【広告】楽天市場から2025年大感謝祭12月19日から開催エントリーお忘れ無く

♪L( ^ω^ )┘└( ^ω^ )」♪ドコドコ!ドコドコ!♪

ホームページへ戻る

名前
メールアドレス
タイトル
本文
URL
削除キー 項目の保存


こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

[117] 世界樹の迷宮X 二次創作
榊 菜都 - 2018年10月22日 (月) 20時05分

プロローグ 『それぞれの始まり』







気づいたときには、自分は再び生まれていた。



     ある理想郷の夢   side Alastair



竜人という人と違う異形であった自分は、生まれ変わってもまたヒトとは違う存在として生まれ落ちたらしい。
セリアン(獣人)という獣を祖とする種族であったが、前世と違うのはその存在が排斥されるものではなかったというところだろうか。

自我を持って生まれ落ちて幾年、幼い頃より持たされた刀を振り続け一心不乱に力をつけた。
この前世とは違う世界の中で、彼女を探すために必要なものだと覚ったからだ。
前世の終わりを、自分は覚えていない。
あの冒涜的な神話的現象の中で命を落としたのか、それとも寿命を全うできたのか…。

―――彼女と共に生きることができたのかすら、朧げな記憶では定かではないのだ。

生きていくための力はつけた。この世界の事についての知識も得た。
必要最低限のものを身に着け、旅の準備を整えた自分は部族の長に許しを得、そうして彼女を見つけるための旅に出た。
彼女がこの世界に転生しているかは分からない。
そもそも存在していないかもしれない。


それでも、彼女を探さない理由にはならなかった。




「あ!テアさん!?テアさんですよね!!?」

しかしここまで早く再会が叶うとは思ってなかったのだが。


「茜……か?」
「はい!そうですよ!!やっぱりテアさんなんですね!!?」

ぱたぱたと【小さい手足】を懸命に動かしながら、彼女が喜びを表現する。
彼女もまた前世とは異なり、ブラニー(小人)という種として生まれ落ちていたらしい。
その名の通り小人のような彼らは、成人しても他の種族よりも体半分にも満たない。
前世では考えられないが、自分が膝をついて初めて彼女と同じ目線になるのだ。

「本当にテアさんだ…!…会いたかった…!!」

小さく小さくなった彼女がぽろりと涙を零して自分に抱き着いてくる。
小人族は家族や一族で旅をするという。身を守る術が少ないことが起因しているのだろう。
そんな中、彼女はたった一人で旅に出たのだという。
どうしても会いたい人がいる、というその理由で。

あぁ、どうあがいても自分たちはお互いの事を探さずにはいられないのだ。
首筋に縋りつく彼女を抱きしめる。前とは変わってしまった小さな体。




でも、そこから伝わる温度だけは何も変わらなかった。




Side Alastair Fin




[118] 世界樹の迷宮V 二次創作A
榊 菜都 - 2018年10月22日 (月) 20時10分






生まれ変わっても会いたいと願い続けた人と、ようやく出会うことが出来た。




     夢の終わり、旅路の始まり  side Akane




縋りついて泣いてしまったことが気恥ずかしくて、中々顔をあげられない。
ようやく出会うことができた最愛の人は、膝をついて抱きしめるという楽ではない態勢のまま、それでも身動きの一つもせずに優しく自分を抱きしめてくれている。
その何も変わらない優しさが嬉しくて、止まったはずの涙がまた零れそうになる。

自分も彼も、姿は少し変わってしまったけれど中身は何も変わっていないのだと知ることができたことが、この世界に生まれてから心にずっとあった不安を一気に溶かしていくのを感じた。



私がこの世界の生まれ落ちた時、初めに襲ったのはとてつもない不安だった。
前世の終わりは覚えていない。あの襲い来る冒涜的な事象を思い返すのは苦痛だが、そうしてなお前世の自分の終わりを思い出すことはできなかった。
そしてまた、彼の終わりも。

彼は無事だろうか、それとも自分と同じく生まれ落ちているのだろうか。

――彼は【彼】のままでいてくれているだろうか?

それに思い至った瞬間、あまりの不安にまだ赤子であったというのも合わせてか、何度も泣きわめいて今生の親を随分困らせたのを覚えている。



「テアさんに、会いたい。」

ぽつりとそんな本心を零してしまったのは、今生の兄の前でだった。
前世の兄弟ではない彼にそれを零してしまったのは何故なのか、今考えても分からない。
けれど、兄は笑うでもなく不思議そうにするわけでもなくこう言った。

「なら、探せばいいだろ?」

随分とあっけらかんと言った兄に驚いて思わず顔を見上げると、自分のものより灰色がかった空色がこちらを見つめていた。

「お前が言う『テアさん』が誰なのかは俺は知らないけど、お前がずーーーっと会いたがってるのはそいつなんだろ?」

生まれた時から、とは言わなかったが、兄の言葉にそう込められているのが分かった。

「どうして…」
「うーーーーん…。俺も似たようなもんだから、かもな。」

そう笑いながらくしゃくしゃと頭を撫でた兄は、その次の年に一人で旅に出た。

「なんとか見つけてやんないといけない奴がいるんだ。」

そう言い残して、いつもの様に笑って旅立っていった兄の背を見送り―――

私もまた、旅に出る決意をしたのだ。




「テアさん…?テアさんですよね!?」

明るい朱色の髪、金色の目、姿形は少々変わってしまってもその色と雰囲気を間違えるはずもない。



「…会いたかった…!」




縋りつく私を抱き返す手は、あの時と変わらず温かかった。





Side Akane Fin







Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】楽天市場から2025年大感謝祭12月19日から開催エントリーお忘れ無く
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板