バレンタイン小話 (4) |
- 日時:2009年02月14日 (土) 13時39分
名前:968
文才無いので大したものは書けませんでしたが、バレンタインでシャ→ソニ?ソニシャ?風のものをひとつ。 ヘタレ文章ご注意くだしあ。
重いドアが閉まると同時に、手にしていた小さな袋を勢いよく床に叩きつけた。 そのままドアにもたれかかりながら、体がずりずりと床に滑り落ちていく。 (僕は何をしているんだ、) 自己嫌悪に駆られたシャドウは目頭を押さえて目を瞑る。 疾走ることが得意であるはずなのに、駆けてきた身体は息が上がって呼吸がうまく出来ない。
なんと自分らしくないことか。重く熱い溜息を吐く。 全力で走り抜けた熱と、感情の熱。
気まぐれで、たまには溶かして食べても良いだろうと刻まれたチョコレートは、いつしか美味しそうなトリュフに変わっていた。 なぜか買い物籠に入っていた青い袋とリボンはそのままレジ袋に突っ込まれていたので、それに包んでみる。 そういえば明日は世間ではバレンタインだったな、と今更ながら思い出した。 どうせなら、せっかく青いラッピングをしたのだから、あいつに・・・。
翌日の昼下がりに探しに行った青色は、見かけたときにちょうど見覚えのある人物と話していた。 黄色い子と、赤い男。 その彼らが、青にカラフルな包みを渡している場面を見た。 ・・・気が付いたら踵を返していた。
彼らの仲の良さは知っているが、それでも見ていたくなかった。 僕は何を期待してた?何を想像してた? せっかく作ったお菓子を、気が変わってあいつにもわけてやろうと、ただそれだけだったはず。
足元に転がる袋を拾い上げた。 封を開ければボロボロのチョコレート。 ひょいと大きな欠片を摘んで、口に放る。 ほろ苦く、そしてじわりと甘い。
薄暗い室内では更に気が滅入る。 袋を掴んだまま、力なく外へと足を踏み出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
暫く考えなく気ままに駆け、辿り着いたのは人気のない小さな公園。 ここなら落ち着けるだろう、と適当なベンチに腰を下ろした。 この季節にしては涼やかな風が、見晴らしの良い箱庭を吹き抜けていく。 色が見えそうな風は、火照った身体をじんわりと冷ましていってくれた。
はぁ、ともうひとつ溜息を吐いて袋を開け、トリュフの欠片を摘む。 もう良い、全部自分が食べてしまおう。元々最初はそんな予定だったはずなのだから。 もそもそと欠片を少しずつ消費していった。
「なんだよ、美味そうなチョコ食ってんじゃん」
不意に、背後からひょいと白い手が伸びてきた。 驚いて振り向くと、そのまま欠片を口に放り込んだ・・・。
「・・・ソニック・・・!」 「Hey, このチョコ何でこんなボロボロなんだ?トリュフ・・・だろ、これ。こんなに美味いのにもったいないなぁ」 「え、」
今、このチョコを美味しい、と?
「・・・Oh,sorry! バレンタインのプレゼントか?悪い、つまみ食いしちまって」 「いや・・・・・・美味しい、か?」 「? ああ、It's delicious! このくらいの甘さがちょうど良いな、Handmadeか?」 「・・・なら、君に全部やろう」 「Really? でもこれシャドウの「良いんだ。・・・僕が作ったからな」 「・・・re,Really?!」 「・・・それ、2度目だぞ」
くす、と笑って青を突き出した。 きょとんとして受け取るソニックに再び笑いが込み上げる。
「そんなに僕が料理するのが珍しいか?」 「Uh-ah... 」 「そう言えば今日はバレンタインだったな?・・・お返しは3倍で期待しているぞ?」 「んなっ、あーもう皆してそれ言うのな!さっきテイルスとナックルズとエミーにも言われたんだぜ?迷信信じすぎだっての!」 「迷信か・・・ならばお返しはキャンディーか?マシュマロか?」 「あー・・・何か考えとくぜ、せっかくシャドウが珍しく手作りをくれたんだしな」
落ち着いてにっと笑ったソニックの顔が、一瞬格好良く見えてしまったのは、重症なんだろうか。 誤魔化すように手を伸ばし、トリュフを摘む。
「・・・当然だ。僕の手作りを食べられることなど滅多にないのだから、光栄に思うがいい」
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