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[254] 題名:今週のゼミで学んだこと(第1回) 名前:中村貴治(20期) 投稿日:2011年04月16日 (土) 05時49分
「三戸ゼミナール掲示板」にも投稿しましたが、これから毎週「ゼミで学んだこと」を投稿していきたいと思います。
今回で方向性が固まったわけではありませんが、他の投稿とかぶらないよう、調整していきたいと思います。
今回は、「■今週のゼミで学んだこと■」、「◇今週のゼミトピック◇」、「◆今週の一冊◆」です!
■今週のゼミで学んだこと■(先生のお話から)
1.意味は差異に生じる。「自分から見て同じに見える、理解ができない」ことだからこそ、
学ぶ機会がある。
2.日本社会は<陰徳>であった。現在それが失われつつあることに留意しなくてはならない。
1.意味は差異に生じる
(1) 若者のファッション
意味は差異に生じるものである。一見すると同じように見えるファッションでも、メーカーや
色合い、ステッチなど、ある部分において微妙な差異がある。「何もかもが違う」のでは意味がない。
「ほとんど同じ」であるからこそ、差異が際立ち、明確となる。一見すると同じように見える
彼らのファッションは、一点において彼らの個性を主張するものとなっており、自己のアイデン
ティティを確認するものとなっているのである。
※まだピンとこない世代の方は、”若者のファッション”を、”学生時代に見ていた社会人の
スーツ”に置き換えるとわかりやすいのではないでしょうか
(2) 「自分が理解できないもの」に対する知性の使い方
「同じようなものにおける差異」ということがミソである。はたから見れば、差異を差異として
すぐには認識できないからだ。自分から見て「同じではないか」と思った時にこそ、どこかに
差異が生じていることに注意を払わなくてはならない。「自分に理解できないことである、だから
相手は愚かである」と判断することはできない。「自分には同じに見える、何がいいんだ」と思う
ことにこそ、自分のまだ知らないロジック、世界が秘められているのである。
2.日本人の<陰徳> 〜<陰徳>の消えゆく社会〜
石川遼、柳井正、孫正義らが相次いで多額の寄付を発表し、注目されている。メディアの報道は
これを称えるものであり、これまでどこかに伏流していた冷笑したり揶揄するような調子は感じ
られない。これを旧来の相互扶助的な共同体としての日本に回帰する兆候と指摘もあるが、
そこには「<陰徳>が無い」という違いがあるのではないか。
日本は<陰徳>であるからこそ(嫉妬もあるが)、「寄付をします」という人に対してどこか冷ややか
でもあった。被災者が人知れず耐え忍ぶ姿は、必ずしも見返りを求めない<陰徳>と底流において
つながっている。<陰徳>が無くなれば次の大災害時には互いに略奪する姿があるのかもしれない。
今、国内外より「美しい」と言われ称えられる社会は無くなるかもしれない。寄付自体を批判できる
ものではないが、<陰徳>が消え行く社会であるという問題意識は持たねばならない。
◇今週のゼミトピック◇
○ 三戸浩、池内秀己、勝部伸夫『企業論 第3版』(有斐閣アルマ) 出版!!(4月18日 発売)
三戸先生が池内先生、勝部先生と共著された『企業論』の第3版が出版されます。全体の原稿は
今年の一月にあがっていたそうですが、先月の東日本大震災を受けて急遽折り込みを付け、
【緊急コラム】として「東京電力・福島第一原発事故」を扱っておられます。(※下記の【追記】をご覧ください)
この大災害のときにおいて、経営学として我々は何をどのように学ぶのか。『企業論』の内容に
即して考えられるように、16項目にわたって(!)端的に問題提起が為されています
(電力事業の社会的責任、私企業と監督省庁、雇用の問題、等々…)。
ゼミでもこの頃、「この大事故・大事件にあたって如何に学ぶか」ということが口に出されます。
三戸ゼミ生にとってまさしく必携の一冊ですが、是非、強い意識をもって学んでいきましょう!
【4月20日追記】
この「折り込み」は『企業論』のテキストを使っている先生方にのみ配られた
ものだということで、通常の購入方法では入手できないもののようです。
誤解を招く記述をしてしまい、大変申し訳ありませんでした。
もしこの「折り込み」を希望される方がいらっしゃれば、先生にメールでその旨を
お伝えいただければ、先生から郵送して頂けるということです。
もし、ご期待されて購入された方がいらっしゃいましたら、誠に申し訳ありませんでした。
重ねてお詫びを申し上げます。
◆今週の一冊◆
○ 内田樹『街場のアメリカ論』(文春文庫)
最近ゼミでもにわかに注目の著者、内田樹。先生も既に5冊程読まれているそうですが、
「今のところこの『街場のアメリカ論』が内田樹で一番ではないか」とのこと。特に
「まえがき」は出色であるとのお墨付きです!
(ゼミでも次週、「テキストの読み方」として取り扱う予定です!)