[77] Gv後@BIS×WIZ |
- いづる - 2009年03月01日 (日) 01時48分
「……ごめん」
そう言って抱きしめられた。 ギルド戦後の、ホールの片隅。
「え、ちょ・・・っ?」
驚くほどの間もなかった。力強い腕が背中に回される。 抱きしめられたのだ、と理解するのには一拍かかった。
反省会はもう解散したというのに、座り込んで帰らない彼を最初はAFKかと思った。 どうせだから落ちる前に悪戯でもしようかと、近づいた所で自分を見上げた彼と目があった。 腕を掴まれる。そのまま崩れ落ちるようにして引き寄せられた。
「っ・・・ちょ、待てってっ!人が・・・」
そして彼の腕の中にいる。 こんな、ところで! 一瞬で脳が焼けた。抵抗しようと僅かにもがいてみても、腕は一向に緩む気配がない。
「ごめん・・・・・・」
小さく呟く。 大事そうに抱え込んで、首元に顔を埋めるようにしてくる。
「・・・・・・ギル戦の、事?」
訊ねると、ぴくり、少し肩が揺れた。 抱きしめる腕の力が、ぎゅっと強くなった。
それは、戦闘も中盤に差し掛かった頃。 今日の相手は以前からのライバルギルドとの対戦で、いつも以上に雰囲気が緊迫していた。 幾度も衝突を繰り返した中盤ともなれば、誰もが殺気立ってくる。 支援のかけ直しに一度引いたまま、時間はじりじりと過ぎる。 点数は僅差で此方が負けている。残り時間は10分を切った。
そして、焦った剣士が飛び出した。
「っ…あのばかッ!」
この状況では一人の失点がギルドの負けに繋がりかねない。 止める声も聞かず走り出す。 支援はまだ終わっていない。BISは今動けない!
そのまま指揮が混乱した。 制止するギルドマスター。従うもの、従わないもの。 焦っているのは飛び出した剣士だけではない。
そして、不十分な支援のまま散開したのが敗因になった。 突っ込んだ先には、準備万端の敵がいたのだ。
「あっ……!」
そして、リンチ。
「・・・・・・。」
うずくまる彼を、横目で覗き見る。 自分よりずっと屈強な彼が、縋るように抱きしめて、動かない。 それが、泣いているようにも見えて。
そっと目を閉じた。 鼻で空気を吸い込む。少し汗臭いような、彼の匂いを嗅ぐと、何だか少し安心してしまって、笑みがこぼれる。 ゆっくりと彼の背中に腕を回した。
「……仕方ないよ」
「…でも」
「マスターも言ってただろ?皆、冷静じゃなかったって。 …俺も、そうだよ。負けたのは誰のせいでもない」
伸ばした手で、筋肉質な硬い背中を軽く叩く。 いつもと立場が真逆だ。 でも、これはこれで悪くないと、WIZは思う。
頑なに責任を投げ出そうとしない彼を、あやすように微笑む。
「・・・お前の範囲から離れちゃったのは、俺だもん」
なぁ、と呼びかけると、それでやっと顔を上げた。 今にも泣きそうな、情けない顔だった。 この人のこんな顔は、きっと俺しか知らない。
BISの顔を包むように頬に触れる。片方の指で僅かに滲んだ涙を拭った。
「なぁ、あんまり、一人で責任背負い込むなよ。俺には、そっちの方がつらい。 完璧なお前も、完璧じゃないお前も、俺は好きだから」
勢いのままさらっと言って見せたくせに、言った自分が恥ずかしくなって俯いてしまう。 僅かに赤らんだ顔のまま、はにかんだ笑みで目を上げると、嬉しそうに細めた赤い双眸と目が合った。
「……うん」
硬い指の感触が、頭の後ろに触れるのが分かる。 そのまま引き寄せられた、と思った瞬間、今度は考える間もなく瞳を伏せていた。 一瞬吐息のかかる気配がした後、優しく触れるような、キスの感触がした。
・・・・・・・・・・・ こんばんは、初めましてです。 久々に萌えを補給させて頂きましたwありがとうございました^^ 小説を書くこと自体が久しぶりな上に、夜間帯の即席ですので、お見苦しい点多々あるかと思いますがご容赦いただければ(´¬`;
BISは普段は落ち着いた大人な人、WIZは明るく面倒見が良い支援コンビのお話です。 リザではなく、なせないことが仕事、がモットーの彼がGvで恋人をなせてしまったら…という妄想です。
お粗末さまでした><
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