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エヴァ〜Another world〜 プロローグ 薄暗い部屋の中にたくさんの人がいた。数は14人。全員黒いローブを着て、頭にはフードが被っており、顔は分からない。そして彼らは目の前にある大きな机を囲むようにして座っている。そして部屋の奥に一つだけ空いている席があった。
「なあ、何時になったら行動を起こすんだ?ここに来てもう一週間、退屈なんだよ。」
椅子に座り、机に足を乗せた男がいらいらした声で言う。
「そう焦るな。もうすぐ指令が来る。それより、足を乗せるな。行儀が悪い。」
その男の前に座っている
「あ?何だよラミエル、てめぇ俺に指図するきか?」
「違う、注意だ。」
「変わんねえだろ。」
「二人ともそれ位にしましょうよ。」
二人のやり取りを近くで見ていた男が、まあまあとなだめるように言う。
「黙れサキエル。から揚げにして食うぞ。」
そういって口調の悪い男は乗せていた足で机をドンと叩いた。
「サキエルの言うとうりだ。それくらいにしろサハクィエル。今日はあの人から指令が来るんだこんなくだらない事で空気を悪くしたくはない。」
机の真ん中辺りに座っている男が呆れ声で言う。
「・・・分かったよ、ゼルエルさん。」
男−サハクィエル−は拗ねた子供のように口を尖らせ、渋々乗せていた足を下ろした。
「来たわ。」
部屋入口側で静かに座っていた女性が唯一空いている席を見つめて言った。
『みんな居るね。』
その声と共に空いた席にぼうっと光が出てきた。
『一週間も待たせてごめん…いやね、何か連絡しようと思うたんびに厄介事がさ〜。昨日なんかね、街中歩いてたらさ、お婆ちゃんが重い荷物持っててさ、ほっとけなくてついつい助けt』
「そんな言い訳はいらねんだよっ!!」
飛び掛りそうな勢いで机に身を乗り出して先ほどの男が言う。
「何の仕事だ!?ビル爆破か!?空港か!?人間か!?もちろん俺がやんだろ!!」
闘牛のような昂ぶりでサハクィエルは言う。
『ちょっと興奮しすぎ。引くんですケド。』
「何だと!?」
『今回はサキエルに仕事をしてもらう。』
「はあっ!?」
「僕ですか!?」
二人して驚きの声を上げる。
『そう。君にはこの人物を殺してもらいたい。』
机に急にスクリーンが出現し、そこにその人物の顔がでる。その人物は少年だった。
「誰ですか、この少年?」
先ほどの女性が尋ねる。
『名前は碇シンジ。NERVの司令、碇ゲンドウの息子だ。今日からこの第三市東京に越してくるそうだ。』
「我々が探していた“死海文書”を保管している者の子供か・・・」
サハクィエルの隣に座っていた男が独り言の様に言う。
「じゃあ、俺はこのガキを胴体切り刻んでそれを綺麗に並べて殺ればいいんですね。」
サキエルはその光景頭に浮かべているのか、頬に両手を当てくねくねと気持ち悪い動きで言う。
『…ん〜ナンか、さすがにそれは可愛そうな気が…まっいっか。うん、そう。できるよね?』
「もちろんです。それじゃあ今から行ってきます♪」
『気を付けてね。NERVの迎えも来るらしいから慎重に。』
「はいはい。大丈夫ですよ〜♪」
サキエルは鼻歌をしながら軽い足取りで部屋を出た。
『さあ、というわけで今日はおしまい。みんな明日から忙しくなるよ。ちゃんと三食きちんと摂って早寝早起きするように!!じゃッ!!』
光は実体があれば決めポーズをしてそうな勢いで言って消えていった。
「…何だあのテンション?最初の出番が俺じゃねえのが気に入らねぇが、明日から退屈しないんだったらそれでいいか。」
口調の悪い男、サハクィエルはそういって部屋を出て行った。そして、他の者も順々に部屋を出て行った。
部屋は完全な闇に包まれた。
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