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[85] 人外恋愛譚
榊 菜都 - 2016年05月26日 (木) 23時52分

龍人×不運女性





あぁ、またか。
菫は自分の目の前ですまなそうに表情を曇らせる婚約者と、その彼の腕にしがみつき不安げな表情を作りつつ勝ち誇ったような視線を向ける実の妹の姿に、それまでのわずかな希望が砂のように零れていくのを感じた。

幼いころからそうだった。自分の物より相手の物の方がよく見えて、何でも欲しがるという悪癖を持った妹に、様々なものを奪われてきた。
大事にしていたぬいぐるみも、友達にもらったプレゼントも、親からもらったお土産だって彼女が欲しいと言って取り上げてしまった。
そうして人から取り上げておいて、自分のものになったとたんに興味を失ったように放り投げて捨ててしまう。
そんな妹に奪われたのは物だけではなかった。
中学生の時に初めてできた彼氏を、一週間もしないうちに横取りされた。
告白したのはあちらからだったのに、妹の方が可愛いからとあっさり乗り換えた男子にひどくショックを受けた。
その男子の性格が悪かったのだと立ち直って再び恋人ができたのは大学生の時。
優しい人柄に惹かれた彼は、甘え上手な妹のアプローチにほだされて去っていった。
その後もことごとく自分の大事な物や人を妹に奪われ続けてきた。


なんで私なのだろう、なんで妹ばかりが
そんなことを思い続けるのにももう疲れてしまった。


「すまない菫…。でも百合には自分がついていてやらなきゃならないんだ。」
「ごめんね、お姉ちゃん…。でも仁志さんのこと、好きになっちゃったの…。」

その言葉もどれほど聞いただろう。自分がついててやらないと、彼女には自分しかいない…、別れを切り出される時のこのやり取りも何度目かわからない。

疲れた…。もう、疲れてしまった。

何もかも諦めてしまおう。私を見てくれる人なんて、もう…。





「すまない、よろしいだろうか。」



「ッ! え、あ」


突然、妹たちと向かい合っていた自分の後ろから声を掛けられて、弾かれたように振り向く。
考えてみればここは公園のど真ん中だ。呼び出されて話をしていたとはいえ、公共の場を陣取っていては迷惑だっただろう。

「す、すみません。お邪魔でしたでしょう…か…。」


赤、


振り向いた視線の先はその一色で一杯だった。
予想外に近い場所にいたためにピントが合わなかったために色しかわからなかったが、落ち着けばそれが両手で抱えきれないほどの赤い薔薇の花束であることが分かる。

「すみません、すぐ退きますので…。」
「待ってほしい。」

通行の邪魔になってしまったのだろうと退こうとする私を引き留めたのは、その花束を抱えた男性だった。随分と背の高いその人を見上げて思わず息を飲む。

(龍人…!)

人間社会に溶け込むために変化していても残るその立派な角と尾が、男性が人とは違う上位種である龍人であることを教えていた。薔薇と同じくらいに鮮やかな赤い髪と、縦長の虹彩を持つ金の瞳が自分に向けられている。

「え、」

突如、その男性が自らの前に跪き、その手に持った花束を差し出してくる。
突然のことにフリーズしたまま動けない私をまっすぐに見つめ、彼が口を開いた。






「一目ぼれした。どうか、私の妻になっていただけないだろうか。」







これが、後に私の夫となる人との初対面であった。




          天然一途な龍人と男運zeroな不運女性の恋愛譚




[86] クリス神父SS
榊 菜都 - 2016年06月10日 (金) 00時31分

クリス神父と学生ちゃんが既に恋人(または夫婦)設定です。
ふと寿命差を意識して恐ろしくなる神父。
夜、中途半端な時間に目が覚めると眠れなくなることってありますよね。






『鼓動』


ヒトの心臓は、寿命を迎えるまでに刻む鼓動の回数が約20億回だと言われている。
なら、こうしている間にも、彼女の心臓はその回数を減らしているのだろう。

「……。」

ふっ、と目を覚ます。まだ暗い窓の外と静かな空気に未だ夜であることを察したが、中途半端な時間に目を覚ましてしまった脳は妙に冴え、眠りへと落ちることはかなわなかった。
そのことに軽くため息を吐くと、自分の傍らで眠る彼女へと目を向ける。
こちらを向いて眠る彼女の静かな寝顔に口元が綻ぶが、同時に静かに目を閉じた姿に消すことのできない不安が首をもたげる。
いつか訪れるであろう別離の瞬間と重なる姿は、クリスにとってひどく不安をもたらすものだった。


ふと、そんな不安感の中でクリスはあることを思い出した。
何かの本に載っていた知識、『ヒトの心臓の鼓動の数は決まっている』という話。
それを思い出したクリスは、そっと彼女を抱き寄せるとその首筋に耳をあてた。


とく、とく、とく


首筋を流れる血管から柔らかい音がクリスの耳へと届く。
優しく耳を叩くその音は確かに彼女が生きていることを表していて、…それと同時に確かに別れへと時が進んでいることを知らせていた。


とく、とく、とく


柔らかい音を耳にしながら、クリスは目を閉じる。







                                  彼女の音が止むまで 後 1497708335回
                         
                                                『鼓動』







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