異国情緒あふれる鮮やかな筥迫は、綾部市の鳥「イカル」、花「梅」、木「松」をデザインした若手作家さんの可愛らしい型染めで仕立てました。パズルのような柄取りに時間がかかりました。黒谷和紙を使った筥迫はこれで五つになりました。
表布:黒谷和紙 型染、刺繍装飾 、 内布:絹(流水に梅柄) 挟み玉縁:内布と同じ / 緒締め玉:ヴェネチアンガラスビーズ透き金銀箔入8mm黒 メモ:0.7ミリ厚紙標準+鏡周りと被せ裏に懐紙二枚養生、綿入(キルト芯+縮緬一重) 打ち紐: 浅葱(江戸打ち)100cm ; 切り房:<浅葱21> + アクセント銀糸
「イカル」は鳥図鑑で調べ、紺、灰色、黄色いくちばし、ピンクの脚。初列風切り羽の中央にある白斑は銀糸で表現。細かい型染めにくっきりと色を添えられるのは絹糸刺繍ならでは。以前、薄物の古裂に小さく緻密な金銀糸の家紋刺繍がされているのを見て感動し、それなら和紙にもできるだろうと…素人の蛮勇あな恐しや、丈夫な黒谷和紙とはいえ、もし接着芯を裏打ちしていなければ、貴重な紙を梅の縫い切りで”型抜き”してしまったことでしょう。
さて。今回のまるでアラビアンナイトのような派手な筥迫を懐中するには少し勇気がいるような…。黒谷の里は奥深く平家の落武者が流れ着いて紙漉きを始めたという伝承があります。平安の貴族なればシルクロードの金銀の華やかな煌めきや、ペルシャ宝飾のトルコブルーも臆せず召されるのではないか…。 いえ…本当いうと、この夏にぜひいちど見てみたい超歌舞伎に出演する?バーチャルアイドルの髪色が青緑なので、お着物に「浅葱色」の房をたらした筥迫で着飾ってみたいからです…。とめどなく煩悩が渦を巻く胸元の一品、それが筥迫のハコセコたる所以かもしれません。
イカルを目立たせようと刺繍したり、せっかくだからと梅と松にも細かく金銀糸を刺しているうち長かった梅雨も明け、「イカル」が夏の季語だと知りました。(手漉き実演を見たのです。静寂の中、漉き職人の女性が凛とした佇まいでした。「キミコイシィー」はさえずりっぽく詠みたい♪) 黒谷の 水音かろく イカル鳴く 君恋しいと 手すき紙すき ちゅん
ちゅん [682] 08/03/(土) 13:29:36
新作の夏の筥迫ですね。 オレンジと浅葱の取り合わせがとても素敵です。
一瞬「イカル」→「イルカ」と勘違いしてイルカ柄を探してしまいました(笑)。 そしてイルカだから海(浅葱)なのかと思っていたら、初音さん色だったのですね(笑)。
そして内面はガラッと「冬」に変わる潔さ。
とても煩悩は感じないので、堂々と歌舞伎の席に装着して行ってください。
Rom筥 [683] 08/05/(月) 12:25:41
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