先日作った筥迫をいれてお出かけしてきました。手前に写っているのは、かきつばたでもアヤメでも菖蒲でもなく、アイリスだそうです。
途中、外国から城下町の観光に来た方に「筥迫」について尋ねられ、やっと出た言葉が「ジャパニーズ キモノ アクセサリー」でした。お国はチリだそうで、スペイン語と英語を話されておりました。 彫の深い男性と華奢で可憐な”イパネマの娘”といった風情の彼女さん。筥迫に興味津々で中を開いて鏡が表れるやいなや「!」「これはコスメティックポーチでしょう?お化粧直しもできますね!」と大きな愛くるしい瞳がキラキラと確信に変わったようでした。 軽やかで明るい彼女のひらめきに、まさか「魔除け」とも言いだせず。通訳の方から「懐紙をいれるのでしょう?」と尋ねられ、そうですと言うと、あれよあれよという間にお茶席に関するものとして伝えられたようでした。確かに「簪差し」は菓子切入れにも見えます。
美しいものを見せてもらったお礼にと、チリの100ペソ(Peso)硬貨をいただきました。バイメタルの精巧なつくりです。額面はアンデス鹿とコンドル、肖像はチリ先住民マプチェ族の女性。(戦国時代の城下の民が、普段は農家でもいくさになると武器を持ち山城にこもって戦うのだと説明すると、大変共感されていました。このコインの肖像も誇り高きマプチェ族で、戦争の時は斧を持ち集結し、インカ帝国やスペインの侵略に屈することなく、銀細工や宝飾の高い技術を持ち、スペインとは300年にわたって共存し交易関係を結んだそうです)
ただ愉しんでいただければよいと微笑んでおりましたが、内心忸怩たる思いで、こんなことならもっと教本解説を暗記するほどしっかり読み込んでおけば良かった。通訳の方にも「高貴な武家の女性の服飾品で富と権力の象徴」くらいは日本語でお答えできたでしょうにと反省しきり。 それでも筥迫がこんなにも人の心をとらえる様子を目の当たりにして、嬉しくなりました。世界各国に通用する「キャッチー:catchy」な嚢物であると思いました。筥迫、国際的な意識をもって懐中しなくてはなりませんね。英語で表現するにはどのような単語を使うとよいのでしょう?
ちゅん [575] 05/11/(金) 15:04:51
お花とお揃いで、よい時期のおでかけでしたね。
また、外国の方との筥迫がつなぐ楽しい交流は きっとちゅんさんのすてきな筥迫が吸い寄せたのでしょう。
日本人でも、外国人でも、着物の胸元に差し込まれた 不思議な装身具に、誰しもが興味を惹かれずにはいられないのでしょうか。 これぞ筥迫の魅力!
これからも筥迫伝道師目指して、また新しい魅力的な筥迫を 作り続けてくださいね。
Rom筥 [576] 05/14/(月) 22:34:48
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