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[68] 貴方の海に沈みたい
日時:2019年08月27日 (火) 23時24分
名前:加賀谷 竜徒  



『オメガバース』で、[世界でのαサイファー×Ωスコールです。


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 エスタでの長丁場の任務の後と言うのは、疲れているものだ。
現場が遠い為に長距離の移動になる事は勿論、“月の涙”が起こる以前より、その環境から凶暴性の高い魔物が多く生息している地だ。
“月の涙”により原生物と飛来した生物の生存競争も激しく、時にはエスタの街にも少なからず影響を及ぼす。
魔女戦争から時間が経つに連れ、それは一層厳しくなっていると言う。
この為、バラムガーデンには定期的に魔物討伐の依頼が寄せられており、現場の危険度を鑑みて派遣できる人員も限られている為、派遣された者は長期滞在せざるを得なかった。
時には一週間に渡って、毎日魔物と格闘させられた上で、自力の足で帰ってこいと言う訳だから、疲れない筈がない。
だが、それも仕方のない事だ。
因みに、稀にラグナロクで送り迎え(どちらか片方のみでも)がある事もあり、それは非常にラッキーな事なのだが、代わりに休む暇なく何処かの現場に連行される事もあるので、余り諸手では喜べなかったりする。

 今回のサイファーのエスタ派遣先は、グランディディエリの森だった。
その地名を聞いただけでうんざりしたサイファーの想像に漏れず、討伐対象は増え過ぎたモルボルとメルトドラゴンの退治。
なんでも、“月の涙”以降、新たに現れた生き物との生存競争が一因なのか、此処数ヵ月で爆発的に数が増えたらしく、生息域として認知されていた森の中だけでは餌が賄い切れず、エスタ大平原にまで群れが押し寄せていたのだと言う。
地域が隣接している為、時折モルボルがエスタ大平原で確認される事はあったが、大抵は餌が豊富な森へと帰って行くので、単体の危険度の為に定着する前に討伐する、追い払うと言う事はあっても、それ程重要視される事はなかった。
が、メルトドラゴンともども、餌を求めてエスタ大平原までやって来られるのは宜しくない。
エスタ大平原は決して自然豊かな土地ではなく、どちらかと言えば生き物には厳しい環境となっている。
其処で食物を探して動き回れば、何れはエスタ市街にも辿り着くだろう。
科学技術で造られた土地は、自然環境は殆どないに等しいが、少なくとも何かしらの食料品はあるし、場合によっては人を食う事も辞さない魔物にとっては、一風変わった楽園のように映るかも知れない。
そうなる前に、エスタ大平原にいる群れは可能な限り駆逐し、森からまだ出ていないものも間引いて個体数を減らし、理想的な自然環境が保てるようにしよう、と言うのが任務の目的であった。

 ────そんな任務だった訳だから、単体でも厄介な魔物を群れで相手をしなければならなかったサイファーの苦労は、推して知るべしである。
現場にはアーヴァインとセルフィがサポートについていた為、一人での任務、或いは名前も知らないSeeDと一緒になるよりは遥かに楽ではあった。
が、それでも疲れるものは疲れる。
ついでに帰り際に、本来なら生息していない筈のルブルムドラゴンが三体出現した事に泣かされた。
正直、無視して帰りたい気持ちもあったが、放置すればまたグランディディエリの森の生態系が崩れる。
どうにかこうにか片付けて、サイファー班はようやくの帰路に着き、エスタが民間向けに発着させるようになった飛空艇でガルバディア大陸まで戻り、電車でえっちらおっちらとバラムまで帰還したのであった。

 そんな訳で、サイファーは非常に疲れている。
いつも元気なセルフィもくたくたで、寮に帰ったらとにかく直ぐ寝たい、と言っていた。
サイファーもアーヴァインも全く同感だ。
幸い、ガーデンに着いた時には時刻は頂点を過ぎており、こんな時間に報告書を出す必要もないだろう、と三人の意見は一致した。
スコールならばこんな時間でも執務室で仕事をしている可能性もあったが、普通に考えて勤務時間はオーバーしているのだし、慌てて出しに行く事もあるまい。
だから今日は、さっさと帰ってさっさと寝るのだと、サイファーは決めていた。

 部屋の鍵を開けて中に入ると、ようやっと一心地を付けた気分になった。
同時にどっと体の重みが増す。
このままベッドに入って、気絶宜しく眠れる予想はしたが、その前にシャワーだけでも浴びようと思い直した。
何せ任務の間、土埃やら魔物の体液やらモルボルの臭い息やらを浴び続けているのだ。
衛生的な所は川の水で誤魔化し続けていたが、やはり暖かい湯を頭から浴びる心地良さには敵わない。
それを済ませてから寝よう、とサイファーはバスルームに入った。

 結局の所は疲れているので、シャワーを使った烏の行水だ。
だが、安全な場所で背後の気配も気にせず、何に意識を配る事もなく、ゆっくりと湯を浴びれたのはやはり良いリフレッシュになった。
濡れて降りた髪をタオルで荒っぽく拭きながら、さて寝るか、と寝室に戻った所で、


「……」


 違和感に気付いて、サイファーはぴたりと動きを止めた。
頭に乗せたタオルを動かしていた手も止まり、翠の瞳だけが忙しく動いて周囲の状態を確認する。

 特に何か大きく変わった事がある、と言う訳ではなかった。
だが、出発する前とは明らかに違う。
ぴったりと隙間なく閉めた筈だったカーテンが僅かに開いていたり、本棚に片付けていた筈の本がデスクの上にあったり。
ベッドの上の枕は、何故かベッドの真ん中に移動しており、薄手の毛布が消えている。
毛布はベッドと壁の隙間にでも落ちたかと思ったがそれもなく、そもそもそんな状態でサイファーが部屋を出る事はない。

 サイファーは徐にクローゼットを開けた。
きちんと綺麗に色分けして並べている上着を見て、抜けている色がある事を確認する。
そう言えば任務に出る前、溜まっていた洗濯物を脱衣所の乾燥機に放り込んだと思い出し、其方も見に行く。
物はあったが、取り出して行くと足りない物がある事が判明した。
そして改めて、消えた毛布の事を思い返し、駄目押しにカレンダーを遡り、確信する。


「……ま、仕方ねえな」


 足りない服と、勝手に動いている私物────これらが導き出すものは、誰かがこの部屋に侵入していると言う事。
そして此処はサイファーの部屋だ。
そんな所に勝手に出入りして、剰えサイファーの物を盗み出す等と言う愚行を働ける者は、無知な泥棒を除けば、この世に一人しかいない。

 部屋を出て、サイファーは目的の場所へと真っ直ぐに向かう。
ひょっとしたら家主はいないかも知れないが、どうせ待っていれば戻ってくるだろう。
普段ならいつの間にか徹夜コースもざらな事だが、“そう言う時期”なら話は別だ。
そうなったら、彼もいつまでも仕事を続けてはいられないだろうから、遅かれ早かれ切り上げ無ければならない。

 目的の場所が近付くに連れて、サイファーの鼻孔に特徴的な匂いが届くようになる。
それが何の匂いなのか悟るよりも先に、現金な躰が反応を示そうとしていた。
目当ての部屋の前まで到着すると、益々匂いは強くなり、これは隣の部屋とか大丈夫なんだろうな、と色々な意味で心配になるのだが、今の所はそれによるトラブルは起きていないとの事だ。
以前は周囲の人間全てに訴えかけるようにばらまかれていた匂いだが、今はサイファーの為だけに振り撒かれ、サイファーだけが顕著に感じ取れるようになっているとか。
だからトラブルも起きずに済んでいるようだが、どうしても付き纏う不安は多く、それを解消する為にも、やはり早めに部屋替えなり何なりを促すのが良いだろう。

 部屋のロックのパスワードは覚えている。
パネルも見ずに手癖だけで操作すると、呆気なく口は開いた。
その瞬間に部屋の中に籠っていた匂いが、唯一の出口に向かって溢れ出して、サイファーを包み込む。
一歩中に入って扉を閉めると、充満した匂いが一層濃く感じられるような気がした。
これが自分以外には感じ取れない、等と言う話が、サイファーにはいまいち理解できない。
浴びせられる程に感じ取れるのがサイファーだけなのだから無理もなかった。
その理屈で行くと、部屋の主にも匂いそのものは感じ取れないらしいのだが、それについては何処まで本当の話なのか。
サイファーが想像していた通り、色々なものを散りばめたベッドの上で、丸くなっている恋人を見る度、サイファーはそんな事を考える。


「スコール」


 蹲っている恋人の名を呼ぶと、ぴく、と肩が震えたのが見えた。
電気もつけていない部屋の中で、カーテンの隙間から差し込む冴えた光だけが、この空間の光源だ。
それで充分、サイファーは此処にある物が視えていた。

 対外的には几帳面で神経質である癖に、誰も見ていない所ではスコールは惰性的である。
好きでもない指揮官業務で疲れているから、と言うのもなくはないが、根本的にスコールは何に置いても積極性に欠けるのだ。
自分の部屋の在り様についても、自身が不便や不快に思わなければそれで良いので、出したものが出しっぱなしだとか言うのは珍しくない。
何かが気になると全部が気になるので、そう言う時に一斉掃除をしたりするから、綺麗な所は綺麗ではあるが、とかくそれにもムラがあるのは、幼馴染達には知られている事だ。

 が、それにしても、今夜のこの部屋は雑然としている。
それは当然だ、本来は此処にない筈のものが無秩序に運び込まれているのだから。
特にベッド上はそれが顕著で、この部屋の主の趣味とは明らかに違う服が、こんもりと幾つも小さな山を作っている。
その山の中に埋もれるように、スコールは蹲っていた。


「おい、スコール。起きてるか」
「……サイファー……?」


 サイファーがもう一度声をかけながら近付くと、スコールがゆっくりと起き上がる。
体に包まっていた薄手の毛布───サイファーの部屋にあった筈のものだ───がするりと落ちて、月の淡い光で、白い肌がぼんやりと映し出された。
毛布に隠れて際どい所だけが見えないシルエットに、目に毒だな、とサイファーは思う。
しかしスコールはそんなサイファーの胸中には気付かず、とろんと甘く蕩けた瞳を向けて、


「サイファー……」


 小さな子供が甘えるように、サイファーに向かって手を伸ばす。
その手を取ると、スコールは自分の顔へと引き寄せて、猫のように目を細めながら頬を摺り寄せた。
それを好きにさせながら、サイファーは気まぐれに指先を動かして、スコールの頬や顎をくすぐってやる。
それだけでスコールは、ぴくっ、ぴくっ、と小さく体を震わせ、薄く開いた唇から甘やかな吐息を漏らした。


「ん……あ……っ」
「人の部屋に勝手に入って、物持ち出してんじゃねえよ」
「はぁ……」


 叱るサイファーの声は、スコールには届いていない。
彼は今、目の前にいる人物の気配を、その匂いを感じる事で、頭が一杯なのだろう。

 ベッドの上に散らばっているのは、全てサイファーの私物だった。
多くがクローゼットに仕舞っていた筈の服で、綺麗にしていた筈のそれには、すっかり皺が寄っている。
乾燥機に入れっ放しにしていたものもあり、それらは皺だけでなく、染みのようなものも浮いていた。
洗濯したばかりのものだったのに、なんて叱った所で、スコールは気にしないだろう───と言うより、そんな事を気にする余裕もないのだ。
彼はただ、サイファーの匂いを、気配を、その存在を求めて、それらがほんの僅かでも良いから感じられるものを探していただけなのだから。

 ────この世には、男女の性別と並行し、α、β、Ωと呼ばれる三つの性が存在する。
大きな括りで、秀でた種とされるα、凡庸なβ、種の存続の為の器官を備えたΩとも称されるその性は、様々な形で世界に影響を齎している。
特にΩは、その絶対数が少ない事もあり、備える特異性も相俟って、社会的に難しい立場を強いられる事が多かった。
現在はΩであるが故の生き辛さを支援する為の公的機関が存在する程度には、その権利は守られていると言われているが、実際の所はもっと複雑かつ難題が山積みであった。

 Ωの特徴として、男女に関わらず、性行為によって子を為す事が可能である事が挙げられる。
そうした生物学的役割は、『ヒート』 と呼ばれる、動物で言う『繁殖期』が定期・不定期に訪れる事からも示されていた。
この『ヒート』は本人の意志とは関係なく訪れるものなのだが、この時に醸し出されるフェロモンはとても強力で、他性───それがα、β、Ωに関わらず───の性的欲求を強く誘発する効果がある。
それ故にΩは過去に悲惨な事件の被害者になる事も多く、Ω性蔑視の原因の一つでもあるとも言われていた。
現在はフェロモンの増加を抑制させる効果を持つ薬も多く流通する事になり、ある程度のコントロールが可能であるとされるが、結局は“ある程度”であった。
効果も人によって個人差があり、中には全く効かない、と言う者もいるようで、Ω性の生き辛さは以前として変わらずにいる。

 この『ヒート』によって醸し出されるフェロモンを抑制する方法は、もう一つあった。
Ω性が番(つがい)───即ちパートナーを持つ事だと言われている。
元々が生物の存続の為に備わっている機能であり、存続の為には優れた種を求める事が生き物としては自然な行動であるとされている。
故にΩ性の者は、自分の対となる、α性のパートナーが世界の何処かに存在すると言われていた。
α性の者にもその逸話は知られており、自分の運命の相手を探している、と公言するα性の芸能人等は、時折テレビで見られる事もあった。
しかしこの広い世界で、芯から互いに求め合える、“本当の番”に出逢える者は稀であり、その逸話自体が幻想めいた夢物語だと言う者も少なくはなかった。

 サイファーは、α性だ。
子供の頃から、自分にはきっと運命の相手がいるのだと、信じて已まなかった。
憧れていた魔女の騎士の物語も、魔女と騎士の出会いは運命としか思えないものだったし、自分が守るべき相手が何処かにいるのだと考えていた。
その傍らには、生まれついてのΩ性である子供がいたのだが、幼い頃はそれを深く気にする事はなかった。
子供がΩ性である事を知らなかったからでもあるし、知ったとしても、あの頃の自分では、こいつが運命の相手なんて、と鼻で笑ったに違いない。

 そしてスコールは、Ω性である。
子供の頃にそう診断されて以来、スコールはΩ性である事を極力隠して生きていた。
幼年期の事はよく覚えていないが、ガーデンでしっかりと自我が身に着いた時には、そうしなければ己の身が危うくなる事を理解していた。
しかし、思春期になる頃から訪れるようになった『ヒート』だけはどうしようもなく、抑制剤のお陰で大きなトラブルはなかったが、勉強が全く手に着かない事や、現地任務中に危うい状態に陥る事は、ゼロではなかったそうだ。
それはつい最近まで続いていたのだが、今のスコールの『ヒート』は其処まで危険視されてはいない。
指揮官と言う立場を想えば危うい事は変わらないのだが、『ヒート』が訪れた事による周囲への影響への心配は大幅に減った。
サイファーと言う、唯一無二の番を得た事によって。

 番を見付け、結ばれても、Ωの『ヒート』は訪れるらしい。
が、その影響の幅は大きく制限されると言われていた。
番を得る以前は、それを見付ける為だろう、周囲全てに雄としてのアピールを求めるかのように無差別に振り撒かれていたフェロモンは、番を得るとその人物だけを呼ぶようになる。
今この時、サイファーを求めて已まない、スコールのように。


「サイファー…サイファー……」
「なんだよ」
「サイファー……」


 何度も名前を呼ぶスコールに、サイファーは返事をする。
それだけでスコールは、嬉しそうに目を細めて、ほうっと甘い息を吐く。
吐息がサイファーの手首をくすぐったと思ったら、スコールは其処に唇を寄せて、ちゅう、と吸い付いて痕を残した。

 毛布に隠れていたスコールの下肢がもぞもぞと身動ぎしている。
薄手の毛布は彼の下肢を隠してはいるが、其処で膨らんでいるものまでは誤魔化してはくれなかった。
幸せの中にいるスコールの呼吸は次第に上がって行き、蒼の瞳が熱に揺れてサイファーを見上げる。


「サイファー……」
「だから、なんだ?」
「……セックス…したい……」


 明け透けな言葉は、『ヒート』の時でなければ出て来ないものだ。
それ程、今のスコールは理性がなく、本能だけでサイファーの存在を欲していると言う事になる。

 スコールの手がサイファーの腕を引っ張り、ベッドに誘い込もうとする。
サイファーがその場に踏ん張っていると、ムキになったようにスコールの両手がサイファーの腕を掴んだ。
ジャンクションも外しているのだろう、純粋な力で叶う筈もないのに、そんな事を考える事もしない。
その余りに必死な様子をしばしの間楽しんでから、サイファーはベッドに上った。


「は…っ、サイファー……んぅ……っ」


 やっと来た、と嬉しそうに、スコールの顔が近付いてきた。
いつもの不機嫌と極太文字で書いたような顰め面は霞もなく、とろとろに蕩け切った甘え顔でキスをする。
しっかりと唇を重ね合わせて、スコールの舌がサイファーの唇をノックした。
中へと誘ってやれば直ぐに侵入して来て、性急さに少々面喰らいつつ、サイファーもされるがままでは詰まらないと、スコールのそれを絡め取ってやる。


「んっ、んっ!んむぅ……んんっ…!」


 捕まえた舌の根を、舌先でくすぐるように刺激してやると、ビクッビクッとスコールの体が震える。
スコールの咥内は彼自身の唾液で濡れそぼっていて、少し舌を苛めるだけでぴちゃぴちゃと言う音が聞こえた。

 たっぷりと甘い味のする咥内を味わって、サイファーは唇を離した。
途端、くてん、とスコールの体が力を喪う。
しどけなく唇を開いたまま、はあ、はあ、と呼吸しながらベッドに沈んでいるスコールに、サイファーは声をかけた。


「おい、スコール」
「ふあ……っは……」
「満足したか?」
「…っんん……」


 サイファーの問いに、スコールはふるふると首を横に振った。


「まだ……欲し……」
「どれ位欲しい?」
「…もっと…もっといっぱい……んんっ!」


 今度はサイファーの方から、スコールの唇を奪う。
顎を捕らえて固定しつつ、唇を開けるようにと舌で擽ってやれば、スコールは素直に従った。
早く早くとスコールの方から舌を差し出してきたので、遠慮なく捕まえて舐る。
スコールは耳の奥でじゅるじゅると言う音を聞きながら、サイファーの首に腕を絡め、愛しい男からの愛撫に夢中になった。

 組み敷いていたスコールの体が起き上がる。
それをサイファーが受け止めてやると、スコールは起こした体でサイファーの身を押した。
それに抵抗せずに口付けだけを繰り返していると、いつの間にかスコールがサイファーの上に覆い被さる格好になる。
サイファーは腹の上の重みを感じつつ、ちゅぱ、ちゅぷ、と音を立てて一所懸命に自分を貪る恋人を眺めていた。


「っは…はむ……っはぁ……」


 サイファーもスコールもお互いを十分に堪能して、ようやく唇を話した。
少し腫れたサイファーの唇と、濡れたスコールの唇とが、細い銀糸で繋がる。
スコールの赤い舌がちらりと覗いて、銀糸を絡め取って咥内へと招き入れた。


「サイファー……あっ…んんっ……」


 名を呼びながら、スコールはサイファーの太腿に股間を擦り付けた。
じっとりと濡れた感触がズボン越しに伝わって来て、ちらりとサイファーが其処を見遣れば、裸身のスコールの其処はぐっしょりと濡れそぼっていた。
雄は**し、とろとろと涙を流している。


「お前、一人でしてたな?」
「んっ…あっ、あ……っ!」
「何回イった?」
「はっ…んん……覚え、て…ない……んぁ…っ」


 腰を揺らす動きを止めずに、スコールは呼気を乱しながら答える。
ヒクヒクと震える先端にサイファーの手が伸びる。
それを見て、あ、とスコールの唇から期待するように声が漏れた。
サイファーが指先で蜜を溢れさせている鈴口をピンッと弾いてやると、


「ひぅんっ」


 ビクンッ、とスコールの体が縮こまって跳ねる。
ぴゅくっ、と噴くように飛沫のような蜜が飛んで、サイファーの腹を濡らした。


「はふ……あっ…あぁ……っ」


 スコールの体には、痺れるような甘い電気が広がっていた。
蒼灰色の瞳が柔らかく蕩け、甘える顔でサイファーを見詰めている。


「サイファー……もっと……」


 もっと触って、とスコールの手がサイファーの手を握り、自身の中心部へと誘う。
しかし、サイファーは中々それに応えようとはしなかった。


「サイファー……」
「って言われてもな。俺は疲れてるんだぜ、スコール」
「じゃあ……俺がする。だからあんたは、寝てて良い……」


 任務から帰ったばかりなんだと言うサイファーに、スコールは特に気を咎めた様子もなく言った。
当たり前のように告げられた言葉に、へえ、とサイファーは少し驚く。
しかし、今のスコールは『ヒート』の真っ最中だ。
サイファーの匂いを求めて、私物を持ち去っては溜め込み、“巣”を作ってその中でオナニーに耽る位に、サイファーと繋がる事しか考えられなくなっている。

 スコールの手が、サイファーの腹をするすると撫でながら降りて行く。
シャワー上がりで此処に来たので、サイファーの格好はラフなものになっていた。
上はシャツ、下もストレッチの効いた柔らかな綿のズボンだから、ベルトも何もなく、脱がすのにも手間はいらない。
スコールがサイファーの下着の中に手を入れ、収まっているものに触れると、其処は既に固く膨らんでいた。
その感触に気付いたのだろう、スコールの表情がうっとりと悦を孕んだものに変わる。


「サイファー……大きくなってる……」
「疲れてるんでな」


 疲れると**するのはよくある事だ。
と、サイファーは言ったが、それだけが原因ではない。
目の前でこれでもかと言わんばかりに、甘く馨しいフェロモンを放つ恋人がいるのだから、反応しない訳がないのだ。

 スコールがパンツをずらして、サイファーの一物を取り出す。
ふうっ、とスコールが竿に息を吹きかけると、目の前でそれがぴくぴくと震えた。
口を開けて伸ばした舌で、アイスを舐るようにゆっくりと筋を撫でつつ、右手でぶら下がっているものを揉む。


「っは…んぁ……は……あ……っ」


 スコールの愛撫は、丁寧に丹念に、満遍なく施された。
唾液でてらてらとしている雄にスコールの指が這い、指で輪を作るような形で根本を柔らかく握る。
纏わりついた唾液を拭い伸ばすように扱きながら、スコールは先端の鈴口に舌の腹を当てた。


「んぁ、あ…へ……あむぅ…っ!」
「……っ」


 先端を舌先でちろちろと擽っていたと思ったら、スコールはいきなりサイファーを咥え込んだ。
艶めかしい感触がサイファーを包み込み、思わずサイファーが息を飲む。
スコールはその気配にも気付かないのか、それを気にする暇もないのか、直ぐに頭を上下に動かして、口でサイファーを扱き出す。


「んっ、んっ、んっ!はっ、あむっ、んむっ」
「えらく、…っ大胆じゃねぇか……っ」
「ん……?ふっ、んぢゅっ、ん…っ、んぷっ、」


 サイファーの声にちらりとスコールが顔を上げるが、また直ぐに奉仕を再開させる。
じゅぽじゅぽと露骨な音を立てながら、スコールは雄をしゃぶり続けた。

 綺麗な顔をやや歪ませて、夢中になって雄に奉仕するスコールを、サイファーは鼻息を荒くしながら見下ろす。
スコールの小さな唇に、醜悪な形のものが出入りするのを見ているだけで、サイファーはどうしようもなく興奮する。
口の中で雄が大きく膨らんでいる事を、スコールも判っているのだろう。
時折息苦しそうに眉根を寄せつつも、スコールはサイファーの股座に縋り付くのを辞めなかった。


「はっはっ…はふっ、んむっ、んっ…!」
「スコール…っ、く……っ」
「ん、ちゅっ、んちゅっ…!んむ、っぷは……っ!」


 どくん、どくん、とサイファーの雄が脈を打ち、あと少しで弾けると言う所で、スコールは咥えていたそれを開放した。
ぬるるるっと滑って行く舌の感触に、サイファーの腰が鈍く震えたが、歯を食い縛ったお陰で**には至らなかった。

 ふっ、ふっ、と肩を揺らして息をするサイファー。
スコールは、明らかに苦しそうに眉根を寄せるサイファーの顔と、その股間で聳え立つ**を見て、うっとりと頬を赤らめた。
薄らと血管を浮き上がらせたそれは、明らかにいつもの交わりの時よりも興奮していて、スコールはそれに貫かれる瞬間を想像しただけでも、果ててしまいそうだった。


「…任務の後って、やっぱり溜まってるんだな」
「そりゃお前。一人じゃなかったからな」
「一人でも抜くなよ。勿体無いだろ…?」


 そう言って、スコールに指がつぅっと竿の筋を擽る。
ぴくぴくと頭が震えるのを見て、面白い、と呟くスコールに、サイファーはたった一週間見なかっただけで、随分と性質が悪くなったもんだと思う。
それもこれも『ヒート』の所為なのだろうが、いつにもまして今日のスコールは大胆で妖艶だ。

 スコールが丸めていた背を伸ばして、サイファーの上に乗る。
足を開いて膝を立たせ、怒張した雄を跨る格好になって、スコールは雄を秘部へと宛がった。
そのまま受け入れようとしているスコールに、サイファーは待ったをかける。


「おい。お前の中狭いんだから、裂けるぞ」
「大丈夫だ」
「じゃねえだろ」
「さっきまで…こっちでしてた、から……んんっ…!!」


 サイファーが止めるのも聞かずに、スコールは腰を落とした。
狭い穴が太いものでぐぅっと押し広げられて、バカ、とサイファーが詰る。

 しかし、サイファーが想像していた窮屈さや苦しさは、一つもなかった。
元々小さく狭い事に変わりはないが、いつも硬く閉ざされがちの入り口は素直に開き、サイファーの一番太い所も難無く咥え込んだ。
更にスコールは、そのままサイファー自身を全て飲み込んでいく。


「んぁあああ……っ!」
「う…あ……っ!」
「あっ、ああ……っ!はっ…はうんん……っ!」


 甘露に満ちた声を上げながら、喜びに震えるスコール。
そんなスコールの秘孔内は蕩けきって柔らかくなり、ぐねぐねといやらしく蠢きながら、全身でサイファーの雄を包み込んだ。
官能に満ちたスコールの腰が悶えるように踊るだけで、中の肉がうねりを増して、サイファーを苛む。


「はー…っ、あ…っ、はぁ……ん……っ」
「っは……は……っ」
「サイ…ファー……大き、い…熱い…ぃ……っ」
「そう、したのは…お前だろうが……っ」
「ふふ……ん……っ」


 共に息を切らせながら、苦い表情で熱の暴走を堪えながら言うサイファーに、スコールがくつくつと喉を震わせる。
しかし直ぐに体内で脈打つ雄の感触に意識を攫われて、細い腰を捩る。

 スコールはサイファーの腹に両手をついて、ゆっくりと腰を浮かせた。
孔を一杯に広げているものが、縁を擦りながら、ぬりゅううう、と出て行く感触が堪らなく気持ちが良い。


「ああっ、ああん……っ!はっ…はふっ……うんっ!」


 太い所まで引き抜いたものを、スコールはもう一度迎え入れた。
ぬぷんっ、と根本まで一息に飲み込んで、ごちゅっ、と一番奥にサイファーが当たる。


「はくぅうっ!」


 ビクンッ、とスコールの体が仰け反って強張った。
スコールの雄からびゅうっとミルクが噴き、二人の腹を汚した。
同時にスコールの肉壁も戦慄き、咥え込んでいるものをぎゅううっと締め付ける。

 スコールは震える膝で体重を支えながら、一心不乱に腰を振り始めた。
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、とひっきりなしに淫水音を立てながら、スコールは奥壁に雄をぶつけるように、大きく腰を動かして行く。


「あっ、あっ、あぁっ!あんっ、はっ、はぁんっ、ああっ!」
「お前…っ、ぐっちょぐちょじゃねえか…っ!」
「はあ、あ、ああっ!サイ、ファー…サイファーので…んぁっ!あふっ、奥がぁ…っ、拡がってぇ……っ!」


 スコールの尻がサイファーの太腿を叩いて、パンッパンッと音を立てる。
硬い**が奥に当たる度に、スコールはがくがくと膝を震わせて、勃ちっ放しの自身から飛沫を噴いていた。
いつもならその感覚を一度味わうだけで痺れ、動けなくなってしまうスコールだが、今日は懸命に腰を振っている。


「あふっ、あっ、あっ、あっ!んぁ、ああっ、ああんっ!」
「お前、イキっぱなしになってるだろ?」
「あっ、だって、だってぇ……っ!サイファー、の、ああっ、きもち、きもひいぃっ!とまんないからぁっ!」


 貪欲に快感を欲する体は、甘イキ程度では全く足りないらしい。
だからスコールは自分を苛める事を止めないのだ。

 スコールは腰を浮かせて雄を半分まで抜くと、円を描くように腰を回した。
嵌ったままの雄が一緒に動いて、角度を変えた頭がスコールの肉穴をぐにゅっ、ぐにゅんっ、と掻き回す。
その時の感触はスコールにとって至福のものだったが、サイファーにとっては余りにも酷い拷問だ。


「こんの……っ!『ヒート』だからって、好き勝手しやがって…」
「んん……?ふふ…、んっ、うぅんっ!んっ、あっ、あっ、あっ!」


 ビクビクと胎内で雄を痙攣させるサイファーに、スコールは楽しそうに笑った。
足を大きく開いて、また雄を根本まで一息に咥え込み、直ぐに律動を再開させる。


「さいふぁ、さいふぁーっ…!あっ、あっ、ビクビクしてる…っ、俺の中でぇっ、サイファーが震えてるぅうっ…!」


 その事実だけで、スコールの背中にぞくぞくと激しい官能が襲う。
ビクンッ、ビクンッ、とスコールの体が一際大きく戦慄いたかと思うと、その痺れは肉穴を通じてサイファーへも伝わった。
卑しく雄に絡み付いては、生々しい感触を持って柔らかなマッサージを施していた其処が、急にぎゅうっと締め付けを増す。
その瞬間に、サイファーもベッドシーツを握り締めて官能の頂点へと上り詰めた。


「ぐぅっ!うっ、うぉおおおっ!」
「はぁああああんっ!ああっ、あーーーっ!あーーーーーっ!」


 ドクンドクンドクンドクン、と逸る心臓の鼓動のように、大きく細かい脈を打った雄から、**が吐き出される。
濁流のような勢いと量で内臓まで届かんばかりに注ぎ込まれる欲望を、スコールは全身で受け止めながら、悲鳴交じりの嬌声を上げた。
待ちに待ったものをようやく与えられた躰の悦びは凄まじく、スコールはサイファーに犯されながら自身も絶頂する。


「んぁあああっ!イくっ、イっ、あああっ!イってるぅっ!サイファーのでぇっ、イってるぅううううっ!!」


 今までにも何度も精を吐き出している事すら忘れる程、スコールは激しくイった。
びゅくびゅくと噴水のように発射された蜜が、サイファーとスコールの腹だけでなく、周りにも飛び散って行く。
ベッドを囲むように掻き集められていたサイファーの服にもそれは及び、斑に濃い染みを作り上げて行った。

 一週間の任務の直後で、疲れ切っていたサイファーから吐き出された蜜は、量も多ければ濃度も凄かった。
スコールは自分の胎内がサイファーの熱だけで一杯になり、内臓も何もかもが溶かされるような気がした。
それ程にスコールの肉穴は彼の欲望で埋め尽くされていると言うのに、穴を拡げる雄の太さは全く変わらず、スコールが少し尻に力を入れてきゅっと締め付けると、びゅくんっ!と後追いの精が溢れ出してくるのだから堪らない。


「はっ…はっ…はうんっ!ああ……あひっ!」
「人ので遊んでんじゃねえよ」
「あ…っ、あそんで…な、ひぃ……っ」


 ヒクッヒクッと痙攣しながら、今だ吐き出す精を受け止めては四肢を跳ねさせるスコール。
それを下から見上げながら、悪戯な躰を叱るサイファーに反論するスコールだが、その表情は犬のように舌を出して蕩け切っていた。

 サイファーが上半身を起こすと、弾みで中を擦られて、スコールが「ひうんっ」と甘い声を上げる。
サイファーがスコールの腰をを両手で掴んで持ち上げると、ずりゅぅぅうう……と濡れそぼった雄が淫穴から出てきた。
抜かれる感触にスコールはいやいやと首を横に振って、引き留めるように穴を絞めてサイファーを締め付ける。


「はぁあ……っ、あっ、あぁ……やぁん……っ」
「く……ふ……っ、んっ」
「ああんっ!」


 最後の最後まで絡み付き、吸い付いて来る肉の感触に耐えながら、サイファーは雄を引き抜いた。
にゅぽんっ、と言う音を立てて咥えるものを手放した其処から、一拍置いて、どろりと濃い蜜液が溢れ出す。
孔の中を撫でながら出口に向かって降りて来る蜜に、スコールはサイファーの体に縋るように身を寄せながら、ふるふると尻を震わせて悶え喘ぐ。


「んやぁ……出る…出ちゃうぅ……っ、サイファーのぉ……っ」


 スコールは括約筋に力を入れて、一所懸命に溢れ出す蜜を堰き止めようとしている。
しかし平時よりも更に大きくなったサイファーに貫かれた其処は、ぽっかりと口を開けており、零れるものを捕まえる事が出来ない。
それよりももう一度太くて逞しいものを淹れて欲しくて、ヒクヒクと開いた穴を震わせていた。


「サイファー……もっと…もっと欲しいぃ……」
「ああ。これ位でお前が満足できる訳ねえんだからな」


 判っていると言って、サイファーはスコールをベッドへと転がした。
ばふっ、とスコールが倒れ込んだ其処には、サイファーの部屋から持ってきた服がある。
スコールが下敷きにしたお陰で、服はどれもこれも酷い皺になっていたが、サイファーは気にしなかった。
どうせ全部クリーニングにでも出さなければ、落ちる物も落ちないのだ。
問題は何処のクリーニング屋にどうやって任せるか、だが、今は考えまい。

 サイファーはスコールを四つ這いにさせて、腰を高く上げさせた。
期待に満ちた秘孔がふくふくと穴を膨らませて、今か今かと待っている。
其処にサイファーは痛いほどに膨張した雄を宛がうと、予告もなく一気に貫いた。


「んぁあぁぁっ!」


 高い悲鳴が上がるのも構わず、サイファーはスコールの腰を両手でがっしりと捕まえて固定し、激しく腰を振る。
蜜液塗れのスコールの尻に、ばちゅんっ!ばちゅんっ!と音が響く程に強く打ち付ければ、スコールは背中を撓らせ腰を捩らせながら、強烈な快感に啼き喘ぐ。


「ああんっ、ああっ、あはぁんっ!大き、ふと、おひぃっ!一番奥ぅっ、叩いてるぅっ!」
「はっ、はっ、はっ!一週間分だからな…っ!明日っ、動けると、思うなよっ!」
「ひぃっ、ひぃんっ!んぁっ、はふっ、あっ、あはぁんっ!」


 疲れた任務の後で、帰ったら直ぐに寝てやろうと思っていた事も忘れて、サイファーはスコールを攻め立てる。
一週間の禁欲も同然の任務生活の直後に、『ヒート』真っ盛りのスコールに散々煽られたのだから当然だ。
この責任は淫らな恋人に十二分に責任を取って貰わなければなるまい。

 そんな気持ちで容赦も加減もなく攻めるものだから、スコールは堪らない。
雄の肉欲を全て集めたかのように熱く逞しい雄に貫かれて、体の芯から溢れ出す悦びが止められない。
収まる所か、もっと欲しい、もっと犯して、と望まずにはいられなくて、スコールはサイファーの律動に合わせて腰を振っていた。


「あひっ、はひっ!んぁっ、ああっ!」
「尻もうちょい高くしろ。良いとこ当ててやる」
「はっ、はうっ……はきゅぅんっ!ああっ、そこっ、そこイイっ!しびれっ、ああっ、はんっ!はふっ、あああぁぁっ!」


 サイファーに言われた通り、スコールが少し尻の位置を高くすると、直ぐにサイファーの雄が弱点を突き上げた。
その瞬間に脳髄から多幸感のようなものが分泌されて、スコールは夢中で腰を振り、サイファーを同じ場所に導こうとする。
そんな事をしなくても、サイファーはそれはそれは的確に、同じ場所を突き上げてくれるのだが、サイファーは一所懸命に腰を振る恋人の淫らな姿を楽しんでいた。


「サイファー、ああっ、サイファーっ!きもちい、そこ、イイのぉっ!もっと、あっ、もっとぉっ!」
「判ってるよ、急かすな。おらっ!」
「あひぃいんっ!あふ、はくぅっ、はひぃっ!ああっ、イくっ、イくの来るぅうっ!」
「良いぜ、イけっ!何回でもイかせてやるっ!」
「あーっ、あーっ!ああぁぁんっ!んぁあっ、イって、るとこぉっ!突くのだめぇっ、とまんないぃっ!きもちいいのとまらないよぉおっ!」


 サイファーに奥の快感スイッチを何度も何度も叩き押されながら、スコールは絶頂した。
ドロドロになったスコールの雄から何度も白濁液が吐き出されても、サイファーは同じ場所を攻め続ける。
その内に出すものがなくなっても、スコールは果てから戻れなかった。
それでもサイファーの濃い**を何度も注がれるまで、スコールはサイファーを求める事を辞めなかった。




 『ヒート』で完全に理性のなくなったスコールが落ち着いた───と言うよりは意識を手放したのは、明け方になった頃だった。
有に数時間はまぐわい続けていた訳で、流石にサイファーも疲労困憊し、終わった時には気絶宜しく意識が飛んだ。
体を重ねている最中は、『ヒート』による興奮効果もあって、サイファー自身は全く疲れを感じていなかったのだが、気分はそうでも、体の本音はそうではなかったのだろう。
そのままサイファーは昼まで寝倒していた。

 目が覚めて、サイファーは改めて部屋の惨状を見た。
スコールは惰性なので、出したものを出しっぱなしだと言うのはよくあるのだが、基本的には物そのものが少ないので、言う程に部屋が散らかるようには見えないものだった。
しかし今日は、本来は此処にない筈のサイファーの私物が溢れており、それを無秩序に持ってきたのだろうと言う事が判る散らかり振り。
主には衣類であるが、ベッドの上に集められていたのは一部で、デスクチェアの背凭れに引っ掛けられたり、床に落ちているものもある。
後で戻すのが大変だ、その前にクリーニング屋を探さないと、と昨日は忘れた思考が戻ってくる。

 重い体でサイファーは眠るスコールを風呂に入れ、諸々の片付けを済ませた。
任務明け+予定外の運動で疲れ切った体には中々の重労働であったが、こういう時の片付けは誰に頼めるものでもない。
途中、廊下で擦れ違ったアーヴァインが、察したような顔をしたのが腹が立ったので、自分の分の報告書も書くように班長命令してやった。
ええ、とアーヴァインは顔を歪めていたが、なんだかんだと人の良い性格で、貧乏籤にも慣れているから、卒なく済ませて提出するに違いない。
どうせ報告書の提出先は、今日一日は使えないのだから、猶予は十分ある筈だ。

 スコールが目を覚ましたのは、夕方になっての事。
昨晩は蕩け切った顔をしていた彼は、体中の痛みに沈んでいた。
腰が痛い、背中が痛い、腕が痛い、脚が痛い、喉が痛い、秘部については痛くはないが違和感が消えない。
そりゃあそうだろう、とサイファーは思った。
しかしそれはサイファーだけの所為ではなく、散々煽ったスコール自身の責任でもある。
それを言ってやれば、少なからず昨晩の事は覚えていたようで、真っ赤になって何も言わなくなった。

 サイファーが予想していた通り、スコールはベッドから起き上がる事すら儘ならなかったので、このまま明日まで彼はベッドの住人だ。
食事の用意やら何やらは全てサイファーが引き受け、ついでに明日の昼までは指揮官代行もする事になってしまった。


「俺は任務明けなんだが?」
「でも俺より動けてる」


 ちゃっかり面倒を押し付けてくれた恋人にサイファーが抗議すれば、スコールは布団に包まったままそう言った。
確かに動けはするが、体が疲れて怠い事には変わりない。
が、全く動けず、指揮官業務どころか、自分で食べる為に起き上がる事も出来ない人間よりはマシか。


「ったく、俺が疲れてるのはお前の所為なんだぜ。ちょっとは労われよ」
「人を抱き潰すまでヤってるような奴に労わりなんていらない」
「離さなかったのはお前だろ。俺は疲れてるって言ったのに、しゃぶって咥えて腰振ってたのは誰だっけな」
「……っ!!」


 ぶんっ、と枕が飛んできた。
それをひょいと避けつつキャッチして、勢いで行動した所為で悲鳴を上げる体に突っ伏しているスコールに返す。
スコールは苦い顔でそれを奪い取り、顔を埋めてまた突っ伏した。


「くそ……」
「俺に八つ当たりすんじゃねえよ。そもそも誘って来たのも跨って来たのもお前だろ。……お前、いつから『ヒート』だったんだ?」


 昨夜のスコールの大胆さは、確実に『ヒート』の所為だが、それにしても大胆過ぎる。
普段ならもう少し恥ずかしがる仕草が見れるので、サイファーはそれを気に入っていたのだが、昨晩はそんな慎ましさはなく、まるで飢えた獣のようだった。
部屋に作られていた“巣”から見ても、昨日からの発症ではないだろう。

 サイファーの問いに、スコールは顔を半分枕に埋めたままで答えた。


「……あんたが任務に行って直ぐ。薬は飲んでたから、仕事はちゃんとした」


 不貞腐れたような顔で言ったスコールに、サイファーはそりゃ大変だったな、と思った。
一週間前から『ヒート』が続いていたのなら、昨晩のスコールがあれだけ乱れるのも無理はない。
フェロモンを抑える薬を飲んで、日中は平静を保つ事が出来ても、夜になれば効果が切れてしまう。
眠る前に飲むのも駄目ではないが、スコールが常用している薬は効能が強い為、連続での使用は体に負担がかかって危険なので、カドワキからきつく釘を刺されていた。
だから周りへの影響も考えて、日中に効果が続くように、飲むタイミングは朝にと固定している。
その結果、皺寄せは夜に襲うようになり、おまけに今回はサイファーが傍にいなかった事で、一週間も『ヒート』が続いた。
Ω性の特徴として訪れる『ヒート』は、自分自身の意識や力ではどうにも出来ないものであり、治めるにはパートナーの存在が不可欠である。
しかしサイファーが直ぐに帰って来れない事はスコールも理解していたから、サイファーの気配がするものを集めながら“巣”を作り、自慰に耽ってずっと我慢をしていたのだ。

 スコールがどれだけ我慢をしていたのか、サイファーも部屋の片付けをしていた時に見たからよく判った。
持ち込んだサイファーの服はどれも皺と染みだらけで、乾いた蛋白質が結晶化してこびりついたものもある。
特に下着類は、サイファーの匂いが染み付いていただろうから、使用頻度も高かったようで、クリーニングに出しても取れそうにないので、捨てたものもあった。

 後で購買に下着を買いに行かなければ。
そんな事を思いつつ、サイファーは蹲っているスコールの髪をくしゃくしゃと撫でる。
唐突と言えば唐突なサイファーの行動に、スコールは眉根を寄せて顔を上げる。


「……なんだよ?」
「恋人の帰りを健気に待ってたご褒美だ」
「……いらない」


 素っ気ないスコールの言葉に、昨日はあれだけ素直だった癖に、とサイファーは思う。
口にしても良かったが、言えばスコールは真っ赤になって拗ねるだろう。
だが、言葉は冷たくても、振り払う手がないのだから、スコールが本当は甘えたがっているのは一目瞭然だった。

 昨晩の涙の名残を残した、腫れた目尻をそっと指でなぞる。
スコールは眉根を寄せたが、それも少しの間だけだった。
あやすように柔らかく目元を、頬を撫でてやれば、懐いた猫のように目を細めて、サイファーの愛撫を受け入れている。
んん、とむずがるような声が聞こえて、そろそろ寝るな、とサイファーは思った。
昨晩の疲れは勿論、『ヒート』の所為で眠る事も儘ならなかった劣情からやっと解放されて、体が本格的な休息を求めているのだろう。
予想の通りにスコールは程なく目を閉じ、すうすうと穏やかな寝息を立て始めた。
それをしっかり見届けてから、サイファーもベッドに潜り込み、スコールを腕に抱いて目を閉じる。
ひっそりとした甘い匂いを漂わせる恋人に鼻先を寄せて、サイファーも泥に沈むように眠りに落ちて行った。



Fin.

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『オメガバース』で美味しい設定だけ書きました。
自分から誘ったり跨ったりする積極的なスコールが書きたかったのです。楽しかったです。
サイファーもそんなスコールに当てられて、疲れが吹っ飛ぶ位に夢中になるけど、一夜明ければ甲斐甲斐しく世話を焼いてくれると思ってます。

(2)

[69] Re:貴方の海に沈みたい
日時:2019年09月01日 (日) 11時16分
名前:トモ  



ヒートで理性がぶっとんだスコール最高でした!!!!

オメガバ設定好きなのですけど、それがサイスコで拝見できて嬉しいです〜!
普段クールなスコールがどろっどろに溶けてしまうの良きですな…(*´∀`*)


どうもありがとうございました〜!!



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