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[30] 題名:報告の型の確認をしよう その1 名前:18期生 大野裕喜 投稿日:2009年07月03日 (金) 04時28分
現役生のゼミ報告の「型」について今一度、確認しましょう。
ゼミ報告がうまくまとめられて、それが読み手に伝わるかどうかは、個人の力量というよりも、
報告の型を意識しているかどうかによって左右されると思います。
そして報告の型について、過去の掲示板で先輩方から多くのアドバイスをいただいています。
今回の書き込みでは、報告の基本的な型をまとめると同時に、その項目について書かれている先
輩方のアドバイスのリンクを貼って、報告の仕方を確認できるようにしました。(先輩方の書き込
みは、私のまとめよりも大いに学ぶことが出来ますので、必ずそちらも確認してくださいね)
ゼミ報告を行えば、間違いなく力が付きます。
報告の型を自分の物にして、一年後には力が付いた!と実感できるようにしていきましょう。
構成
1.文献の表記の仕方
2.構造を意識してまとめる
3.記録と評価・感想を分けてまとめる
4.エピソードに語らせる
5.タイトルを工夫する
最後に1.文献の表記の仕方
文献の表記の仕方にも決まりがあります。
この機会にしっかりと確認して、同じ間違いをしないようにしましょう。
〔文献の表記の仕方〕 著者名『書名』出版社、出版年
昨年の本の交換会では、出版年は表記されていませんが、いずれも上記の〔著者名『書名』出
版社〕という形で報告されていると思います。ゼミの場でのレジュメは、上記の形でまとめら
れていますが、時折ゼミ報告では、以下のように表記されている事がありますよ。
○間違った本の表記の仕方
・三戸公「現代の学としての経営学」文眞堂選書
→書名は「」(かぎ括弧)ではなく、『』(二重かぎ括弧)を用いましょう。
・大野 『公と私』三戸公(未来社刊)
→本の交換会で『公と私』を紹介したのは私ですが、『公と私』を書かれたのは私ではなく、
三戸公(先生)です。上記の表記の仕方では、著者が大野になってしまいますよ。著者名は、
書名『公と私』の後ではなくその前に書き、そして紹介者と著者名を分けて表記しましょう。
【過去の掲示板書き込み】
・太田さん「Re:「文献の表記方法」(2007/04/17)」
・太田さん「「出版社名」表記のお願い」(2007/06/03)2.構造を意識してまとめる
文章が長くなると、どうしても読みにくくなってしまい、内容を理解するのに苦労します。
相手が読み進めていく中で、苦労する事無く内容を理解できるよう、文章が長くなるようならば意識
的に番号をふるなどして、全体の構造を掴めるようにしましょう。
○「記録」としての繋がりを意識する(勉強内容の整理の仕方)
勉強内容のまとめ方は、色々ありますが、以下の観点からまとめる事で、内容が簡潔に整理
されると共に、勉強の「連続性」、「蓄積」が把握できるようになります。
@)「前回の内容」、「今回の勉強」、「次回の課題」
A)「先生のお話」、「レジュメの評価」
⇒@)のようにまとめることで、内容が整理されると同時に、その前後のゼミでの勉強内容との
繋がりが明確になって、「記録」としてより充実したものになる。
⇒A)のように「先生のお話」と「レジュメの評価」を継続してまとめることで、レジュメの
書き方や議論の場において何が評価され、何が求められているのかが明確になり、蓄積される。
○視覚的な工夫をする
文字の大きさを変えたり、太字やイタリックを駆使する事で、視覚的に「全体の構造」を容易に
理解できるようにすると共に、「重要な箇所」を強調して、読み手にその内容が伝わるようにする。
【過去の掲示板書き込み】
・太田さん「Re:ゼミの活動報告について」(2007/04/24)
・佐々木さん「Re:【2009年度第1回ベッティング】参加します。」(2009/05/10)
ここで、参考に第10回のゼミ報告の勉強の内容を、段落を意識してまとめたいと思います。
報告の内容については、報告者が書かれたものとほとんど同じです。それを「1.今週の課題」、
「2.議論の内容」、「3.次週の課題」、「4.先生のお話」の大きく四つに分けて(それぞれに
ついて更に番号をつけて区切る事ができます)まとめてみました。
もちろんまとめ方は1つの例であり、それが絶対ではありません。その報告がどのようなもの
か、どのような議論が行われたのかを考えて、各自読み手がその内容を理解できるよう工夫して
欲しいと思います。
<参考:第10回ゼミ報告(2009/06/23)のV、勉強他>
*************************************V.勉強
―三戸公『現代の学としての経営学』(文眞堂選書)、第8章「日本株式会社の特殊性」―
1.今週の課題
課題1:「資本」の論理における支配者、被支配者は誰か、そして両者の関係は労務上の契約関係か。
課題2:テキスト(P.187,L2)における
「現代日本そしてまた先進資本主義国といわれる国々は、いずれも財産中心社会=個人所
有にもとづく支配の社会=資本主義社会の内部に組織中心社会=機関所有にもとづく経営
者支配の社会=管理社会が生れ、」(P187 L2~)の理解
2.議論の内容
課題1:「「資本」の論理における支配者、被支配者は誰か、それは労務上の契約関係か」
はじめに@の議論について司会の小泉さんを中心に各班の意見をまとめたところ支配者は株主、
被支配者は従業員にあたるということになった。また両者間の関係は様々な意見が出たが、そ
もそもこの問題が原典にあるものではなく、タケプロ独自の考えにもとづいていたため、支配
者が誰であるかということを明らかにしたことで終わった。
課題2:「テキスト本分の理解」
次にAの議論を渡辺さんの司会を中心に各班の意見を確認していった。議論を進めるうちに、
支配という言葉にあたって、その正当性がどこにあるのかということが論点になっていきそれを
もとに各意見を主張しあうことがあった。結果各班とも意見がまとまり、次回からは再度8章の
確認に移ることとなった。
3.次週の課題
次回からは再度8章の確認に移ることとなった。
4.先生のお話
(1)論文が書かれた時代を意識する
議論の際三戸先生からご指摘があり、論文を読む際、論文というものはその時代(論文が書か
れた時代)を背景にその問題を解くために作られる物だ。だからこそ、論文を理解するにはその
時代、背景を考えながら検討していかなければならないアドバイスがありました。
(2)司会と書記の役割設定
また今回からは各班に司会者と書記を立て、議論ごとに司会者を班ごとに交代し、その司会者
が話を進めていき、議論が行き詰ったところで書記が議論の再確認を行うといった形がとられる
こととなった。
(それと「X、括目」は「括目」ではなく「刮目」です。削除キーを入力してたら、編集し直しておきましょう)
************************************
勉強の内容を段落に分けないでまとめた場合には、全体の構造をうまく整理する事が難しい為に、
何を書いたらよいのか、そして何が不足しているのかを十分に認識する事が難しいと思います。
上記のように、段落をつけて整理することで、例えば、「2.議論の内容」はそれで十分であったかどうか、
そして「4.先生のお話」の(1)論文が書かれた時代を意識する、はこの書き方で読み手に
伝わるかどうかに気付き、確認する事ができます。
せっかくゼミ報告を行うわけですから、文章が長くなるようでしたら、段落を付けて整理し、
全体の内容を理解できるようにしていきましょう。
(「報告の型を確認しよう その2」に続く)