黒木氏ソニランSS (34) |
- 日時:2009年05月03日 (日) 00時09分
名前:名無し
「ランスロット」
王室のバルコニーから声を掛けると、パーシヴァルと剣術の手合わせをしていたランスロットが顔を上げた。
「何か御用ですか、陛下」 「ソニックでいいって言ったろ?」 「ではソニック様」 「だーかーらー、呼び捨てでいいって」
まぁいいや、と俺は手招きをして彼に上へ来いと合図する。 それを見たランスロットはパーシヴァルに短く挨拶すると、城に入り視界から消えた。
「失礼します」
しばらくしてランスロットが会釈して部屋に入ってきた。 そんな礼儀正しい態度にやっぱりアイツとは違うんだなぁと自然と上がる口角。
「何を笑ってらっしゃるのですか?」 「いや、何でもないさ」
未だに笑う俺に眉を潜めながらも、ランスロットは俺の横に来て「綺麗に晴れましたね」と天に広がる青空を見た。 俺もつられて顔を上げ、その眩しさに目を細める。
「で、御用は?」 「んー特に無いんだけどさぁ」 「は?」
俺の返答にランスロットは呆れたように溜息をついた。 その姿に向こうの世界にいる恋人を重ねてしまう。
(シャドウにもよく、そうやって溜息をつかれたな)
漆黒の美しい身体に鮮やかな赤のライン。 見れば見るほど同じ顔で、性格もどことなく似ている目の前の彼。
「私の顔に何か付いていますか?」
じっと見つめる俺を不思議に思ったのか、首を傾げながらランスロットはそう言った(その仕草が可愛いと思った)。
「何も付いてなんかないぜ?」 「でしたら、そんなに見ないでください」 「なんで?照れちゃう?」 「照れてなどいません!」
真っ赤になってそっぽを向いた彼の背中に手を伸ばし、「素直じゃないなぁ」と後ろから抱き締める。 いつも付けている重苦しい仮面を外していたため珍しくさらけ出された項に顔を埋めた。
「っ・・・、ソニック様!」 「今だけでいいから」 「?」
ダメだ、これ以上は進んではいけない。 戻れなくなってしまう。
「ソニックって呼べよ」
ダメだダメだダメだダメだダメだダメ、だ。
「ソ、ニック・・・」
その呟きは俺のよく知っているアイツそのもので。 その声に耐え切れず、俺はランスロットを床に押し倒した。 押し倒された衝撃で彼が「うっ」と声を上げたが、それを労わる余裕は俺には無い。 彼の唇に自分のそれを重ね、下を侵入させ口内を味わう。 角度を変えて何度も何度も深いキスをした。
「ん・・・ふぅ・・・!」
驚いたことに、ランスロットはキスの合間の呼吸法を知っているようだった。 ということは、少なからずもこういう経験をしたことがあるということだ。 俺はいったん唇を離し、涙目で組み敷かれているランスロットを見た。
「ランスロット、こういうの初めてじゃないだろ」 「っ・・・」 「誰とした?」 「・・・、元、王と」 「進んで?」 「王が求めるのなら、と・・・」
その時の状況を思い出したのか、キツく目を閉じるランスロット。 俺はその震える身体を優しく、出来るだけ優しく抱き締めた。
「俺は酷くしたりしない」 「ソニ、」 「だから抱かせてくれ、ランスロット」
返事の代わりに、唇に柔らかいものが触れた。
(愛のあるセックスをお前に教えてやるよ)
end
|
|