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[102] 砂の器
ポン太 (/) - 2011年09月12日 (月) 19時38分

私は、野村芳太郎の映画を封切りの時に大阪の松竹座で見ました。当時の私は、高校時代にあの時代のヤンチャをしたために、入学した大学でもいろいろうっとおしいことになり、中退してどうしようかと思っていたころです。そういうことに関係ない大学を再度目指そうかと思い悩んでいました。現在の妻と一緒に見たのですが、その妻の父は興行師だったので、暴力団員ではありませんが、いわゆる堅気の人間ではなく、芸能界や劇場、映画、歌舞伎の世界の人と常に仕事をしていた関係で、映画を見る目は持っていたと思われます。その妻の父がこれはとても面白い映画だと言って招待券をくれたのでした。実際見て、あのお遍路のシーンは泣きました。恥ずかしながら島田陽子のヌードもよかったですが、最後の加藤剛の和賀英良の演奏シーンにより受けたあれほどの感動は、あの当時の自分の多感な年齢を鑑みても、あのときだけ、自分の映画鑑賞において唯一無二、の時間だったと思います。丹波哲朗も森田健作も緒形拳も良かったですが、父親の加藤嘉と子役には本当に泣きました。あの雪の中の海沿いのお遍路は、日本映画史上最も美しく悲しいと思います。ハンセン氏病(らいびょうが漢字変換できない隠蔽偽善!)についてはいろいろな史実が新たになりましたが、あの悲惨な実態と隔離政策は無知と言うよりも、貧困が本当の理由のような気がします。実際栄養完全ならほぼ感染しないそうです。あのときの私は、小金持ちの馬鹿息子だったので、ええかっこして体制に反逆すると言って、世間と親に甘えていたのですが、まさにあの映画により頭から冷水を浴びたのでした。多分、一つ大人になったのでしょう。あのあとのテレビ等はすべてダメです。覚悟のない者はあの作品に挑戦してはダメなのです。ちなみに松本清張の原作よりも映画の方がだいぶ良いと思います。なんといっても、あの和賀英良の演奏シーンと回想シーンは映像ならではのものでしょう。
ところで恥ずかしながら、素人の私がJC様にお話するのはきわめて僭越至極なのですが、私が感動した映画のことも又このブログに小説同様記載させて下さいませ。JC様のこの記載により、あの若き日を久しぶりに思い出しました。恥ずかしくも懐かしいMy salad daysです。

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[103]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月15日 (木) 04時24分

ポン太さん

私も「邦画」のベストオブベストを1作品挙げろと言われれば、躊躇なく「砂の器」を選ぶだろうな、と思っています。
もう随分と前になりますが、福岡市で川谷和也氏が「砂の器&宿命」という交響楽団の生演奏と映画上映を同時に行ったことがありました。つまり、生演奏と映像がシンクロするという企画でしたが、もう「たまらない」という一言に尽きましたね。

「砂の器」は概ね批評家に歓迎された作品でしたが、白井佳夫氏は「養父(三木巡査)殺しという、極悪非道な犯罪性は全く影を顰めてしまい、映画をみる観客は「宿命」の作曲者、和賀にただただ惜しみない拍手を送る。そのことが私には不思議だ」という趣旨のコメントを残しています。この点は確かにそうなのかもしれません。松本清張氏は「あのシーンは小説じゃ書けない。凄い」と手放しで絶賛しました。「宿命」という一言で、曖昧になった部分はありましたが、圧倒的な評価を獲得したことは、やはり映像の勝利だったのだと言える。私はそう考えています。

演奏会終了間際に吉村(森田健作)が今西に呟くシーンがあります。「和賀は父親に会いたかったんでしょうね」今西は怒気を込めて応じます。「そんなことは決まっとる」「彼は今、父親に会っている」「音楽の中でしか父親に会えないのだ」と。

この台詞はいらなかったのではないかな、と言いますか、もう少し説明調子にならない方法があったのでは、という気はしなくもありませんが、まぁ、そうたいしたことではないのかもしれません。

ハンセン病に関しては光田健輔氏らの、それは必ずしも非人道的な目的ではなかったにしても「伝染・隔離・不治の病」というやはり誤った認識がのちのちまで定着してしまったという面があるように思います。明と暗が生まれてしまった。

大学の頃でしたか、デビッド・リンチ監督の「エレファントマン」という映画を鑑賞する機会に恵まれました。色々と考えることがあって、私はこの映画の主人公、ジョン・メリック氏の病状についてのデータを調べたことがありました。映画の中では具体的に語られませんでしたが、氏の「生殖機能」は全く正常であったという文献に接し、更に色々と考えを巡らせたものです。

私の意識の中に「性は秘め事」という意識があることを正直に告白しますが、ここ数年、障害者と性の問題は比較的オープンに語られるようにもなりました。こういう問題を事更に「タブー」にはしないという風潮が生まれたことは、やはりいいことなのだと考えてもいます。

私も「素人」です。どうぞ遠慮なく掲示板をご活用ください。管理規定に示しましたとおり、少なくとも一刀両断に削除し、排除するような権限は行使すべきではないと思っていますし、何らかの行使を行う場合には、説明責任は意を尽くして果たしたいと考えています。

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[105] 「エンディングノート」
JC IMPACTU (/) - 2011年09月15日 (木) 21時40分

10月1日公開。私はカミさんと一緒に試写会でみる機会がありました。URLは本作の公式サイトです。(カミさんは「観たくない。ノンフィクションだから重い」と、直前まで抵抗しましたが、鑑賞後は絶賛していました。私もこの映画は記憶に間違いなく残ると確信しましたし、DVDが出れば必ず買い求めます。手元に残しておきたい作品です)

父親と娘という関係性の中、よくぞこれだけ「距離」を保ったドキュメンタリーを仕上げたと思います。プロデューサーの是枝裕和氏(「奇跡」「歩いても歩いても」「誰も知らない」監督)がプロデューサーを引き受けたというのは伊達じゃない。

「死」が明るいはずはないのですが、それ自体が「約束」であるならば、私も「エンディングノート」を作成したいと心の底から思いました。こういう家族が存在したんだな、と、それだけでも嬉しくなりました。

最近、大手のそれなりに制作費も投じた「プログラムピクチャー」を観るたびに「満足感」が得られなくなっています。例えば小栗康平監督の「泥の河」は、原作に極めて忠実に作られた、低予算の作品ですが、モノクロの効果を最大限に引き出した不朽の名作でもあります。この作品もエンディングは、台詞らしい台詞はありません。しかし、これほど「切なさ」を描き切った作品もないような気がしますね。

[106] 昔の映画
ポン太 (/) - 2011年09月16日 (金) 19時20分

恥ずかしながら、私は若い頃は、前にも記したように妻の父の関係で招待券を持っていたため、たくさんの映画を封切りで見れました。それこそ、東映の梅宮辰夫の不良番長からATGの映画や洋画や日活ロマンポルノまで見ました。最近、町山智浩氏の著書を読んで、なるほどと納得したのですが、私がさかんに映画を見ていた時代、1970年代から1980年代初頭までの間は、ハリウッドはもっとも優秀な映画を作っていたようです。2001年宇宙の旅、タクシードライバー、その他多数です。当時私の最も好きな、いわゆるニューシネマは、明日に向かって撃て、だったのですが、もうひとつは、あのスーパーチャージャー付きのダッチチャレンジャーで、最後に主人公がニチャと笑ってパトカーの隊列につっこむバニシングポイントです。わたしの何もできない無力感を笑うかのような映画でした。また町山氏の著書では、2001年宇宙の旅の裏話が書かれていて、とても興味深かったですが、私はこの映画は封切りではなく、再ロードショウをシネラマ!でみたと思うのですが、その時感じたあの胡散臭さが今になって何が原因か判りました。実はとてもハリウッド的な商業映画だったようですね。もちろん商業映画が悪いというのではなく、キューブリックはもろの商業映画を芸術映画?のように見せて、しかも大ヒットさせ、その後も信者を確保しつづけるのはただただ呻ってしまいます。おそらく、誤解を恐れず言うならば、今になって、神様小津安二郎と崇めまつり、東京物語こそ至高の映画だと言う人々の感覚を、小津も天国から苦笑しているのでは、と私が考えるのと同じ地平かなと思います。誰かが言っていたのですが、映画ばかり見て、あまり本を読まない人は、たくさん本を読む人に比べて、恐くない、と言っていたのと共通するのでしょうか。

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[107]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月17日 (土) 00時33分

ポン太さん

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今になって、神様小津安二郎と崇めまつり、東京物語こそ至高の映画だと言う人々の感覚を、小津も天国から苦笑しているのでは、と私が考えるのと同じ地平かなと思います。
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「東京物語」という作品を私も何度かみましたし、今年は念願叶って銀座の劇場での「鑑賞」も果たせたのですが、十代にみたときには「何がいいのか」全くわかりませんでしたね。顔のアップばかり、さしたる事件もなく、カメラアングルなんてものに興味もない。

年齢を重ねて、節目、節目に見直すとあの作品は実に堪えるという気がします。日本人の「美徳」やささやかな夫婦愛、しっかりとした絆。そして「家族という単位の崩壊」1953年に製作された映画が、ある種「未来」を予測したという面もありますね。

活字と映像は表現方式が異なりますので一概に比較はできませんが、一言でいえば「活字」は固形食、「映像」は流動食ではないかなと私は思っています。

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[111] すみません
ポン太 (/) - 2011年09月17日 (土) 19時27分

さきほど、つまり本日の午後12時頃に一度書いたものが私の不手際つまり誤操作で飛びました。もしJC様の方に到達していたら抹消して下さいませ。以下同様の内容を記憶により再掲します。
流動食と固形食のたとえは見事だと思います。映画と文章の差を、その受動性と能動性をふまえてとても判りやすい表現です。私が映画を見てるだけの人と映画のことを話しているときに感じた違和感がなんとなくわかりました。
ところで、映画のことになったらまた妻の父の話になるのですが、彼は小津や溝口健二にもかわいがってもらったようですが、小津の映画は封切り当時は、黒沢や溝口ほどでなくてもそこそこ興行的には成功したようです。ただその後一時、少なくとも大衆レベルでは忘れられたようです。私の若い頃の記憶でも黒沢は名画座で上映されていましたが、小津の記憶はありません。1980年代後半からのフランスでの評価により、とくに東京物語の評価、により日本において再評価されたのではと思います。私が最も記憶に残る小津の映画のシーンは、1963年の、多分小津最後の映画の、秋刀魚の味の一場面です。当然ながら後に、私はテレビで見たと思いますが、父親の笠置衆が娘の岩下志麻の結婚式の後、岸田今日子がママのバーで一人飲んでいると、軍艦マーチがかかり、店にいた他の客が戦争当時のアナウンサーの口調で戦果発表を口まねし、そのあとで、でも負けちゃったけどね、と明るく軽く言ったシーンです。東京オリンピック前年においてはじめて言えたセリフなのかもしれません。多分十数年前だと思いますが、テレビで大島渚が松竹の大先輩でもある小津のことをかなり手厳しく評していたことを思い出します。大島にとっては小津は乗り越えなくてはならない壁だったのでしょう。私は大島の映画も好きなので、なんともいえない感慨を覚えます。妻の父によると、小津はとにかく一つのシーンにこる人で、溝口はただただ恐い人だったようです。また昔の映画を思い出して、書かせていただきます。話は変わりますが、いま、JC様に教えていただいた、ある少女にまつわる殺人の告白、を読み始めました。

Pass

[112]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月18日 (日) 01時13分

ポン太さん

小津安二郎のライバルといえば、黒澤さんではなく成瀬さんだったのかなという印象が私にはあります。「豆腐屋には豆腐しか作れない」というのは決して自嘲的に小津が述べたのてはなく、自負の強烈な裏返しだったしいう気がしています。

例えば「東京暮色」は駄作だったという評価がありますが、興行的にはともかく、私はなかなかの力作だったと思っています。松竹自体が、どちらかといえば「家族の地味な物語」を忌避するという感じになっていきましたし、大島渚はいわばヌーベルバーグの旗手としての「チャレンジャー」でしたから、この二人の軋みというのはわからなくもありません。私は大島の映画はそれほど観てはいないのですが、例えば「戦場のメリークリスマス」のラストシーンは、必然に近い技法と美しさがありました。見事なものだと思いましたね。

ご承知のとおり小津は東宝でも作品を撮っていますが、この監督は大船を離れると、ある意味全く調子が変ってしまいます。黒澤明の幻の作品となった「トラトラトラ」は東映で撮影に入りましたが、結果、氏を自殺未遂までに追い込む背景のひとつとして、これが東宝の黒澤組ではなかったという点は、大きな要因のひとつだったと思います。映画は「監督のもの」だとよく言われますが、機械芸術であり、共同制作という点で「監督の思いどおりにならない悲劇」が黒澤を襲いました。

しかし、ポン太さんの生育環境というものは羨ましいですね。私は大映で初めて観た作品は「ガメラ対ギャオス」でした。ダイニチという時代も僅かにありましたが、これは長続きしませんでしたね。

「ある少女にまつわる.....」は荒削りな部分はありますが、この作品は、私、忘れないと思います。映像でいうなら「ヒッチコックのような怖さ」がありました。

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[113] 君の瞳に乾杯
ポン太 (/) - 2011年09月18日 (日) 19時57分

わたしも大島渚の映画で何が一番好きかと言えば、72年以前の作品より、また愛のコリーダよりも戦場のメリークリスマスです。いやすみません、夏の妹です。戦メリの方が明らかに完成度は高く、映画史上に残ると思いますが、夏の妹で見た沖縄の風景は非常に強く私の心に残りました。テーマ自体は本土と沖縄の関係をサラッと描いていましたが、おそらくあの沖縄の光をあそこまで見事に描いたのはあの映画が初めてではないかと思います。主人公の女性にあの混血のリリィを起用して、もう一人の少女に可愛い栗田ひろみを使うなどとてもにくかったです。私は後年、沖縄にばかり行っていた時期がありますが、明らかにこの映画の影響です。戦メリは、大島最高の完成度だと思いますが、なんといってもラストのたけしの、メリークリスマス、ミスターロレンス、のセリフとそこにかぶって流れる、坂本龍一のテーマ曲は映画史上に残るラストシーンでしょう。見事に作品はあのラストに収斂したと思います。
ところでまた妻の父の話ですが、カサブランカのフィルムは当初岩国の米軍基地に到着し、岡山の映画館に行き、そこから11巻のフィルムを父が大阪に持って帰って、いまはなき戎橋松竹座で上映したそうです。あの映画は何度見ても、黒澤の7人の侍と同じくらいに、再見に耐える映画ですね。粋、というのが何かはっきりわかる映画だと思います。後年、日活で石原裕次郎が主演した、夜霧よ今夜もありがとう、がそのままぱくりでしたが、主題歌はどちらも素晴らしいと思います
JC様がなんども再見される映画は何ですか?よろしければ又教えて下さいませ。

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[118]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月19日 (月) 12時14分

ポン太さん

大島渚の「夏の妹」という作品は、私、未見でした。DVDにはなっているようですので探してみたいと思います。

「カサブランカ」というのは、私、学生時代この舞台を演劇部でやったことがあるんですよ。リックの役などできませんし(笑)最初からやる気もなかったのですが、希望したのはクロード・レインズ演じる「ルノー署長役」でした。私はこの「役」がいちばんカッコイイと、今でも思っています(笑)なぜなら、全部わかっていて、最後に逃亡の手助けをするわけですから、洒落ていますよね。

>なんども再見される映画は何ですか?

沢山あります。ゆっくり語ってみましょう。

例えば長谷川和彦監督の「太陽を盗んだ男」公開時は勿論、DVDや再映も数えますと20回は観たと思います。(URLご参照)

長谷川和彦監督(通称ゴジ)は、本作以降新作を撮っていません。「連合赤軍」はついに若松孝二監督がメガホンをとり「撮る撮る詐欺」などと揶揄されてもいますが、それでもこの作品は邦画を代表する一作に仕上がっていると思います。

原爆を製造した理科の教師(沢田研二)が、些か荒唐無稽な要求を繰り返しながら、菅原文太扮する刑事と闘うというヒューマニズムアクション映画みたいな作品ですが、この映画のリズム感と今までに誰もやらなかった「ラスト」の効果は私を驚かせるに充分な名作となりました。この作品が公開された頃は、邦画は斜陽の一途を辿ってはいましたが、私はこの作品をみて、日本映画もまだまだ捨てたものではないと強く感じましたね。

[126] 沢田研二
ポン太 (/) - 2011年09月20日 (火) 23時32分

太陽を盗んだ男はわたしもかなり好きな映画です。長谷川監督は水谷豊の青春の殺人者もよかったと思います。ただ私はこの映画の最大の収穫は、俳優沢田研二の発見だと思います。二枚目の歌手が、映画のなかで独特のとぼけた雰囲気をだしていたと思います。あれ以後沢田研二はいろいろな映画で、魔界転生の天草四郎のエロイムエッサイムと唱えるときなどの異様な迫力や、リボルバーと言う映画は私の好きな映画ですが、あの中での脱力した演技はなかなかだと思います。大阪物語じたいはまあまあの映画だったと思いますが、沢田田中夫婦はよい味を出したと思います。
だいたいちょっとぬけた役がうまいと思います。彼が藤山寛美を尊敬しているとどこかで言っていたのがわかります。私は彼がアイドルの時はなんの興味もなかったので、俳優をやってから注目したのですが、一番驚いたのは、藤山寛美の娘の藤山直美と舞台でやった夫婦善哉です。あの藤山直美とどうどうの芝居で、たよりないアホボンを見事に演じていました。大島渚は戦メリで坂本龍一のよのい大尉の役を当初、沢田研二にオッファーしたがスケジュールがあわなかったらしいですが、ああいう役より大阪のあほぼんの役の方がうまいのではと思います。長谷川監督は、もちろん沢田の人気もあったと思いますが、あのとぼけた味を見抜いていたのではと思います。沢田主演のテレビの脚本を書いたときに見抜いたのかとおもいます。脚本の青春の蹉跌の萩原健次や沢田研二や水谷豊のようなアイドルのなかに演技の才能を見いだすのがうまいのかと思います。連合赤軍の映画は私の中、高の先輩の高橋伴明か長谷川和彦がすると思っていましたが、若松孝二が撮ったのもある意味必然かもしれません。しかし長谷川監督も一時麻雀の話題ばかりでしたが、どうしているのでしょうか。
JC様の別のスレッドの映画で私の好きな映画もあるのでまたかかせてくださいませ。

Pass

[127]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月21日 (水) 00時19分

ポン太さん

ご指摘のとおり「太陽を盗んだ男」の沢田研二は、実に魅力的ではありました。ある種の退廃と緊張がうまく表現されていたと思います。あれだけ撃たれて死なない(苦笑)菅原文太というのも凄かったですねぇ。沢田研二は関西出身ですから、関西ことばに違和感がありませんし、夫婦善哉は初演を松竹座でみた記憶がありますが、直美さんは「ジュリーの大ファン」だったそうで、アンコールでも、そのことをストレートに語っていたのが微笑ましかったですね。

さて、このあとに「東京物語」について別のスレッドで書いてみます。

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[129] ある少女
ポン太 (/) - 2011年09月22日 (木) 00時34分

ある少女にまつわる殺人の告白を読了しました。作品としてはよくできた作品だと思いますが、読後感はなんともいえない後味の悪さが残ります。それだけよくできた作品なのでしょう。つまり本当の虐待事件もこのようなものなのだと思います。連鎖ということなのでしょうが、弱いものに暴力をふるうことが好きな人間は確かに居ると思います。そういう輩には結局、暴力には暴力しか効果がないとしたら、最近世間でみられる、義理の父親が妻の連れ子を妻の恐怖による黙認のもとで虐待するのは、この小説のようにどうにもならないことなのでしょうか。これが読後感の後味の悪い原因だと思います。
ところで、異人たちとの夏はかなり好きでした。大林は最近の作品はまったくダメですが、このころは良かったと思います。秋吉久美子はこの映画が一番よいかもしれませんね。最初からどこかはかなさが漂っていたような気がします。たしかビデオがあったのですが見あたらないので、借りてきて再見します。実は、東京物語も再見しようとしたらビデオがありませんでした。妻は興行師の娘で、一応おじょうさん大学で演劇学を勉強したので、捨てることはないと思うのですが、昔録画したビデオがずいぶん見あたらないのには、ボケたのかと情けなくなります。大林の私の好きな大甘の、さびしんぼうやカサブランカもない。一番惜しいのは、ローレンスオリビエの探偵スルースです。あきらめて、JC様の映画を中心にDVDを借りてみます。

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[130]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月22日 (木) 01時16分

ポン太さん

「ある少女に.....」は書店員から実は「後味が悪い」とポン太さん同様の指摘が購入前にありました。ただ、私はミステリーのポイントを「破綻の少なさ」に求める部分がありまして、その点でかなりの満足はありました。辻褄が合わない、話がおかしい、ありえないといった「突っ込みどころ満載」のような作品は、この年齢になると些か辛いものがあります。ここ15年くらいでは、やはり東野圭吾の「白夜行」が最も印象に残りました。(TBSのドラマ版では、綾瀬はるかは完全なミスキャストという話もありましたが、それを承知でよく仕上がっていたと思います)

ドラマ版は最初に結末が示されるという面白い手法でしたが、終わってみれば、むしろ、その方が良かったような気もしていますね。

後味の悪い一冊におつきあいいただけましたこと、深く感謝申し上げます。

大林宣彦監督では、私は「はるかノスタルジィ」という作品が印象に残っています。勝野洋を見直しましたね。

異人たちとの夏は、思いが募って、今半別館のみならず、うなぎの小柳という店にも足を運びました。これはもう明らかにセットだということはわかっていたのですが、ロケ地巡りというのは、やっている間が楽しいものです。ホントに(笑)

日本映画にはなかなか喜劇が育たないと言われます。森繁はある時期から「喜劇出演」を控えるようになりましたし、いかりや長介も「踊る大捜査線」で最優秀助演男優賞を受賞したときは、本当に嬉しそうでした。おそらく観客を「泣かせる」ことはそれほど難しくはないのでしょうが「笑わせる」というのは、実に大変だと思います。そういう意味では、私など「全員集合」はリアルな世代ですが、ついにドリフターズの笑いというものには無縁だったなぁという気がしています。

三谷幸喜という監督、脚本、舞台演出家は「平均点以上のもの」を作り上げるという点で、才能豊かな方ですが、その作品の中でも、この「ラヂオの時間」は、Best of Best だと思っています。
何度みても笑ってしまいます。細川俊之、藤村俊二、布施明などこういうキャストが思いっきり「遊んでいる」作品というのは、相当手応えのある作品だったはず。喜劇というのは「真面目に遊ぶように」演じ、脚本にリズムがないとダメなのだろうなぁと感じました。




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[132] 喜劇
ポン太 (/) - 2011年09月22日 (木) 10時18分

三谷幸喜のラヂオの時間は、独特のどたばたがよかったと思います。ただ次のみんなのいえが、ある意味非常にくどく、解説で三谷本人が田中邦衛を見てくれと言ってましたが、あの田中邦衛がひどくくどく、最悪はココリコの田中で、ふだんから彼は何をしてもわざとらしく見えていましたが、これが最悪だったと思います。次の有頂天ホテルはだいぶよかったです。森繁が夫婦善哉で見事なアホぼんを演じて、その後社長シリーズをしたのはテレビでずいぶんみましたが、あの人の喜劇は私は軽くて好きでした。妻の父は涙と笑いの藤山寛美が天才だといいますが、たしかに天才だと思いますが、松竹新喜劇はある種重く、渋谷天外や藤山寛美がわきの芝居のほうが、作品の質はともかく、見やすかったと思います。ただ、妻の父によりますと、藤山寛美は本当に私生活も含めて豪放磊落だったようですね。森繁はやはりインテリなのだと思います。なにかで読んだのですが、あのひとはアドリブが非常によいらしく、それが独特の味だったようですね。年をとってそれがでなくなったのでしょうか。私自身の好みで言えば、ドリフターズの作り上げた藝はあまり好みませんが、集団藝がくずれるようなところは面白かったです。作り上げた藝では、萩本欽一ですが、あの偽善的な藝は虫ずが走ります。ダウンタウンの松本にもある種の同じ臭いをかんじます。たしかに吉本新喜劇までいきますと面白いのですが、もういいかなと言う感じですが、くどくやるならメルブルックスくらいやって欲しいものです。

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[133] 続き
ポン太 (/) - 2011年09月22日 (木) 23時06分

例によって、妻の父に聞いたところ、彼は森繁とも寛美とも親しかったのですが、どちらも、間、が絶妙だったようです。間とは何かと聞いたら、具体的な説明によると、森繁と淡島千景の夫婦善哉のラストシーンでいえば、最後に一瞬の間をおいて、例の有名な、おばはんたよりにしてまっせ、のセリフがその典型のようです。それはアドリブだったようです。森繁が山茶花究らと自由劇団を結成したときからとてもアドリブはよかったようです。ところでついでというか、なにげなく妻の父がいったのですが、黒澤の羅生門は奈良の春日原始林で一部とったようですね。森雅之に会いにそのロケ地までいったようです。奈良県民としてなにか嬉しくなりました。どうでもいいことですが、N取裕子と奥山さんと永山さんの関係を聞いて、異人たちの夏の裏の事情のことが少し判りました。大林は映画は昔はとても素晴らしかったですが、それ以上に彼は大人だったのですね。まあ、JC様がこの業界の方だったら大変申し訳ございませんが、妻の父の話を聞く限りはなかなか芸能界、興行界、歌舞伎界は魑魅魍魎のすさまじい世界ですね。

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[135]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月23日 (金) 12時54分

ボン太さん

貴重な裏話を色々とありがとうございます。藤山寛美さんは、私も舞台を何度か拝見しました。確かに氏の「間」の部分は計算された無意識のような絶妙な雰囲気がありました。当時は今よりは遥かに「芸人を守る」という意識がマネジメントする側に強い部分がありましたし、紳助氏の引退後の騒動をみても、或いは今週発売の週刊文春の「たけしの告白」を読んでも、マネジメントする側の「腰が完全に引けている」というのが、よくわかります。

いわゆる暴力団、暴力団関係者には「法」に優先して守らなければいけない「掟」というものがあります。島田紳助の会見、彼は嘘をついたわけですが、おそらく島田紳助には「嘘をついた」などという自覚は全くないと思います。「掟を守った」という誇らしさに近い感情を彼の表情にみたような気もします。

そういう意味では「掟」のもつ「濃密な感情」というものに「芸能人は憧れる」という面があるのかもしれません。どれだけ売れても、不安定な部分がついて回る職業ですから「掟に相応しい結束という絆」に憧れるという面はあろうかと思います。

ただし私は何も「島田紳助の行動」を称賛したり庇うという気持ちは毛頭ありません。私個人は、将来的には「逮捕」もあるのではという印象を有してもいますが、それはそれとして、いわゆるこの世界のスキーム、ビジネスモデルにメスを入れない限りは、なかなか解決には至らない面がある、そんな気がしています。

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[136] 櫻の園など
ポン太 (/) - 2011年09月24日 (土) 22時48分

私は、生来の甘ちゃんのため邦画は青春映画のようなものが好きでした、そのため大林の尾道三部作はまさに胸キュンでした。中高と男子校のせいもあったと思います、それで行くと桜の園はまさに女子校の数時間を濃密に描いたもので、しかも非常に鮮やかなラストだったと思います。女子中高大と行った妻に言わすと、男の目から見た女子校だそうですが、原作のマンガは女性ですが、監督は男性だったのでそうかもしれません。さびしんぼうの、夕方自転車を押しながら尾見としのりが富田靖子を送っていき彼女の家の途中で別れるシーンなど映画史に残る大甘シーンだと思います。それもラストの別れの曲が流れる、実はハッピーエンドのシーンにつなげるなどは、大甘ながら、当時の大林はたいへん冴えていたと思います。恥ずかしながら、子供が主演の映画はきわめて苦手で、泥の河も誰も知らないも未見です。厳密にいうと、泥の河は加賀まりこがでていたので、大早回しでビデオをみましたが、なにもわかりませんでした。加賀まりこは昔はとても魅力的で、とても恥ずかしいですが、立木義浩の撮影したヌード写真集も持っています。ところが、最近の青春映画をスカパーでみても、面白いと言うことがだいぶ減りました。waterboysやswinggirlsはなかなか良くできていると思いましたが、やはり年のせいでしょうか。ただ若い頃から、昔の青春映画、たとえば青い山脈等、は全く興味が湧かなかったので、自分の経年変化とともに映画手法も変化したのかなと思います。確かに、セカチュー
など恋愛映画は今も昔もクサイのですが。
週刊文春のたけしのインタビューを読みましたが、芸能界、興行界とやくざの関係はかなり根深いと思います。妻の父は興行界に長くいたので、当然ながらそういう筋の人とつき合いがあったようです。年賀状なども、おそろしく派手な年賀状がきていた時期があります。父は仕事ではやむなくつき合いはあったと思いますが、私生活ではいつも、やくざにものを頼むな、といっていました。どちらかというと、父の方が親しいその筋の人のめんどうをみてやったようです。それが仕事面でのその筋とのつき合いに役立ったようです。何度か私も、キタやミナミの飲食店でたまたま同席したことがありましたが、親分クラスの人とそのボディガードだったと思いますが、なんともいえぬ、重苦しい、沈んでいくような迫力がありました。ああいう人と付き合うのは大変でしょう。まあ父は警察の偉い人ともそれなりのつき合いがあったようですが、雰囲気は似たようなものだそうです。芸能人もいわばやくざ稼業なのでいわば似たもの同士なのでしょうか。

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[137]
JC IMPACTU (/) - 2011年09月26日 (月) 19時35分

ポン太さん

大林監督の作品では「異人たち.....」を別にしますと尾道三部作、新尾道三部作ぐらいまでは私も好きでした。今では文春文庫に収録されている「複眼の映像-私と黒澤明-」(橋本忍)の回想録を読みますと、氏は晩年の黒澤作品を殆ど評価していませんが、その理由に「小国・橋本・黒澤」の共同脚本システムの崩壊をあげています。なるほど、作品をみてもこれは頷ける点が多く、やはり「脚本」という柱がダメだと、監督や俳優が七転八倒しても映画というものはよくならないのかもしれません。

しかし、その橋本忍が東宝の創立50周年で原作・脚本・監督を担当した「幻の湖」は、私は途中でDVDを止めてしまうほどの「怪作・駄作」でありました。当時のオールスターキャストで華々しく公開されたこの作品も、散々な興行成績だったようですし、自身も「失敗作」と言葉少なく認めています。私は橋本忍がどうしてこんな愚作を映画化したのか、原作を読んでみましたが、これまたどうしようもなく酷い内容で、小説と脚本とは全く別の才能なのだなぁと、私は感じたものです。

「泥の河」は確かに子役三人の名演が光る作品ではありましたが、主役、脇役、皆、いい味を出していたように思います。例えば英文学の世界に顕著な「森」というイメージがこの作品には著しく投影されていると感じました「淫靡な世界、それを超えたところにある成長」ということになりますか。

例えば↓の作品



これも「子役」主演の映画をもし苦手とされるなら、ポン太さんは未見かもしれませんが、私の父親は「砂の器より、この作品の方が遥かに優れている」と絶賛しておりました。今のレベルに比べれば、この作品の「子役」など決して上手くはありませんが、緒方拳の映画出演初主役としては、氏の魅力を引き出すに十分な魅力溢れる名作だったと思っています。

私は子供の頃に「夏木陽介、竜雷太、村野武範、中村雅俊」主演の「青春ドラマ」をよくみていました。担当科目は英語が多く、顧問はラグビー部かサッカー部という、パターン化されたドラマでしたが、今、CATVで、たまに当時のドラマをみると「一体、何でこの番組を夢中でみていたのか」わからなくなってしまいます。当時「ああいう先生が学校にいる」などとは考えてもいなかったのですが、それでも何か「抱く」ものがあったのかもしれません。

「金八先生」の方が、ある意味もう少しリアルではありましたが、いわゆる「組合問題」を「まるでないように」触れない手法が私は不満で、こちらの方はあまりみませんでした。

ただし第2シリーズだけは別です。



私はこのシーンは生涯忘れませんし、シーンそのままに流れる中島みゆきの「世情」を翌日、探しに行きました。それまで、私はこのアーティストの存在を知らなかったのです。シングルカットされていませんでしたので、高いものにつきましたが(苦笑)

興行と芸能と暴力団の世界という問題は、古くは美空ひばりさんの時代からありました。週刊文春のインタビューでは北野武が「問題は暴力団に依頼をするかしないか」ということを述べていましたが、東京と大阪では「マネジメント」にかなりの違いがありますから、これもなかなか一筋縄ではいきません。

ボン太さんとのやりとりの中でふっと思い出したことがあります。映画館は、ごく一部の都市圏のロードショー一番館を除けば、昔、指定席、全席入替なんてことはありませんでした。私は以前から、途中から映画をみるという習慣はありませんでしたが、いつごろから、こんな杓子定規になったのかなぁと思います。

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[153] 青春映画
ポン太 (/) - 2011年09月30日 (金) 22時31分

私は実はテレビの青春ものは、青春とはなんだ!、以外ほとんど見ていません。教師が主演のものより、学生が、特に女学生が主演のものが好きでした。まあ、甘ちゃんなのです。
たけしの映画は多分全部見ていると思いますが、自分の好きな映画は、JC様が掲げておられた、あの夏、とその男凶暴につきです。多分たけしの作品は、つまらない作品も含めて、この2作品ですべてのエッセンスが開示されていると思います。最近の作品はなにか才能の枯渇を感じます。当然ながら、他の芸能人監督、たとえばダウンタウンの松本、などに比べれば圧倒的に良いと思いますが、残念ながら年のせいでしょうか。あの人の小説、映画化もされた新興宗教の話などはまさに、頭で考えた小説のように
感じます。非常に頭の良い人だと思いますが、以外に世間知らずなのかなと思います。おそらく文春のインタビューでもすべては当然ながら語っていないと思いますが、しんすけとは明らかに、頭の良さの差が目立った居たように思います。
JC様が大阪と東京の興行界のやくざに対するマネージメントにおける、距離感、について記載されておられていましたが、実際にまた妻の父が言っていましたが、大阪においては、昔は劇場の中に組の事務所というか、警備事務所のようなものがあったようです。JC様ご存じのように、Y組三代目のT氏はたいへんな芸能人のタニマチだったかたで、T氏の後援を受けた芸能人は美空ひばりや小林旭をはじめたくさんいるようです。
父の話なのですが、彼らが、大昔の話ですが、何故Y組の傘下のK芸能社のマネージメントを受けたかと言えば、地方公演に行ったときに、地元のやくざが無理難題を言ったりするのを防ぐためも、一因だったようです。つまり世間で言う、持ちつ持たれつ、だったようです。それが良いわけでは、勿論無く、そういう時代だったということだったと思います。
今、JC様に教えていただいた、白夜行を読んでます。東野圭吾は、聖女の救済を単行本で、片想いを文春連載で、ガリレオを短編集で読み、容疑者Xの献身を単行本で読んで途中ギブアップし、私の読んだ限り、60点の作家だと思っていたのですが、この作品はまだ途中ですがなかなかのもですね。少なくとも前へ、前へと読み進める力がありますね。ラストが楽しみです。自分の予想するラストであっても、それまでのディーテルが良いですね。恥ずかしながら、私は夢枕漠が好きで、最新作を明日中には読み上げますので、明日からこの残りを読んでまた報告させていただきます。
自分は、ミステリーは本格長編と奇妙な味短編が好きなのですが、また書かしてくださいませ。

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[154]
JC IMPACTU (/) - 2011年10月01日 (土) 11時30分

ポン太さん

東野圭吾の「容疑者X.....」はこの作家の直木賞受賞作、いわば出世作となったわけですが、読了はしましたものの、私には満足感のない作品でした。ミステリーですので、その背景を記すことは控えますが、そもそもリアリティがなさ過ぎるのです。映画はそれなりの仕上がりになっていて、綻びがそう目立ちませんでしたが.....。最近の東野の傾向に強い「頭の中だけで考えたような人情路線」からそろそろステップアップしてほしいのですよ。

「白夜行」は私は東野というよりは日本のミステリーの中でも屈指の出来だと思っています。何より緻密、濃密ですし、結末に遭遇した時、私は「実に見事な収束だなぁ」と感心しました。続編という位置づけを私はとりませんが「幻夜」という作品が集英社文庫に収録されています。

本格ミステリー、これは警察小説でもあるのですが高村薫の「レディジョーカー」「照柿」(いずれも講談社文庫)これまた文句なしの名作だと私は思っています。作品世界に引きずり込む力というものが、ずば抜けていますね。

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[155] 白夜行読了
ポン太 (/) - 2011年10月02日 (日) 12時39分

白夜行読了しました。数少ない私の読んだ、東野圭吾の中では最高のできでした。結局この小説は恋愛小説、道行きものと言うか、光、救済を求めながら暗闇、破滅に向かっていく二人の話なのでしょうか。ラストへいたる流れも、当初の殺人事件のトリックもほとんど誰もが予想できるできることなので、二人の行動のディーテルの積み重ねが、このほんの魅力だと思います。いわばピカレスク系の暗い恋愛小説で、トリック中心の新本格派、綾辻や有栖川のような系譜とはまったくちがうミステリーですね。東野氏は人物を書きたいのでしょうか。ただそうならば、主人公達周辺からの主人公描写ではなく、わずかにありましたが、もう少し本人達の心理描写も書いて欲しかったです。しかしながら長編なのに、聖女の救済や容疑者Xの、退屈さというかダラダラした感じのない作品でした。おもわず、幻夜も注文しました。書評等ではあまり良くないようですが、楽しみです。
ところで、JC様はさきほど私が記した、綾辻や有栖川の新本格は読まれますか?私はもうだいぶ前、集中的に読んでいました。松本清張からの系譜とは全く違う、子供の時に大量に読んだ、いわゆる洋物推理小説の臭いがしたからですが、ある時期から全く読まなくなりました。多分、世間でいわれるように、人物描写をあえてさけているような所と、あまりにもアクロバティックなトリックに飽きたのですが、今はどうなっているのでしょうね?ただ、今考えるに、一定の時間をつぶしたり、リゾートで読むには最適だったと思います。どんな殺人事件でも、読後感はだいたいは、へぇそうだったのか、というどちらかというと爽やかなものでした。娯楽物としては、上質の読み物だったと思います。荒唐無稽な書き散らし、それが悪いわけではありませんが、の大量販売ものに比べれば、質としてかなり上だったと思います。
レディ・ジョーカーは読みましたがあれはすごい作品です。マークスの山と短編集も読みました。照柿は買ったままどこかにつっこんだのを今思い出しましたので、早速読みます。

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[158]
JC IMPACTU (/) - 2011年10月03日 (月) 20時22分

ポン太さん

>白夜行読了しました。数少ない私の読んだ、東野圭吾の中では
>最高のできでした。

喜んでいただけて何よりでした。巷では出版社企画として「東野圭吾のベスト」が公募されているようですが、私は「白夜行」が選ばれることを確信しています。

この作品の魅力というのは「エンディングに向けての集約」の見事さだと思います。登場人物の関係性が濃密なんですね。ご指摘のとおり「二人の行動のディーテルの積み重ね」が巧く描かれていました。

>綾辻や有栖川の新本格は読まれますか?

綾辻は確か「殺人鬼」という作品だったと思いますが、私はこの作品を最初に読んで、そのあまりに安易な杜撰な結末に激怒し、それ以来「食わず嫌い」のようになりましたね。今、新作が出ているようですが。逆に「これは」という作品をご教示いただけますと嬉しく思います。

私はある時期、警察小説にハマっていた時がありました。横山秀夫が颯爽とデビューし「半落ち」でブレイクした頃でしたか。勿論、高村薫の「灼熱感」とは全く異なるのですが、それでも「半落ち」はいい作品でした。私、泣きましたねぇ。カミさんは「歌舞伎町を歩いた上でそんなこと言える?」と馬鹿にされましたが。

その横山さんはもう5年くらいになりますか。新作を発表されていません。そのことは少々、気になってもいるところです。


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[160]
ポン太 (/) - 2011年10月04日 (火) 19時11分

なにやらたくさんの方がこのサイトに来られたようですが、もしその方達が私の文章も見られたらと思うととても恥ずかしいのですが、まあ杞憂だと思います。
横山秀夫の警察小説はとても好きで、かなり読みました。短編集というか連作集もとても質が高かったと思います。これで、警察小説が再び好きになり、以前一時新宿鮫などを読んでいました、他の作家、堂場瞬一なども読みました。佐々木譲の警官の血は第一部がよく、第二部第三部が並かなというかんじでした。しかしなんといってもこの警察作品群のせいで、捜査物が好きになり、今ではスカパーで外国の捜査物を見まくっています。日本の捜査物より全体に質が高く、金がかかっている感じです。とにかく横山氏の新作、それもできれば警察連作集を読みたいものです。
ところで、綾辻行人の作品ですが、殺人鬼とはまたカルトなものを読まれたとおもいます。この作品と続編は彼の中では、かなり特異なほうだと思います。まあこの作家にはホラー好みが明らかにあるとは思います。ただ正統的なのはやはり、館シリーズだと思います。私も最新作は読んでいないのですが、初期中期の館シリーズがいわゆる、新本格の典型ではないでしょうか。それと霧越邸殺人事件がそうだと思います。前にも私が書かせていただきましたが、少しだけ暇なときやリゾートでゆったり酒でも飲みながら読むときなどは最適だと思います。私は読後感がほとんどの場合爽やかでした。
JC様に教えていただいた小説群のほうがあきらかに文学的には完成度が高く緻密だと思いますが、私にとっては子供の頃、クリスティやクイーンやカーなどを読んだときの、あのときめきがある程度蘇りました。
幻夜が到着したので、ぼちぼち読んでいきます。

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[171]
JC IMPACTU (/) - 2011年10月04日 (火) 22時31分

ポン太さん

>今ではスカパーで外国の捜査物を見まくっています。日本の捜
>査物より全体に質が高く、金がかかっている感じです。とにか
>く横山氏の新作、それもできれば警察連作集を読みたいもので
>す。

私もCATVに加入しています。捜査物とは少し趣が異なるかもしれませんが、昔の作品、例えば「スパイ大作戦」などを楽しんでいます。「おはよう、フェルプスくん」ですね。

>ただ正統的なのはやはり、館シリーズだと思います。

なるほど、こういうシリーズがあるのですね。機会をみつけて手にとってみたいと思います。それと霧越邸殺人事件も。

私は最近、ニュースと一部のいくつかのスポーツ、ドキュメンタリー、将棋番組以外はいわゆる「地上波」を視聴する機会が年々減っていきます。ちようど今、ON AIR中なのですが「NHK」の「ラストマネー」生保業界を取り上げたドラマですが、なかなかよく仕上げています。このあたりは、さすが、という感じがしますね。

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[224] 秋刀魚の味
ポン太 (/) - 2011年10月26日 (水) 02時55分

昨日BSで久しぶりに秋刀魚の味を見ました。少し思ったことがあったので、いろいろな人の感想を見ました。ほとんどの方は娘を嫁がせた父親の孤独が映画の主題のように書かれておられましたが、どうもそれだけではないのではと思います。
私は、娘を嫁がせた孤独を感じられるまでに戦後復興した日本を、小津は奇しくも最後の映画にしろ、ほぼ監督と同年代の設定の主人公の笠置衆に演じさせたのではと思います。
つまり加東大介の海軍の部下や私が前にここで書かせていただいたように岸田今日子のバーにおける客も、もちろん主人公も、いろいろ苦労したにしろなんとか戦中戦後を乗り越えてきた。恩師は零落したかもしれないが、友人は大企業の常務になり運転手付きの車に乗り、当時はとても高価だった、サントリーオールドやジョニーウオーカーや懐かしいブラックアンドホワイトをその友人の常務の中村伸郎の家で、冗談を言いながら飲み、また小料理屋やトリスバーでそのママ目当て?に酔っぱらうまで飲む。そして、主人公の息子は当時最新の鉄筋の団地に住み、ゴルフをする。そして娘が嫁ぐ、さびしいが、なんとかここまでがんばってきた。そして2年後はあの幻の東京オリンピックが開催され、新幹線が出来る。
まさに高度経済成長が始まるあの時代を一つのある種典型的な家族の、それもありふれた同窓会や娘の嫁入りなど通じて描きたかったのではと考えるのです。そして加東大介とトリスバーで酒を飲みながら、加東大介が戦争に勝っていたら今頃ニューヨークですぜ、と言ったときに主人公が、負けて良かったのですよという意味のことを言い、加東大介がその理由も聞かずに、そうですねと言ったあのシーンで、苦しかった戦後と現時点を肯定的にとらえたのではと思います。
とにかく、最近の閉塞した時代に比べて、上を向いて歩いていた時代の映画だなと思います。そして最後に何度も写される、家の中の無人のシーンは、多分主人公の家の前に中村伸郎の家のシーンもあったと思いますが、娘のいない寂しいシーンかもしれませんが、とても平和で豊かさを示すシーンだと思います。
話は飛躍しますが、瀬戸内少年野球団のラストシーンの無人の校舎内部のシーンが象徴する平和と明るい未来を思い出します。秋刀魚の味は現時点の話で、瀬戸内のほうはノスタルジックな思い出としても、どちらも明るい未来を信じていた頃を描いた映画だと思います。
もう、こんな秋刀魚の味のような現世肯定的な、明るく幸せで、少し寂しい、家庭映画は撮れないでしょうね。

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[225] 秋刀魚の味
JC IMPACTU (/) - 2011年10月26日 (水) 20時21分

ポン太さん

私は小津の遺作は「小早川家の秋」だとばかり錯誤していたのですが「秋刀魚の味」がありましたね。こちらの方が後だということが調べてみてわかりました。

ご承知のとおり、小津はこの映画の公開される1962年秋に母親を失っています。本人の健康状態も芳しいものではなく、映画界は斜陽化に突き進み、1年1作の巨匠監督としては、相当なプレッシャーもあったことと思います。共同脚本の野田高梧が小津の没後に「これが遺作では小津があまりに気の毒だ」と述べたそうですが、私もわからなくもありません。いわゆる松竹ヌーベルバーグが動き出す時代で、小津のアクチュアリティが失われようとする頃でもありました。

私自身、この作品を久しぶりにみましたが、改めて「あまり出来のよくない作品」だと思いました。ひとつには「くどい」という面があります。「若い女房と薬の話」「子供を産む産まないの話」(パース・コントロール)など、これはちょっと鬱陶しい。老いたかっての教師をやや見下すような同窓生の視点というものも「老残の落魂、老骸」というものをこれほど弾劾するかのような視点というものは、正に小津安二郎の当時そのものの「老いに対する畏怖」ばかりが前面に見え隠れするようで、私には辛かったという面がありました。最後に「ひとりぼっちか」などと呟かせるようなことを、以前の小津なら断じて赦しはしなかったでしょう。

もちろん映画の主題のひとつに「娘を嫁に出す父親の孤独」を挙げることはできると思います。ただ私は小津の主題は後期に関しては一貫して「家族の崩壊」だったと考えているんですね。この作品でも年下の女性と再婚した同窓生に周平(笠知衆)が「最近、お前のことを不潔だと思うようになった」と吐かせるシーンがありますし、次男に「自分でやらなければいけない」と諭すシーンもみられました。長男夫婦は子供を作らず、父親から余分に金を借り「ゴルフクラブ」の購入費に充てようとする。妻との関係も一歩間違えれば、実に脆弱なものでしかない。小津が描いたものとは、ある意味、孤独と同時に覚悟であったような気もします。
そう、どんな時代にあっても、ということなのかもしれません。

ただ「軍歌マーチ」の使い方とか、加藤大介の「敬礼」のシーンと高度経済成長期の日本をさりげなく随所にみせるあたりは小津の巧さが光っていると思います。

私はこの作品にはとりわけ(別に小津が撮影中、酒の匂いをまき散らして、直前までかっ喰らっていたということはともかくとしても)明るさの「影」を小津は葛藤の末に、やはり最後まで拘ることしかできなかった。しかし、それこそが小津が自ら生み出した「映画の文法」そのものだったと私は捉えています。

この監督は今でも海外での評価の方が遥かに高いんですね。その感性がわからない人々が多いのだとするならば、それはそれで冷徹な事実として重たいものがある、私はそう感じています。

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[238] いろいろあると思います
ポン太 (/) - 2011年10月26日 (水) 23時03分

私は秋刀魚の味が小津の作品の仲で、最高傑作ではなくとも、一番好きな映画です。ある種の諦観と現世肯定的な部分が感じられるからです。
私は職業柄いろいろな人と話しますが、ある中小企業の社長と話していたときに、そのとき彼は資金繰りに極めて苦慮し、わたしも何とかしようと尽力していたときですが、何かの話のついでにというと不謹慎ですが、私自身が途方にくれていた、他の顧客が鬱病であり離婚しそうでいることと、また別の顧客の配偶者が精神的疾患から自殺したことを話したら、その経営者は、自分は資金繰りで本当に苦しいし、死ぬことを考えたこともある、ただ自分と家族はしようがないとしても、なんとしても従業員とその家族に迷惑はかけられないから、他の人のことは知らないが、自分は鬱病になりたくてもなれないし、離婚などに時間は費やせないし、ましてや自殺などに逃避できないと言われました。疲れ切った顔でそれを言われたときには、本当に私は沈黙のみでした。その後彼は自宅を売却し、息子をその好きな道で甘えていることをあきらめさせ、私も何とか某銀行からの融資をとりつけ、リストラせずに乗り切り、いまではサイズダウンしながらも、なんとか生き残れています。彼は自分の戦争になんとか生き残ったのですが、最近娘さんが結婚された時に、やっと結婚してくれて嬉しいですけど、なんやさびしいですわ、と嬉しそうに、寂しそうに、言われたことがとても印象的でありました。

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[241] いろいろあります、ほんとうに
JC IMPACTU (/) - 2011年10月26日 (水) 23時35分

ポン太さん

>私は秋刀魚の味が小津の作品の仲で、最高傑作ではなくとも、一番好きな映画です。
>ある種の諦観と現世肯定的な部分が感じられるからです。

作品に対する評価、捉え方というものは、本当に千差万別、いろいろなものがあります。だから映画は面白い、と言えるのかもしれません。私は小津作品、どれも若い頃に最初にみた時には「どうしていいのだろう」と、それが全然わかりませんでした。

ただ、前にも書きましたとおり、何かの節目とか、大きな出来事を体験して改めて鑑賞すると、全く違うんですね。問いかけて迫るものに圧倒される。そういう意味では本当に大人のための作品という感じがしますね。

「秋刀魚の味」でラストシーン近くに笠知衆が「女の子(を育てること)はつまらん」とボソッと呟くシーンがありますね。しかし花嫁を前にした父親のあの笑顔も「ほんとう」なのだと思います。

ある意味失うものがあり、そして得るものもきっとある。そうでも考えないと、やってられないと(笑)そんな気もするのです。

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[696] 最近は?
ポン太 (/) - 2012年07月09日 (月) 22時37分

私は最近スカパー以外で映画を見ない、つまらない男ですが、JC様のここ半年ぐらいのお薦めの映画は何ですか?
よろしければ教えてくださいませ。いろいろ見てみたいと思います。

Pass

[697] そうですねぇ
JC IMPACTU (/) - 2012年07月09日 (月) 23時01分

この間、相も変わることなくコンスタントに邦画、洋画をカミさんと観てはいるのですが、正直、お薦めできる作品というものがあまりないのですよ。今年は不作かもしれません(笑)

最近「チャンネルNECO」というCATV局で「黒い潮」という井上靖派原作の邦画をみましたが、なかなかの作品でした。

http://www.necoweb.com/neco/program/detail.php?id=1733

7/11(水)午前8時から放送されます。

東野圭吾の「さまよう刃」は劇場でみましたが、まぁまぁでしたね。

http://www.necoweb.com/neco/program/detail.php?id=1702

7/11(水)午後8時から放送されます。

視聴できる環境であればよいのですが。

Pass

[700] ありがとうございます
ポン太 (/) - 2012年07月10日 (火) 11時54分

スカパーの261チャンネルです。明日早く帰ればみれるのですが。恥ずかしながらテレビが新しくなってから、スカパーの録画ができなくなったのです!嘘ついてました。私にその技術と知識がないのです!

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