなかった。
「……うっ、ひっ……く」
シーフが泣き出してしまった事で、今度は剣士の表情が一変する。 どうしたらいいか判らない様子で慌ててシーフを抱き上げた。
「そんなに痛かったのか?泣くなよ…泣かないでくれよ」
子供をあやすようにシーフの瞼に軽いキスをする。
その時、
「あー、つっかれたー」 「相手雑魚すぎwww」 「今日も大勝利だったねー!…ん?」
「「「「「あああああああ!!!!」」」」」
ギルド脱退しよう…。 シーフは思った。
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はじめまして! 剣士シーフの需要があるのかないのかよく判らなかったので性描写省いてみました! 自給自足…。 汚物投下すみませんでしたーっ!
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