黒木氏お仕置きの話(王ラン) (39) |
- 日時:2009年05月05日 (火) 19時30分
名前:名無し
「これにて解散とする」
王のこの言葉に席に着いていた参加者全員が一斉に立ち上がり、一礼した。 常任会議はいつもこの形で終わる。 一礼を済まし王が出口へ向かうと、皆も各々執務に戻り始めた。
「ランスロットよ」
自分も部屋に戻ろうと廊下に出た、王に呼び止められた。 びくりと無意識に肩が跳ねる。
「なんでしょうか、陛下」 「今宵、夕食後余の部屋に来い」
それが何を意味しているのか、長年の経験から瞬時に理解した。 なぜ僕だけが部屋に呼ばれたのか、そこで何をされのるか、も。
「かしこまりました」
僕は深く頭を下げる。 磨き抜かれた大理石の床に、酷く怯えた目をした自分がぼんやりと映っているのが見えた。
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約束の時間、僕は1人廊下歩く。 この時、常に誰かしら歩いている廊下に誰の姿もない。 まるで何かの力により皆が姿を消してしまったようだといつも思う。 しばらく歩いていると、王の部屋が見えた。 周りの部屋よりも一際大きなドアを2回叩く。 「入れ」という言葉が小さく聞こえ、「失礼いたします」と扉を開け部屋に入った。
「ランスロット」
部屋に入り、暖炉の前の椅子に腰を掛けた王に名を呼ばれる。 それは近くに来い、という合図。 僕は王の傍によると片膝を着き顔を下へ向け、忠誠を誓う姿勢を取った。
「なぜ余の命令に背いた」
王の言葉にやはりその話か、とキツく目を閉じる。 数日前、僕に任された任務。 兵士達と共に村へけしかけ、全てを焼き払えという武力侵略の命令だった。
「住民は皆殺しにしろと命令したはずだ。なぜ女子供を生かした」
王の言葉が重くのし掛かる。 顔を下げているため、どんな表情をしているかは分からない。 しかし冷たい目をしている、という事だけは視線で痛いほどに感じていた。
「っ、女性や子供は今後、大した力にはならない、と…自分で判断したため、で す」
自分でも情けないくらい呟くような声だった。 いや、それしか絞り出せなかった。
「子はやがて青年となる。そやつが何も出来ないとは言い切れまい。親を殺され た子がその憎しみから兵を募り、反逆者になるやもしれん」
「それが陛下の命令に背くことは分かっていました。しかしっ!」
僕には殺せなかった。 泣きじゃくる赤子とそれを抱きかかえ、「この子だけでもお助けください」と懇願する母親。 彼女は決して僕から目を反らせなかった。 自分達はただ、領地拡大の戦に勝手に巻き込まれただけだというのに。
「とにかく、貴公は我の命に背いた。よって仕置きを下す」
「っ、陛下!」
王はそう言い立ち上がると、僕の腕を掴みベッドへと放り投げた。 シワ一つ無いシーツに沈む身体。 ギシリとスプリングが唸る。
「陛下…っ」
シーツを強く握りしめ、王を見上げる。 しかし暖炉の灯と月明かりしかない部屋で、仮面に隠れた表情は上手く読み取れない。 鎧を外せと目で合図され、僕は怖ず怖ずと身に纏っていた鎧を脱いだ。
「飲み干せ」
ずいっ、と目の前に出された小さな小瓶。 その中には薄桃色の液体が八分目程入っており、王の手の動きに合わせてチャプンと音を立てた。
「…はい」
蓋を開け液体を躊躇いなく一気に飲み干す。 ここまで来ては抗うことはほぼ無意味に等しかった。 後は早くコレが終わることを願うしか、ない。
「はっ、ん…っ」
しばらくするとじわり、と身体の奥が熱くなってきた。 それにつれ荒くなる呼吸。 さっきの薬は思った通り、催淫剤のようだった。
「ん、あぁ…っ」
もどかしさから身体を動かし擦れるシーツの感触にさえ欲望が掻き立てられる。 熱ばった瞳で王を見るが、相変わらず読めない表情で自分を見下ろすだけだった。 その視線にさえピクリと雄が反応する。
「く、あ…っ」 「何もせずともこの反応か」 「っあぁ!」
先走りが流れる自身を強く握られ、声が上がった。 そのまま擦り上げられるのかと思いきや王は一旦手を離し、僕の両手を頭上で縛り上げる。 自由を奪われ、さらに強まる恐怖心。
「あ、陛下何を!」 「しばらくこうして待っておれ」 「こ、このままですか…っ」
自身は王の視線と先程の刺激でキツく張り詰めていた。 こんな自身を放置され、自我を保てる自信など無い。
「私の用が済むまで待っているのだぞ」 「っ陛下!」
僕の叫びも虚しく、王の姿は扉の先へと消えていった。 王の用事が幾分で終わるかなど僕には到底分からない。
「くそ…っ!」
僕は時間が過ぎ去るのをただ耐えるしかなかった。
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「はぁっ、は…あぁっ」
あれから幾時が過ぎただろうか。 暖炉の灯は、当の昔に消えていた。 長いことこの状態でいたが、身体の熱は留まることを知らず自身は萎えるどころか張り詰めは強くなるばかりだ。 押し寄せる快楽に耐えきれず何度か姿勢を変えシーツに自身を押し付け腰を揺らすが、どうにも刺激が足りずイくことが出来ない。
「く、ダメ、だ…っ」
王に与えられた任務に失敗すると、僕は「仕置き」という名のこの行為を強要された。 される仕置きはこういった放置や、道具を使った行為、王が満足するまで数日監禁され夜通し抱かれたこともある。
初めてこの行為をされたのは、円卓の騎士が結成されてから間もない頃。 今回のように武力侵略の命令で指示を誤り、敵の兵士に逃げられた時だ。 その日の夜王に呼び出され、何も知らない僕はいとも容易く組み敷かれ、無理矢理雄を突き立てられた。 涙を流し何度懇願しても王は僕を離さず、抵抗は無意味だとすぐに悟った。 身体を揺さぶられながら今のようにただ時間が過ぎるのを待っていたのを、今でも鮮明に覚えている。
「あっ、もぉ、おかしくなる…っ!」
頭がぼおっとして、視界が涙で滲む。 何も、考えられない。 僕はただただ溜まった欲望の解放だけを願う。 その時ガチャリ、と扉の開く音がした。
「ほぉ、何とか保てたようだな」 「へ、いか!早く、手を、解いてください…っ」 「まぁ慌てるな。今日は珍しい客人が来ているぞ」 「客人…?」
滲む視界で扉の先を見る。 そこに立っていたのは、僕のよく知る人物だった。
燃えるような深紅の身体。 僕が心を許せる、数少なき友人。
「ランスロット…?」 「ガ、ウェイン…っ!?」
そこにいたのは円卓の騎士の一人、ガウェイン卿だった。
続く
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