[70] WIZ兄弟・兄視点語り |
- ψTrinity - 2009年02月13日 (金) 21時00分
弟がいると聞かされた。 その弟が3才になる誕生日。初めて会う事になった。
…正直、腹違いの弟など興味がない。
「ザド、お前の弟だよ。これから仲良くしておくれ」 そう言いながら父は赤色でひどい癖毛の子をこちらへやった。 「にーちゃ?」 ぐりぐりとした、やたらデカイ目で俺を見、兄と呼ぶ。 元々興味がなかった俺は少し見ただけで何も言わず父と弟を後にした。
その日から弟は俺の後をついてくるようになった。 口を開けば「にーちゃ」 考え事をして弟がついてきているのを忘れて歩けば「にーちゃ、まって」 少し席を外せば「にーちゃ、どこ?」 特にあれこれと面倒をみなくても勝手についてきているだけだったので好きにさせていた。 俺が魔法の練習をしている時も飽きもせず少し離れた所で見ていた。 …邪魔をしないだけいいか… その程度にしか思っていなかった。
しかし数ヶ月たつ頃には、この無条件の愛情を向けてくる弟が可愛くなってきた。
「ジィン」 弟の名前を呼ぶと、またこれ以上ないくらい可愛らしい顔で返事をする。
一ヶ月後に父がジィンを連れて帰ると言った。 とたんに弟は泣き出した。 父は苦笑しながら俺に任せたと言って帰った。
ジィンは勉強家
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