「腐食 [I Need You, I Feed You]」の感想はこちら
「腐食 [I Need You, I Feed You]」の感想はこちらです。
よろしくお願いします。
犠牲愛の果てに
はじめまして
自己犠牲は一部宗教では愛のひとつだと言われていますが、他の学問ではそうではないという意見もちらほら。
でも僕は、自己犠牲はひとつの究極、愛を突き詰めた形ではないかなあと思っています。
そんな中でのこの作品は、いやはや感情を動かされるものでした。ゾンビものとしてのグロさも兼ね備えつつ、人の愛もあって。楽しく読ませていただきました。
name:ナノハ
Date:2011年10月09日 (日) 19時01分 No.147
切なかったです
「腐食 [I Need You, I Feed You]」拝読しました。
星が五つになるって卯月さんから聞いて、どうしようかと躊躇っていましたが、読み始めたら止まらなくてたった今、最後まで読み終わったところです。
【Memoir 2】 くらいから、もうどうしようもなく泣けてしまって(まだ思い出すと涙が出て仕方なくて今も涙を拭いてますが)、ゾンビのお話なのに切なくて、ユリもトウマもあまりにも可愛そうで、こうなる他なかったんでしょうけど、二人の間にあった大切なものを守る為に、トウマへ尽くすユリの姿が本当に悲しかったです。
思い出がとても美しいですよね。卯月さんが書かれる、ちょっとした日常の風景や会話、これがどんなに大切なものかって、いつも感じさせられてとても好きです。
トウマが変化していくのと、思い出の一コマのリンクのさせかたが違和感なくてやはり上手いなぁと、感じました。文章も滑らかでするする読んでしまう。見習いたいです。
ゾンビに恋愛ものでこんなにも切なく泣けてしまうなんて。知らない世界を教えていただいた思いです。素敵なお話をありがとうございました!
ウロボロスの輪
こちらでは初めまして、三里です。赤い人です。
いいものを読ませていただきました。
構成もストーリーも描写も、細部まできっちり練られていて読み応えがありました。
ああ、そりゃこんなに細かいところまで書き込んでいったら時間かかるよなあ、と早さと数打ちだけが売りの私なんかは思うわけです。という自分の話はともかくとして。
ゾンビというテーマに一番真摯に向き合った作品だと感じました。さすがゾンビ祭りのきっかけの人!
スプラッタで怖いと思うことがないので(ごめんなさい)、するすると読み進めることが出来ました。
ちょっと変則の共依存の形かな、と少し思ったり。それにしても卯月さんの性別がわからなくなった!(しってますけど)(ヨソでの発言からこんな作品書かれるなんて想像できなかったよ)
二匹の蛇が作るウロボロスの輪は、次第に小さくなって、そこにアイが循環して、最後には閉じてしまうんですね。
この作品、全体の感想としてはミニシアター系の邦画のような雰囲気を感じながら読みました。
name:楠沢
Date:2011年10月10日 (月) 17時50分 No.172
拝読いたしました
こんにちは。作品を拝読させていただきました。
せっかくの企画なので各項目ごとに感想を述べていきたいと思います。
☆はホラー度に合わせて0−5までの六段階。
今後投票やらなんやらあるそうなので自分メモ的に☆づけさせていただいています。項目は作品とそのときの気分で変えていますので、☆の数はあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
<ホラー度 ☆☆☆☆>
多分、私は文章にされると大丈夫なタイプのようで☆4はユリの狂気にです。
<構成度 ☆☆☆☆☆>
なんでSceneとMemoirなんだろうと思いつつ読んでいて、過去と現実かー上手いなあと思っていたらそれぞれの冒頭と最後がちゃんとつながっているのですね。これには一本やられました。完敗です。
<せつない度 ☆☆☆☆☆>
もう最初から結末が見えそうな切ない空気があふれていて、やっぱりそんな結論でした。ほろり。
<総評>
愛は驚喜なこともあれば凶器を持ち出すこともあり人を狂気へ追いやってしまうのですね。
過去とかのことも文章量としては決して多くないのに、二人の関係とかユリの感情とかがよくわかって。トウマ側の心情を敢えて書かないのもよかったです。あー、やっぱり構成がお上手でした。
凄かったです
どうも、おじゃまします。
高度な構成で、本当に好きな人が
ゾンビになってしまった主人公の
切なさが、いやと言うほど増した
気がしました。
好きだからこそ、罪を重ね…。
本当に、切なくなってきます。
これを読めてよかった
正直「このままだったら金の墓ゲットできるんじゃね?」と思っていた。この作品を読むまでは。
堪能させていただきました。さすがは卯月さん、さすがはゾンビの本職。構成、緻密さ、語り、圧倒的でございました。参りました。ゾンビを用いてしか描き出せないストーリーと悲哀をしっかりと描き出してくださいました。
描写の緻密さはもとより、各サブタイトルの移ろいも見事ですね。
これを読めて、本当に良かった。
name:招夏
Date:2011年10月11日 (火) 22時13分 No.230
だってどうしようもないよ(@_@。
こんにちは〜拝読致しました。
そんな状況で彼がゾンビになってしまえば、もうそうするしかないじゃんという見事な螺旋階段転がり落ちモードで、切ないです。回想シーンが、楽しげだから、幸せそうだから尚更、その後の転落がシャープな明と暗になっていて、もう絶望的なくらい悲しかったです。
誰がユリの立場になっても、結末はこうなるんじゃないかなぁと思うと、抗いようのない暴力的でさえあるシチュエーションに、何だかぞわぞわと背筋が寒くなりました。素晴らしいお話、ありがとうございました。
まとめてお返事失礼
お返事が遅くなって失礼しました。感想ありがとうございます。
>evergreenさん
自己犠牲、強く言えば隷属や奉仕を他者への愛の末に選んでしまう人間がいるのではないか、と思います。ほかに手段を知らずやむなくか、あえてその道を選んでいるのかはわかりませんが。
この物語を通じてその分からない部分を描けるかな、と思いながら書きましたが、その辺りを感じて下さったとしたら嬉しいです。
>ナノハさん
★五つはちょっとおおげさに脅しすぎでした! すいません…。
過去の思い出を挟むことで、少しずつエスカレートしていくユリの行為を読者が飲み込めるように、との考えもあってこういう描き方をしましたが、思い出の場面を気に入って頂けたようで嬉しいです。気づいたらそっちの方を考えたり書くのが楽しくなってきていたもので……恋愛小説一本書いた気分です。
日常の風景や会話も、どうかな、ちょっと平凡すぎないかな、と思ったりもしましたけど、そこも見ていて下さってよかった。ありがとうございます。
>三里さん
どうも。普段酔っぱらっているけど、呑んでいないときは禁断症状でこんなものを書いています。
時間で言うと、あまり一本にどっぷりと浸かりすぎるのも、よくないな、と今回思った次第です。ゾンビはいろいろ切り口の多いテーマなのに、ほかの話に手を出せなくなってしまいました。
ゾンビ祭りのきっかけは、私なんでしたっけ…? どうなの主催者?
共依存、と言われればそうかもしれません。とはいえ、彼女が男を見限らず守り続けたのはなぜなのか、その辺の解釈は読んで下さった方にお任せしようと思います。
>楠沢さん
おひさしぶりです。
構成に関しては、前後のシーンを関連づけるのは、もちろん読者の興味を引っ張っていこうとしてのものが大きいですが(こういう場面転換をする映画やマンガが好きだったりするせいでもありますが)、二人の間にたくさんあったであろう過去の思い出からどの場面を抜き出すか、選ぶための手がかりでもありました。書く側の都合ですけど…。
>高柴三聞さん
切ない、悲しいという感想を下さる人が意外と多くて驚き、同時にちょっとホッとしています。「なにこの話…」と言われるのではないかとビクビクしていたもので。ありがとうございます。
>茶林小一さん
過分なお褒めの言葉をありがとうございます。もっとお気楽極楽なバカゾンビも書きたかった気がするけれど、これに注力してよかったです。
サブタイトルはひとつだけズルをしています…。
私が埋まっていたのは金でも銀でもなく普通の墓ですので、泉の精と一緒に墓に帰らせてください。
>招夏さん
過去のシーンをどれだけ幸せそうに、甘い思い出として書けるかはチャレンジのひとつでした。そう見て下さって嬉しいです。骨やモツに食いつく不死者の直後に遊園地でイチャイチャする高校生というのはなかなか、書いてて切り替えが…。
みなさま、感想ありがとうございました。
ほら、あーん。
すでに三里さんが書かれていますが、
>ミニシアター系の邦画
の雰囲気を、わたしも強く感じました。 特にシーンの切り替えが。 長くはないシーンをパッパッとフラッシュのように切り替えていくところ、そしてシリトリのように見事につながっていくところ。 このあたり、映像が浮かぶのです。
Memoir で積み上げてきた過去の幸せが Scene でドクドクと崩れ堕ちていく。 その対比も見事でした。
ただ、ユリが[二人だけの大切な場所] を穢されたことに対する怒りで、男をハネる。 ここだけは少し突飛に感じました。 ここにユリの狂気の萌芽を見つけるべきなのかもしれませんが。
いずれにしても読み応えのある作品で、食べてしまうほどの愛の窮(きわ)みを見せていただきました。
ありがとうございます!
>梅(b^▽^)bさん
>長くはないシーンをパッパッとフラッシュのように切り替えていくところ
これ、受け手に印象的であるのはもちろんですが、こういうスタイルを徹底しようとすると、うまくいけば書き手としてもやりやすいんですよね…うまくいっているといいのですが。
>男をハネる。 ここだけは少し突飛に感じました
正直言ってばれたかな、という感じです(汗)。不自然なほど唐突な怒りを表現したかったは確かですが、物語の都合上、ここでゾンビをとめておかないと、大感染が始まってしまうな、と思ったもので…。
感想ありがとうございました!
愛
一言で言い表すならば。
でも正直、どんな言葉を尽くしても言い表すことの出来ない大作。
既に尋常でない狂気の行為を、二人が出会った頃の幸せなエピソードと被らせて綴るあたりがテクいです。
感無量。素晴らしい時間を頂いた事に感謝して。
ええもん読んだ
拝読しました。
せ、せつない……
なんというか、ゾンビとゾンビと関係ある人間の物悲しさというか、悲哀というか、そういうものがひしひしと感じさせる作品でした。とっても怖くて、とっても悲しい。
素晴らしい読書体験でした。
name:前条
Date:2011年10月30日 (日) 17時42分 No.296
これは……
ともかく凄い、としか。
現在のシーンだけでも充分に悲劇しているのに、
そのうえ、あいだに挟まる過去が、もう……なんというか、なにもいえません。
場面が次々変わるのに、ぶつ切り感も全くなく、するりと過去と現在を行き来させる構成力にも、脱帽。
ここまで深く一つになることは、生者にはできないし。
きっと、ある意味ではハッピーエンドなのだろうなあと、そう思いました。
切なさや献身が前面にでているためか、それほど怖さは覚えませんでしたが、
しっかりと描写された精緻なグロもあり、読み応えのある、素敵な悲劇でした。
name:モギイ
Date:2011年11月05日 (土) 19時37分 No.308
究極のラブストーリー
泣けました。
ハッピーエンドなんてないと分かっていながら
恋人のために孤独に戦い、犯罪に手を染める。
愛していれば仕方のないことなのかな。
命をかけて愛せる人に出会えたのもある意味幸せなことですね。
二人の魂に安らぎが訪れますように。
ありがとうございます
ご感想ありがとうございます。
>30-06さん
愛は寛容であり愛は情け深い…とは聖書の引用でしたが。
クリスチャンでない私はそんなことを気にせず書きましたが、しかし相手がどうなろうと受け入れることはアリなのか? そんな思いで書きました。楽しんでいただけたなら幸いです。
>浅井さん
お久しぶりです。うーむ、もっとボロクソに言われることを期待(?)していたのに…。
もう最後のほうで小細工して読者の思いを迷わせるのも嫌だとおもったんで、全力でブン殴るような話にしようと思ったんですがうまくいったでしょうか…。
なんにせよ、読んでいただけてうれしかった。
>前条さん
シーンを切り替えてあっち行ったりこっち行ったりは、意外と楽だと思います。コアとなるシーンへの思い入れの強度、それを支える過去のエピソード、それを含めて楽しんでいただけたなら、うれしいです。
>モギイさん
彼らに普通の意味での幸せ、少なくともどちらか片方だけ現実に幸せな未来を送らせる。それでも不可能だな、と思ってしまったので、せめて、過去だけでも彼らの間には幸せな時間が流れていたのだと…そうして過去のシーンを描いていきました。そのせいで現実にあがくユリの姿が輝いて見えれば、うれしいのです。
みなさま、感想ありがとうございました。
身を乗り出して見入るような
感想が遅くなりました。正直、後になるほどどんどん秀作が出てきて、これはおろそかな感想は出せないなと思いました。
映画館で、ポップコーンをぽろりと落とし、スクリーンに向かって身を乗り出す感覚です。
皆様もおっしゃっていますが、構成の妙にうなりました。ただのスプラッタ、狂気の愛にならなかったのは、この過去のエピソードをしっかりと積み上げていったからだと思います。普通の恋人同士ではなく、レストランを経営するという共通の夢を持ったふたりだったところが、また切ない。
>死んでほしくない、いなくなってほしくない、そう思っていた自分にとってだけ生きていたのだと。
このフレーズを通して、作者の書きたかったことのひとつが見えたような気がします。愛とは他者あってのもの。けれど、そこに己の我欲が投影されて他者を腐敗させていくことも、またあるのだと。
自分を与えるという選択をしたユリ、ユリを食らううちに何かを思い出したトウマの姿に、ひとすじの光のような救いを見る思いでした。
映像的な作品であり、かつ絵にすればとんでもなく恐ろしい場面を描いているはずなのに、なぜか美しいと感じてしまう。そんなお話でした。
悲しく、美しく、切ない愛の話
(注)ネタばれあります。
う〜ん。これはもう素晴らしいとしかいいようがありません。
ゾンビとなってしまったトウマとそれを匿って養うユリの様子と過去の思い出が見事に繋がっていて、こんな書き方もあるのだと目の覚める思いがしました。
愛しているからこそ、どんなに姿が変わっても離れられず、尽くし続けるユリの心情が細やかに描かれ、胸を打ちました。例え、それが殺人であっても、愛する人の為に実行せずにはいられない悲しさ。
挟まれる思い出の情景が甘く素敵なものであればある程、今の状況の悲惨さが浮き彫りになって胸が締め付けられます。
互いに貪りあう二人が最後の最後で抱き合って見つかったのは、せめてもの救いでしょうか。
最後に一言言わせてください。こんな作品を書けるなんて、その才能が羨ましい!