| [743] インターネット道場――辨道聴き書(べんどうききがき) (8)『生命の實相』第34巻より |
- 信徒連合 - 2015年10月05日 (月) 07時03分
インターネット道場――
辨道聴き書(べんどうききがき) (8)
『生命の實相』第34巻より
<上役との調和法 >
ある日、小石川の某会社につとめている支配人の次席の男が、こんなことを谷口先生にお尋ねした。
「私の会社につとめている上役は頑迷無礼頑固一徹で、少し頭が低級で、自分の考えばかりを通そうとして、自分が言い出したことは一歩も退こうとしないのです。こういう上役の心を和らげて少しはこちらの意見も通るようにしたいと思いますが、それにはどうしたらよいでしょうか?」
「上役が頑固一徹なら、そんな結構なことはないじゃありませんか。少しはお前たち考えて工夫してやってくれと言われれば、考えるのに骨も折れましょうが、上役が自分で何でも考えてくれて、その通りやれと言われるのなら、そんなラクなことはない。上役の言いなりどおりにただハイハイとやっておればあなたはよいのです。あなたの考えねばならぬところまで上役が自身で考えてくれれば、あなたは上役に感謝すべきです。それにあなたは上役に感謝するどころか、その上役に対して不平の心を持っている、そんなことではいけません」と谷口先生はおっしゃった。
するとその人は言葉を返した。「ですけど、その上役の言いなり通りにしていては会社の会計が立たなくなります。またよし、私がその上役の言いなりどおりにしようと思いましても、私の部下の者たちが、そんなことは実行できないと言って反抗するのです。課長は頭が悪い、課長は頭が悪い、そんな課長の言いなりどおりは実行できぬ、と皆の者が課長に反対するのです。私は上役と部下との中間に立って二進も三進も行かないことになるのです。」
「なるほど」と谷口先生は思案深そうにおっしゃった。「それほど皆のものが『課長は頭が悪い、課長は頭が悪い』と思いつめていたら、念の感応によってよほど頭の良い課長でも頭が悪くなります。そして皆の者がそんなに反抗しているということをその課長が感じたら、なにくそ!と云う気になって、否応なしに我を突き通してみたくなります。あなたは課長が我が強い頑固一徹な人だと言われるけれども、あなたたちみんなの心の力で課長の我を強くしているのではありませんか?」
「そういえば、そうですけれど------」とその男はたじたじとした。
「そういわなくても、そうでしょう」と谷口先生はもう一歩進んで相手の迷いを追い詰めるような調子でいわれた。「誰でも周囲の皆の者からそんなに悪く思われたら、善くなることはむつかしい。あなたは上役と部下の者の中に立って苦しい立場にあると言われるけれども、あなたほど結構な立場はない。
あなたはなぜその上役が頑固であるか、それは皆の者が上役を頑固だ頑固だと思って反抗する心の反映であることを部下に説明してあげたらよい。部下の者たちに心の法則を説いてきかせて、一人でも心理に目覚めさせてあげれば、そのことは一会社のつぶれるのを建て直すことよりもなお偉大な仕事である。
また部下の者みなが上役の意見をそのままハイハイハイハイと素直に実行するようになったら上役の頑固な気持ちはやわらいできます。反抗するから上役の感情が興奮して騎虎の勢い遮二無二、いったん言い出したことを通そうとするようになるのです。
誰も反抗しなければ、上役の心に余裕ができてみずからを顧みるようになります。そして上役の方から、『ここは君どういう風にやったらよいだろう』と部下の者の意見を問いたくなってきます。そうすれば会社もつぶれなくなるし、上役も部下の者も調和して楽しく仕事ができるようになるのです」とおっしゃった。
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