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[216] 題名:後期第2回本の交換会報告テーマ「岩波新書」〜本の「値段」や「奥付」にも着目しよう!〜 名前:坂倉 尚道(22期生) 投稿日:2010年11月19日 (金) 09時47分
報告が遅くなり大変申し訳ありません。10/19(火)に行われた本の交換会報告をします!
テーマは「岩波新書」です。
●○●紹介本リスト●○●
■先生、OB
出品者
著者名『本のタイトル』評価 購入者
-紹介コメント
※今回紹介された本の出版社はすべて「岩波新書」です
三戸先生
柳父章『翻訳語成立事情』A+ 市川
−「社会」「自由」「個人」「権利」など近代を象徴する言葉がどうしてその翻訳語に落ち着いたのか。
「Society」という言葉を「世間」として訳せずに、「社会」という新しい言葉を新たに作らざるを得なかった。
江戸と明治で人間関係がはっきりと違うことが分かる。言葉を手掛かりにして対象を認識できるということを教えてくれる、
岩波新書で一番の本。
鈴木孝夫『ことばと文化』A 衛藤
−「お湯」は英語で「hot water」。(「お湯」という言葉はない)「対象をどう切り分けていくか」で言葉は変わる。
「言葉」というものに対する認識が変わる一冊。
鈴木孝夫『日本語と外国語』A− 大野さん
−「日本語」は劣っているという批判があるが、この本を読むと「決してそうではない」ということが分かる。
日本社会、日本語に対する認識が変わる。
池上嘉彦『記号論への招待』B+ 松井
−「ボールペン」を「ボールペン」と呼ぶ必要は別にない。「言葉は区別するためにある」という認識を持つ、
「記号論」を知ると世界観が変わってくる。
貝塚茂樹『孔子』A− 安齋
−どのように社会を治めるのか。「法」に対して「徳」がある。「論語」を本当の意味で理解するには、
その当時の時代背景や孔子の人物像を知らなければならない。
ロナルド・ドーア『誰のための会社にするか』A− 小泉
−ガバナンスに関する本で、これほど読みやすく分かりやすいものはない。このテーマについて考える導入本としては最適の一冊。
渡辺洋三『法とは何か』B+ 近藤
−「法」抜きに「正義」の問題を考えることはできない。「ユダヤ教」「イスラム教」のような神と契約するような国は「法」の社会であるが、
日本社会はそうではない。日本人にとっての「法」とは何か。今、日本で「法」が どのように受け取られているのか。
「市場化」「グローバル化」が進めば進むほど重要になってくるテーマである。
大野さん
藤沢令夫『プラトンの哲学』A− 松井
−「正義」「哲学」に関する本を数々読んだ中で、非常に知的に興奮した理論が、プラトンの「イデア論」。
「個別的な事象から、普遍的なものの考え方や見方を導けるようになりたい」と考えている人にはうってつけの一冊。
■現役生
[評価]
出品者 著者 『本のタイトル』購入者
−紹介コメント
※今回紹介された本の出版社はすべて「岩波新書」です。
[A+]
松井 ロナルド・ドーア『誰のための会社にするか』 勝又
−「手放すのが惜しいが、まだ読んでいない人には是非読んで欲しいから出品します!」
「正義」の観点からも読みなおすことができる。
[A−]
小泉 村井吉敬『エビと日本人』 長M
−日本人にエビ嫌いはいない!エビがみんなの食卓に届くまでにどんな経緯を経ているのか。
どんな問題が起こっているのか。「環境問題」、「正義」にも関係する一冊。
中村 内田義彦『読書と社会科学』衛藤
−本の交換会で購入した本を、漫然とただ読んでいるようではまだまだ甘い!「本を読むとはどういったことなのか」
といった観点を持ちながら本を読もう!
[B+]
竹田 佐和隆光『市場主義の終焉−日本経済をどうするのか−』安齋
−ズバリ、テーマ押し!!今回の「企業の正義」の論文を作る上で、問題意識を明確に持つことができるようになる一冊。
清野 石弘之『地球環境報告U』中村
−「日本はタイタニック号です。前方に氷山が見えてもこの船は絶対に沈まない。科学的技術で容易に回避できる。
そう思っています。ですが、すでに船の周りには氷山の欠片が漂っています。」上手い表現だと思った方は一読すべし!
市川 石井淳蔵『ブランド 価値の創造』大野
−エルメス、ヴィトン、コカコーラ、無印etc。ブランドとは名前が作りだす自由な世界!読めば納得・発見たくさんあります!
小林 竹内啓 『偶然とは何か』勝又
−人はすべての情報を知った状態で、合理的な意思決定をすることはできない。
知らなかった情報から起こった出来事を「偶然」と呼ぶ。その「偶然」にどのように対処すべきなのかを考えよう。
[B]
安齋 松田浩『NHK−問われる公共放送−』竹田
−「受信料払っていますか!?」ゼミ生にアンケート。受信料を払うべきなのか否か。この本を読んで「正義」の観点で考えよう!
長M 大野晋『日本語練習帳』松井
−「五千円お預かり致します。二千円のお返しになります。」間違った日本語を使っていませんか?
正しい日本語を身につけましょう!
坂倉 大野晋『日本語練習帳』
−長Mさんに続き、本日二人目の紹介!評価も同じ。三戸ゼミに入り、文章を書く機会、読む機会が
絶対に増えたであろう二年生に薦める一冊。
衛藤 大津栄一郎『英語の感覚(下)』坂倉
−高校生に英語を教えている衛藤お勧めの一冊。「これはこういうものだから暗記して…。」が嫌いな人にお勧めの一冊。
勝又 大平健『純愛時代』小林
−本のタイトルを見て「男女の恋愛」の話と思いきや…。心に闇を抱えた精神病患者を救おうとする人達の「愛」が描かれている。
人とのつながりを再考できる一冊。
近藤 神田秀樹『会社法入門』
−正しい企業活動は何なのか?まず法律的に何が正しいのかを考えるために会社法について考えよう!
▲▽▲本日の人気本▲▽▲
本日の人気本ランキングは以下のような結果になりました!
順位 紹介者 著者 タイトル 評価 購入希望人数
1位…三戸先生 柳父章『翻訳語成立事情』 A+ 5人
2位…三戸先生 貝塚茂樹『孔子』 A− 4人
3位…三戸先生 池上嘉彦『記号論への招待』 B+ 3人
大野さん 藤沢令夫『プラトンの哲学』 A− 3人
安齋さん 松田浩『NHK−問われる公共放送−』B 3人
三戸先生が「岩波新書で一番!」とおっしゃった
柳父章『翻訳語成立事情』が最大の5人を獲得!
現役生では安齋さんが健闘しました!「NHKの受信料問題」は
大学生にとっての身近な「正義」の問題ということで、購入希望者が多かったのだと
予想されます。
(うーん。やっぱり現役生の名前が少なくて寂しいです。)
■□■感想■□■
本日の本の交換会では三戸先生から本の値段についてのお話がありました。
○三戸先生が中学生だったころの岩波新書は一冊何円だったでしょうか?
答えはなんと、岩波新書一冊「150円」!
また岩波文庫の☆1つの本(最大3つまでの☆の数で値段が決まっていたそうです)は
なんと、一冊「50円」!ゼミ生からは驚嘆の声が上がりました。
今、「50円」で本を買えたらどんなに良いことか…。
また、先生からゼミ生対するアドバイスとして頂いたのが
本を読む際に「奥付」を見るように、ということでした。
「奥付」にある「刷数」を見れば、「その本がどれだけの人に読まれたか」が分かります。
そして本を紹介する際には、「それだけ多くの人に読まれた」というだけで
大きなアピールポイントになります!
本の交換会を経験していく中で、
本の内容だけでなく、本の「値段」や「奥付」といった所にも着目し、
「本」自体に対する見識を深めていきたいと思います。
※次回11/2(火)のテーマは「講談社現代新書」です