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[135] パピミラ特異点 ネタ
神酒 - 2019年07月05日 (金) 03時53分

「マスター、聞いてくれ

 アレはオレの成れの果てでもある。
 だけどな、アレに絶対絆されるんじゃねぇぞ
 さもないと、オレはマスターを」

そう言いかけてランサー、ともは口を噤む。
否――、そうせざるを得ない状況にさせられたのだ。


『そんなに身構えなくてもいいですよ、
   
  殺す
今はそのつもりはありませんから』


「あぁ?だったら何の用だってんだ、お前の目的は」

『貴方は私でもあります、それが何を意味するかは分かっていますよね?』

目の前に現れたともによく似た人物――ミライがともの方を見やると同時にともはその場に縛り付けられたように身動きが取れなくなった。

「くっ、あぁ…、クソが……ッ!!」

『前言撤回しなさい、私は貴方の成れの果てではなく、貴方が私の成れの果てということ。』

「誰が……ッ!」

『黙りなさい』

ミライがそう言うと同時に、ともの羽に剣が突き刺さろうとしたが間一髪でともはそれを避ける。
一瞬の隙をついて呪縛から逃れたはいいが状況はあまり好ましくない。


『それは私の剣、私の遺品。』

『私は彼を、パピーを愛していた。いや、愛している。彼もまた私を愛している。なのに!どうしてそれが叶わない!?何度繰り返しても、何度人ならざる者になっても、何度ころして、ころされて、お前に成り果てても!』

『そしていつもお前はパピーを、パピエルをころしにくる。
 
 
 殺=@     
私が愛したいのに、

  愛
私が殺したいのに!』


「『なあ、マスター 聞いてくれ』」

声が重なって聞こえる。
しかしこれはきっと――ミライの声だ。


「『私と彼は結ばれる前に引き裂かれた、他者の手によって。
  
 身勝手な理由で、ころされた私。
 私は彼と共に幸せになりたかった、
 ただそれだけなのに それだけだったのに』」


此処に来る前に彼女の夢を見た。
彼女自身のものなのか、彼女の中にいる別の存在が見ている夢かは分からなかったが彼女達の夢。


「『周りが、奪っていく。何もかも。一つ残らず。
  幸せになりたかっただけなのに、幸せになりたかっただけなのに幸せになりたかっただけなのに、幸せになりたかっただけなのに、幸せになりたかっただけなのに」』

『やがて彼は私を取り戻す為に人ならざる者になりました、彼をそうした私もまた 人を堕とす存在 と言えましょう。』

『……確かに私は愚かで悪い女なのでしょう。
 だって、彼が私のためにこうなったこと≠ェ、

 こんなにも、嬉しくて仕方ないのだから。』

彼女の手が、輪郭をなぞる様にそのまま首に添えられる。

「やっぱり―――」


「私≠ヘ歪んでしまっていたんですね」


声はミライのものだった。
しかし姿は、ともそのものだった。

「あぁ、マスター
 こちらの意識で会うのははじめまして……ですよね?
 私はとも≠フ身体を借りているミライ≠ニいうものです。」
           
「とも≠ノはアレを、私を止める事はできません。
 ……いや、正確には出来るのですがそれは彼女の存在すらなかったことになってしまうかもしれない」

「私ならアレを止める事ができます
 だって、あれは私ですからね。」
 
 ミライ
『私=H』
                        ミライ
「えぇ、そうです。貴方は正真正銘の私
 だからこそ私には貴方を止める義務がある。」

「……こうして改めて自分と対峙すると彼の愛の重さというのを実感してしまいますね。
 嬉しかった反面悲しかったです、私の死を受け入れられずに暴走した彼、そんな彼の傍に居る事が出来なかった私――。」

『幸せになりたかっただけなのに』

「えぇ、私も」

『彼と一緒に居たかっただけなのに』

「えぇ、私も」

『彼を―――』

「えぇ、わかっています」

―――だって私℃ゥ身のことなんですから―――

自問自答を見ているようだった。
でも確かにそれらは別の存在で、こうして目の前には二人、ミライ≠ニいう女が存在している。




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