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三戸ゼミ掲示板 ―大学院版―

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[ No.560 ] 2014年度大学院三戸研究室OB.OG会 投稿者: 2014年07月20日 (日) 22時30分
【日時】7月19日(土)13:00〜
【場所】(1) 勉強会 (13:00〜17:00)万国橋会議センター4階 402号室
(2) 懇親会(18:00〜)梅蘭酒家 − 横浜中華街関帝廟通り
【出席】
 三戸先生
OB・OGの方々:松永さん、葉山さん、津久井さん、伍井さん、大野さん、薩川さん、鄒さん。
現役生:中村さん、阪本さん、鄭さん、黄、陳さん、沙さん、唐さん、孫さん、木田さん。そして、足を運んでいただけないOB・OGの方々からメーセッジを頂いた。

三戸先生の講義 

「”社会的器官”概念に立った”企業と社会論”」                2014.7.19、大学院OB会                         

1.はじめに

「企業と社会論」CSR,企業統治、社会的企業はなぜ出てきたのか?
「企業(観)の変容」に立つべきであろうが、それだけでいいのか?
NPOの登場、事業NPO化は、「企業の意味」を、「フェア・トレード」は「市場の意味」それは「社会関係」を問い直す。
「資本主義の終焉」が言われ、「里山資本主義」が出てきた意味。

2.現代大企業=社会的器官

(1)定義:社会を健康に維持・発展させていく機能・役割を持つもの

(2)「現代企業観」に関わる主要学説
@B&Mの「古典的株式会社と近代株式会社」:
積極財産(会社)と消極財産(株式)の分離により、
株主は支配力を失う代わりに、流動性を得ている。 
また「経営者支配の正当性」が問われる。

Aドラッカーの企業観:
現代社会(産業社会)を機能させる制度体が「産業企業体(大企業)」。
個人に地位と機能を与える(収入は?)。
   経済的機能の他に、社会的機能と統治的機能を持つ、代表的、決定的制度。
利潤原則から維持原則へ。利潤は目的から未来費用+評価尺度。

Bヴェブレンの企業観:物を作る目的の機械制産業(Industry)と、金儲けの手段としての営利企業(Busines)。
社会資本は決して利潤追求の対象として市場の条件によって左右されてはならない。
社会資本の各部門は、専門的知見にもとづき管理されなければならない (『営利企業の理論(1904年)』)  

Cガルブレイスの企業観:巨大企業を運営・統治する実権が“資金を持つ資本家”から
“組織運営能力・技術開発能力・専門的知識や情報を持つテクノストラクチャー”へと移行する。
経営者集団は、「官僚機構化した企業の存続・自治」と「安定した収益構造と需要の維持」を目的として活動するようになり、
資本主義の究極の発展段階では社会主義に似た「計画化体制(市場管理体制・経済活動の計画化)」が誕生するとしました。(『新しい産業国家(1967)』)
(「制度」時代毎に支配的な人々の思考の様式)

3.社会

(1)大企業社会 ← 資本主義 ← 近代化(産業革命と市民革命)=個人社会(自由と平等)
(2)大企業社会は、目的的結果として「豊かな社会」による「顧客の創造」が限界。
随伴的結果としての「環境問題」+「資源問題、人口問題⇒食糧問題」で限界。
(3)資本主義は、「金融資本主義」にならぬ限り「成長」はない。
(4)個人の自由と平等のためには資本主義社会が、資本主義社会の機能のためには大企業社会が最も合理的。
個人の自由と平等を至上の価値とするため、「サステナビリティ」と言っても「成長・発展」が必須。

4.「企業と社会論」における主要概念・関連概念

(1)企業の社会的責任(CSR,CSV)、社会的貢献論(フィランソロピー、メセナ)
(2)コーポレート・ガバナンス
(3)経営倫理
(4)ステークホルダー
(5)社会的企業
(6)NPO
(7)企業市民
(8)その他(アカウンタビリティ(説明責任)、経営理念・ミッション、ISO、ガバナンス原則、
SA 8000 (Social Accountability 8000)、SRI、IR、内部監査・内部統制、など)  (※)テキストに入れるかどうかは検討

5.社会的企業

(1)ドラッカーがなぜNPOに注目したか? 「機能」は付与できても、「収入」は困難。「地位」はこれからどうなるか?

(2)社会的企業はなぜ出てきたか?
 社会的企業:商品化・市場化されていない社会的課題に取り組む企業(当初は、新日鉄・トヨタ・松下電器みな社会的企業)
社会的課題の変容…「豊かさ」から「生き方」に
   経済的成果の分配からこぼれた人々(女性、貧困、身障者、途上国、地域)
           経済的成果の追求により生じた随伴的結果(環境問題、エネルギー・資源問題など)

6.おわりに

○資源・環境・人口問題は、大企業(大量生産)の問題か?資本主義の問題か?それとも近代社会・近代化の?
 ⇒なぜ、CSR・社会的企業・NPOが出てきたのか?
○CSR・CSVは「大企業体制、資本主義」を救うことはできるか?
○NPOと社会的企業は「大企業」に取って代わることができるか?
○「近代化批判」は「人権(個人の権利=ego)」まで問わなかった。「資本主義の”終焉”」論、「里山資本主義」は?
○「大企業化」に伴う、「私的致富手段から社会的器官へ」は「歴史的変化」であり、
「世紀単位」の文明論的事象と理解すべきではないのか?すなわち、パラダイムの問題
○現代社会の課題「サステナビリティ」は、何をどのように維持していくのか?

(補) 20世紀大企業の誕生と21世紀現代

(1)大企業を誕生させた社会的インフラと現代の社会的インフラ
 鉄道    → 宅配便
  電信・電話 → インターネット、スマホ(ポータブルPC)
  ⇒ 大規模・固定的システムから個別的・ポータビリティなシステムへ

(2)大企業システムを産んだもの
  人  … 科学的管理
  モノ … 大量生産システム
  カネ … 株式会社制度
  情報 … 電信・電話

(3)企業と個人を結ぶ新しいメディア
  人  … ジョブ・センス
  モノ … 3Dプリンタ、モジュラー型製品、ネット通販
  カネ … マイクロ・ファイナンス
  情報 … インターネット、スマホ(ポータブルPC)、SNS、  ← これが上の3つを可能としている

【参考文献】
水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』集英社新書
川勝平太『日本文明と近代西洋――「鎖国」再考』日本放送出版協会
〃  『文明の海洋史観』中央公論新社
三戸 公『ドラッカー』未来社
三戸、他『バーリ=ミーンズ《経営学史叢書D》』文眞堂
吉原 毅『原発ゼロで日本経済は再生する』角川oneテーマ21
石井 彰『木材・石炭・シェールガス』PHP新書
田中浩也『SFを実現する〜3Dプリンタの想像力〜』講談社現代新書
(読みやすい新書・選書に限定したが、キリがないのでこれくらいで…。)



「課題」:.「企業と社会論」における主要概念・関連概念
(1)企業の社会的責任(CSR,CSV)、社会的貢献論(フィランソロピー、メセナ)
(2)コーポレート・ガバナンス
(3)経営倫理
(4)ステークホルダー…組織の目的達成に影響を与える、もしくはそれによって影響を受ける個人や集団(中村)
(5)社会的企業
(6)NPO
(7)企業市民
現役生を対象として、以上の(1)から(7)まで書いてください。


「bbb」

[ No.561 ] 投稿者: 黄 徐全 2014年07月23日 (水) 14時02分
(1)企業の社会的責任(CSR,CSV)、社会的貢献論(フィランソロピー、メセナ)
CSRは時代、環境変化に伴って、企業に要求される責任と役割が変わりつつある、また、責任概念の多様性並びに社会的責任の複雑化があったため、依然として、CSRの定義がずっと曖昧な状況にある。

CSR(企業の社会的責任):企業は利益を追求するのみならず、組織活動が社会に与えた影響に責任を持ち、あらゆる様々なステークホルダーからの要求に対し、適切な意思決定をさしている。

CSRとは企業活動のプロセスに社会的公正性と倫理性、環境や人権への配慮を組み込み、ステークホルダーに対し、アカウンタビリティを果たしていくことである。(谷本)

CSRとは、企業が様々なステークホルダーとの信頼関係を構築し、自らの事業活動を継続していくうえで、果たしていかなければならない責任である(米山)

CSRとは企業組織と社会の健全な成長を保護し、促進することを目的として、不祥事の発生を未然に防ぐとともに、社会に積極的に貢献していくために企業の内外に働きかける制度的義務と責任。(水尾、田中)

CSVとは=「共有価値の創造」、企業と社会の両方に価値を生み出す企業活動を促進する経営フレームワークである。これまで豊かさの創造を通じてよりよい社会作りに貢献してきた企業が、時代の変化に対応して社会の新しいニーズに応え、これからも長期的に発展していくための経営の在り方を提示するのである。

社会的貢献論とは、企業は我々の想像できないほどの豊かさをもたらしながら、利益も得ている。だが、社会に利益を還元すべきであるということを指している。主に以下の七つがある。

@地球環境問題:資源・商品のリサイクル化、環境保護団体への寄付など。
A国際問題:留学生の支援、海外との交流、日本理解のための広報活動。
B地域問題:施設の開放、人員・金銭・情報の提供による地域行事に対する支援。
C福祉問題:福祉施設への援助、ボランティア休暇など。
D教育・研究:学校への寄付、奨学金、研究助成金など。
E文化・芸術:芸術家・芸術団体に対する支援、冠コンサートなど。
Fスポーツ:スポーツ活動に対する支援、大会の開催など。(三戸)

(2)コーポレート・ガバナンス
バーリ=ミーンズ『近代株式会社と私有財産』によって、所有と経営の分離、所有者支配から経営者に変わる、また所有者の私的致富手段から準公的会社に変わる、これらにともなって、コーポレート・ガバナンスの問題が問われるようになった。
@会社は誰のものか。
A経営者の権力をどのように牽制・コントロールすればよいか。
B経営者による権力行使に正当性があるか。
つまり、コーポレート・ガバナンスは制度化した大企業を経営者が誰のために、どのように動かすかを中心として議論してきた。

(3)経営倫理
企業を経営するにあたって、良心の命ずる行動規範である。

(4)ステークホルダー…組織の目的達成に影響を与える、もしくはそれによって影響を受ける個人や集団(中村)(黄)

(5)社会的企業
SEとは社会的課題の解決をミッションとしてユニークなビジネスモデルを構築・展開する事業体である。障碍者雇用、ホールレス支援、フェアトレード、SRIなどの分野で、様々な社会的課題にビジネス手法を用いて取り組む企業やNPOであり、ソーシャル・イノベ―ションの主体である。

(6)NPO
営利を目的とせず、政府からも自立して、福祉・まちづくり・環境保全・国際交流・災害救援などの様々な社会貢献活動を行う民間組織の総称。

(7)企業市民
コーポレート・シチズンとは(狭義)企業の社会貢献活動、フィランソロピー。
(広義)社会的に責任ある企業として使われている。



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