[9] ★散華〜1〜【戦士→WIZ(→天使)】 |
- DJ - 2008年08月21日 (木) 01時23分
・温かい返信をいただいちゃって調子に乗りました。小説板の活性化を祈って投下w ・一方通行です。またエロです。どうして普通に甘いのが書けないんだ。 ・私の好きなブロガーさんがわかっちゃった方、お友達になりましょうw
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ギルド「R」のアジトの長い廊下に、月がさし込んでいる。 その僅かな光を頼りに、男の部屋へ向かうルースの姿があった。いかにも優男といった風情の彼、職業は魔法使いである。実際剣も持てなかったし、また持つ必要もなかった。副マスの彼には、壁となる優秀なギルメンたちがいるからだ。 …だから、不意に伸びてきた腕に抱きすくめられ、一室に連れ込まれたとしても、不思議ではなかった。 「…?」 驚いて身を硬くしたルースの耳元に、男の声が囁く。 「僕です、ルースさん」 2ヶ月前にギルドに入隊した若い戦士であった。知っている声にルースはあっさり安心してしまうと、抱かれたまま振り返ろうとした。 「どうしたの――」 返事の代わりに男はぎこちなく微笑む。 「?」 闇に響く息遣い。 冷たく柔らかい手が男の手に触れた。その手首を乱暴に掴む。 「あなたが好きです」 ルースはたぶん、一瞬震えた。 「わかってます。マスタのこともわかってます。副マスにこんなこと、許されないのもわかってます。」 望む答えが得られないこともわかっている。だから男は一方的に続けた。 「…あなたは僕のことは嫌いですか」 「嫌いじゃ、ないよ」 ルースは、優しい。 どうしたものかと返答を考えているのだろう。 「あ。ね、ちょっと…」 それを半ば無理やり歩かせて、ベッドに押しつける。僅かに濡れた髪が夜風に冷たい。 「…すみません」 これは同意の上ではないことへの、詫びだ。 「あなたが死ねと言うなら僕は死にます。だから」 だから一度だけ抱かせてください。 低く抑えられた声が、思いつめた劣情を吐露する。 多感な年を魔法学院で育った彼に、男の気持ちなどわからない。 バスローブの帯を解く。 ローブの下は何も着ていない。そのことにルースは僅かに頬を染める。ギルド「R」のマスター・ジェイド、ルースはその愛人であった。 頬を撫で、口付けようとして、止まる。目が合う。そらす。苦しげに男は短いため息をついて、ルースの頬に軽いキスをした。 ろくな抵抗もされないまま、そのまま首筋から胸へ。細い身体をかき抱いて、頬擦りする。そして白い足首を持ち上げたとき。 …かすかな花の香り。後孔に塗り込められた香油の香りが。 男も気づいたのだろう、愛撫の手が止まる。 「どうして…あの人なんですか。」 声が掠れる。こんなこと言うはずじゃなかったのに。 「っ」 …ジェイドとの関係は、公言もしないが隠してもいない。たぶん彼は、誰かから聞いて知ってしまったのだろう。 「俺じゃ…だめなんですか。」 そ知らぬふりをして、後孔に指をゆすり入れる。 「やっ、そんな…」 男の腕を両手で掴む。掴んでも、指はずぶずぶと突き刺さってくる。 「ひ…いっ」 針金のように拒絶しようとする入り口と、とろけて絡みつく内壁。 「…ひどい人ですね。」 違うひどいのは僕だ。自分でもわかってる。ホントどうかしている。だけどもう止まらない。あなたの胎内の熱さを知ってしまったら。 もう我慢などできない。指を抜いて、自分のものを捻じ込む。 「うぐっ」 マスターが憎い。この人を独占している男が憎い。いっそろくでもない男だったら、躊躇いなしにこの人を奪えるのに。 圧し掛かる胸を両の手で押し返しながら、ルースの身体はがくがくと震えていた。構わずに、じりじりと奥まで入れる。 「あ…うう」 「…はぁっ」 心が奪えないのなら、せめて。 そして自分のものをすっかり入れてしまったとき、さっきまで確かに自分を拒否していたルースの両手が、自分に縋っているのに気づく。 女のように細い指。その頼りない手が。 たぶん間違いなく無意識なのだろう。 辛かったから手当たり次第にしがみついた、そんなところなのだろう。 ルースにはそういう癖があった。 「ルースさん」 呼んでも答えない。必死に息を詰めている。 繋がったまま体勢を整えてやると、目を瞑ったまま、ルースは震える息を漏らした。頬が上気している。 ああ、やはり僕は。 手を伸ばし、そっと頬に触れる。 僕はこの人を愛している。 肩から力が抜けた。 「…気持ちいいですか」 相手に合わせて、ゆっくりと腰を使う。縋られた両手が解けないように。 そうして穏やかに抱き抱かれ、やがて達した。 どのくらいそうしていたのか。 バスローブを着せ直し、抱きしめる。 「愛してます。それでも愛してます。あなたのためなら…僕は」 これくらいの心の痛みくらい。 しかし言葉を続ける前に、時計の音が1時を示す。 ルースは顔を上げた。 「…行かないと」 彼はこれからギルドマスターに抱かれに行くのだ。 犯されたことなどすっかり忘れたかのような静かな声。自分がどんなに想っても、彼がこの情事を思い悩むことはないだろう。端からこの人は全てをあの男に捧げている。 そのあなたをどうしてこの腕に引き止められる。 「…はい」 そして彼は、愛しい人の身体を解放した。
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・まだ続きます。批評などいただけたらうれしいですw
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