[88] 傍観する少女【リトル視点・BISWIZ】 |
- いづる - 2009年03月30日 (月) 18時07分
@何がしたかったのか分からない A全体的によく分からない Bリトルが夢のない子
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歌姫の母に最初に教えられたのは、「上手に嘘を吐くこと」だった。 リトルウィッチはどうしても差別の目で見られることが多いから、不満を感じても構わないけれど、パーティーメンバーにそれを悟らせるなと。
いつも笑顔で、最善を尽くしなさい。 くじけず、自分の可能性を信じなさい。 そして誇り高く歌うこと。
パーティーメンバーの白けた目線にも、苦笑にも、気づかないふりをして上手に笑えるようになった頃には、他人の嘘も見抜ける様になっていた。
傍観する少女
ギルドの中心を担うビショップとウィザードが、「そういう」関係にあるのに気がついたのは、本当はずっと前からだ。 ウィルフは人懐っこくて面倒見がいいから、メンバーに連れ出されて狩りに行くなんてしょっちゅうだ。 だけどそういう時、ウィルフは大抵他のメンバーにも声をかけていくし、私だってウィルフは好きだから、一緒についていくことも多い。
最初に変化を感じたのは、そのウィルフが、時たま誘いを断るようになった頃だ。 そりゃあ、支援とはいえウィルフもウィザードなのだから、このレベルになればそれなりの火力も備えるのは当たり前だ。体力の無さを補うビショップのシエルと組めば、狩りがスムーズに進むのは当然だろう。
だが、高Lvにもなったウィザードとビショップが、美しさに定評のあるシュトラセトの海岸で、一体何をするというのか。 二人きりで景色の良いマップに行く、そんな場面を幾度も知っていてどうして疑えずにいられるのだろう? 戦ごとしか頭にないうちの男どもは本当に鈍いから、気づかずにいられるのだろうけれど。
決定的な場面を見たのは、いつかの敗戦の後、ギルドホールで抱き合う二人を見たときだ。 思わず息を殺して石膏の像の影に隠れた。勘付いてはいたはずなのに、驚いて、呼吸が出来なくなるほど驚いて、二人が一緒に宿舎に入っていくまで動けなかった。
思い切ってカマをかけてみると、ああ見えてやり手のシエルには上手くはぐらかされてしまったが、単純なウィルフは挙動不審になって、案の定口を滑らせた。
「リリ!」
「分かってる。武道に粘着して止めるから、ウィルはシエルを逃がして」
互いに頷き合う。シエルに粘着して動きを妨害する武道を足止めし、ウィルフは勇んでシエルの元へ飛んでいく。 アースヒールの助けはそれほど必要でなくても、愛しい恋人が自分のサポートに回ってくれることは、シエルへのプレッシャーを軽くし、勇気付けてくれるに違いない。 その証拠に、二人は目が合った瞬間に一瞬微笑みあった。
「…俺に足止めが通用すると思ってるのか?」
武道が威圧的な低い声で脅してくる。
「貴方の邪魔になるなら、それで十分なのよ」
私は艶然と微笑み返してやると、また高らかに歌い始めた。
* * * * やまなし おちなし いみなし
本当にごめんなさい。本当はWIZシフも入れるつもりだったんですが、終わらなくなりそうだったのでやめました。 gdgdですみません(´ω`
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