三戸ゼミ掲示板 ―大学院版―
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[ No.473 ]
課題
投稿者:
2014年05月27日 (火) 10時28分 |
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中村君、 「ピーター・ドラッカー『大企業とは何か』 現行訳を読むときの注意点,および正誤表」 ありがとう。お手柄だね!
私も早速行ってみた。 そして、みんなに課題を出す。
@[期限:5/28]3−4から下の正誤表を見て、「重要な誤訳」を挙げよ。 (http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~ueno/students/seminar/concept-seigo.html)
A[暫定期限:6/04]誰か(CSRを学ぼうとしているものは)、「環境経営史」について報告せよ。 (http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~ueno/research/green/index.html) 【kadai5.27】 |
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[ No.480 ]
投稿者: 中村貴治
2014年06月01日 (日) 05時51分 |
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三戸先生、新たな問いを有難うございます。 期限が過ぎてしまい申し訳ございませんが、 勉強のためにも改めて@から取り組みたいと思います。
@3−4から下の正誤表を見て、「重要な誤訳」を挙げよ。 【重要な誤訳】 最も重要な誤訳は上田氏が「社会組織」、「社会的組織」を造語しながら、しかも文脈上強調的に用いていることである。→[13],[20] この用いられ方では、ドラッカー自身が提唱している重要な概念と捉えられてもおかしくない。 ドラッカーの理論を後世に伝える上で、不適切な訳と考える。
また全体的に「制度」という訳が避けられているからか、 上田訳では「社会の中の企業」(≒社会的制度)という側面が、希薄になっているように感じられる。 今後読み進める上で気にかけたい。
[3-4]@上田訳では、市場 対 政府の図式が描かれていることが見えない。 A自由企業体制では企業が利潤目的で活動することも捨象されている。
[13]@原著では単に"institution"であるが、上田訳ではなぜか(あえて?)「社会組織」と訳されており、これは造語というべきである。 補.上田訳では"organization"も"institution"も「組織」と訳しているが、「組織」と「制度」は学問的には異なるものと考えるべきだろう。 ドラッカーがあえて「制度」という言葉を用いるには、何か意図があると考えるべきではないか。 恐らく、ドラッカーにおいてはおおむね、企業を社会の中に位置づけ、その社会に対する役割を論じる際には「制度(institution)」を、 企業をその中における人間、その活動の総体として論じる際には「組織(organization)」を用いているように思われる。 A上田訳ではperformanceを「機能」と訳している。一般には通用するだろうが、機能(function)を概念として捉えた時には、 訳の厳密さが求められる。
[20]やはり"institution"が「社会的組織」として訳され、文頭で強調されているが、上田氏の造語である。 後世にこれがドラッカーの概念であると捉えられる恐れを考えると、誤訳と言うべきである。
[39]上田訳では「企業の目的は経済活動である」とあるが、正しくは「効率的に運営される(to be economically efficient)」ことである。 仮説であるが、ドラッカーは企業に求められることとして「機能」と「存続」の二つを掲げ、区別しているように思われる。 企業の目的が「効率的に運営される」事といった時、機能をよく果たすことと存続すること、両者が言葉の範疇にあるが、 「経済活動である」といった時、経済的「機能」の側面しか言及されない。 よって、上田訳ではドラッカーの言わんとしていることが歪曲されかねないと考え、誤訳と判断した。
[40]上田訳では「制度」が「企業」と訳されている。
[178]…「年功制」と「選任順位」は似て非なるものだろう。 選任順位はレイオフなど勤続年数による処遇の差を表わすが、 年功制は「年齢(・勤続年数)」と「功」が共存しており、「功」における競争の側面がある。 (追記:しかし選任順位にも、@勤続期間のみによって先任順位を定めるもの, A上記のほかに能力,熟練,適性,勤務成績などを加味して決定するもの, B組合役員に上位の先任権を認める場合、などがあるという(参照)意見もある)
【補.“節約”】 63.86.133.176.
【補.悪訳】 [122]「市場によるテストはコストで十分代替できる」とは、「社会主義的競争」の一語がなければ理解しがたいのではないか? |
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[ No.482 ]
投稿者: 阪本
2014年06月03日 (火) 09時33分 |
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先生、課題を出していただきありがとうございます。 書き込みが遅くなってしまって申し訳ありません。 とりあえず、院ゼミで報告したとことまでで検討してみました。 続きは随時していきます。 中村さんもサイトを紹介して頂き、ありがとうございました。 言葉の概念を考えるのにとても勉強になりました。 しかし、一部を検討した結果、訂正者の訳も信憑性があるかは疑問です。 (新しいものは疑え精神です) その点について意見を伺いたいです。
13,20 institutionを社会組織と訳してはいけないのか? Institution を英英辞典で引くと a large organization founded for a particular purpose, such as a college, bank, etc.(Concise Oxford English Dictionary)とある。 つまり特定の目的や役割をもった大規模な組織を表す言葉がinstitution である。 (大)企業が財・サービスの提供を目的としているならそれは目的によって存在する制度体であり、組織である。 ドラッカーはその企業を社会との関係で捉えており、企業が社会の中で存続することが目的であるならinstitutionを「社会組織」と訳して問題あるのだろうか。 「組織」には、規模の概念がないので社会的大組織とすべきだろうか? (社会的制度体と訳せばよかったのだが…。) この点については更なる他の文献の比較と検討が必要である。
39「企業の目的は経済活動である。」であるのか「企業の目的は効率的に運営されること。」なのか? 厳密には、経済活動(特に生産、販売において)における効率的な運営である。 この章では、事業体としての企業として述べられており、それは、企業の一つの側面の分析結果でしかない。コストとシェアによって企業で働く人間の業績を評価するという文脈のなかでの発言なので、economically (生産・分配・消費活動での)は適切に訳すべきである。
178 SeniorityはNenko System(The seniority-wage system)か? Wiki では日本の年功序列はこのように表現されている。 Nenko System(English) 年功序列=日本独特の年齢に応じて賃金を上げていくシステムとして認識されているようだ。 このシステムが確立、機能していたのは1960〜1980年のことである。 ドラッカー著『企業とは何か』は1946年に出版されたもので、 その時に、年功序列について詳しく認識していたわけではないと思う。 従って、Seniorityは年功序列を指す言葉ではないので誤訳である。
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