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[58] 題名:2009年度三戸ゼミナール夏合宿報告 勉強編 「ウチ・ソト論の検討」 名前:中村貴治(20期生) 投稿日:2009年10月05日 (月) 22時48分
【日時】平成21年9月22日(夏合宿一日目15:30〜18:00)
【勉強テーマ】「ウチ・ソト論」の検討
【報告班】毅無双、M屋1.はじめに
(1)昨年度学んだウチ・ソト問題
昨年度では、三戸公『現代の学としての経営学』(講談社学術文庫)をテキストとして用い、
ウチ・ソト問題について以下のことが確認されている。
○「ウチ・ソト」とは意識、主観の問題である。
○「ウチ・ソト」とは、以下の内容である。
・利害共有の観点
・仲間として遇しているかの観点
・大切に扱っているかの観点
(2)今年度のウチ・ソト問題
今年度は勉強では、討論会に向け大きく「家の論理」・「現代日本企業の実態」・「若者論」・
「ウチ・ソト問題」の四つを扱っていく。
「ウチ・ソト問題」と一言で表しても、我々が昨年度扱った公害問題、非正規社員問題に
代表される「組織のウチ・ソト問題」に留まらず、広く考えれば人種差別や、若者の間に
あるイジメなども「ウチ・ソト問題」と考えられる。今後の勉強においては、他の3つの
テーマとの関わりの中で我々がどの「ウチ・ソト問題」扱っていくのか意識しながら
勉強を進めていくことが、効率的な勉強の鍵となるであろう。
2.各チームレジュメ概要
○毅無双レジュメ概要
1)「ウチ・ソト問題」の具体的事象、諸特徴(人種差別、公害問題、大学問題、いじめなど)
⇒「ウチ・ソト問題」が多岐にわたり、我々が問題とするウチ・ソト問題の内容を
明確にする必要があることを確認。
⇒列挙された事象から、毅無双の考えた「ウチ・ソト問題」の諸特徴を提示。
→「ウチ・ソト問題」は、「潜在的ウチ・ソト問題(意識・主観の問題)」 と
「顕在的ウチ・ソト問題(実態・現象として現れるもの)」に分けられる。
2)ウチ・ソト問題と家の論理
⇒家の論理から考えられるウチ・ソト問題の要因として、以下の四つを挙げ、
その問題の内容をまとめる。
・家の性格(運命共同体)
・家族と非家族
・家の目的(維持繁栄)
・格(階統制、同族団、企業間)
3)世間とは何か
⇒“補”として、鴻上尚史『「空気」と「世間」』(講談社現代新書)をウチ・ソト問題への
手がかりとしてまとめる。
4)今後の課題
「ウチ・ソトとは何か」については、課題として提示するに留める。
○M屋レジュメ概要
1)何がウチソト問題を決めているのか
⇒毅無双と同じく『「空気」と「世間」』を用いて、
「ウチ・ソトとは何か」に対し、
ウチ →「世間」=「自分に関係のある世界」
ソト →「社会」=「自分に関係のない世界」
と定義。
世間を形作る3つの要因として、
@贈与・互酬の関係
A長幼の序
B共有の時間意識
を挙げる。
2)日本的経営特有のウチ・ソトとは
⇒ 家に属するもの=家族がウチであり、属さないもの=家族以外のものはソトである。3.議論の要点
(1)毅無双レジュメ:「潜在的ウチ・ソト問題」と「顕在的ウチ・ソト問題」とは
21期生大平から、毅無双がウチ・ソト問題の諸特徴として挙げた「潜在的ウチ・ソト問題
(意識・主観の問題)」と「顕在的ウチ・ソト問題(実態・現象として現れるもの)」の内容について
質問が為された。
毅無双から回答として、“KY”を用いて説明が行われたが、納得のいくものにはならなかった。
昨年度のゼミで「ウチ・ソトとは意識、主観の問題である」とされたにもかかわらず、
今回毅無双があえて別に実態・現象としての「顕在的ウチ・ソト問題」を挙げた納得性が
得られなかったのである。
「ウチ・ソトとは何か」、そして「ウチ・ソト問題とは何か」が明確に詰められていない
段階でその区別にはいってしまったことが問題として考えられたため、続いてその問題に
触れているM屋のレジュメの検討に入った。
(2)M屋レジュメ:ウチ(=世間)→「自分に関係のある世界」、ソト→「自分に関係の無い世界」
M屋のレジュメには「ウチ・ソトとは何か」の回答にあたる箇所があった。
ウチ →「世間」=「自分に関係のある世界」
ソト →「社会」=「自分に関係のない世界」
そして、世間(=ウチ)を形づくる3つの原理(@贈与・互酬の関係、A長幼の序、
B共有の時間意識)である。
「自分に関係ある世界」というのが、3つの原理とイコール関係にあるのか、3つのうち
1つでも欠けると「自分に関係のない世界」となってしまうのか、など検討が必要な部分を
有しながらも、我々は今回紹介された3つの原理に有効性を感じ、昨年度のよう言葉を以下の
ようにまとめなおした。
@贈与・互酬の関係 → 利害関係
A長幼の序 → 序列関係
B共有の時間意識 → 仲間関係
(Bに関してはまだ検討の必要がある)4.結論・課題
今回の勉強では、毅無双の具体的事象からの考察というアプローチや、M屋の「世間」の
観点など、将来性を感じながらも、「ウチ・ソトとは何か」、「ウチ・ソト問題とは何か」に
対する答えが満足に詰められていなかったため、充分な議論ができなかったといえる。
「ウチ・ソトとは何か」、「ウチ・ソト問題とは何か」に関して明確にすることを、毅無双、
M屋の両チームへの後期に向けた課題とし、更に今後の勉強おいても「ウチ・ソト」に
関わりそうな箇所には注意して進めることを確認して、夏合宿における「ウチ・ソト問題」の
検討の勉強を終了とした。
三戸先生レジュメ評価
毅無双: 4点
M屋 : 3点 (10点満点)
■□感想□■
〜これぞ三戸ゼミ夏合宿!〜
当初30分で終わらせること予定していたのは何だったのだろうと思わせるほど、
開会式直後から熱い議論が交わされた。納得できないところには徹底的に突っ込む、
三戸ゼミらしさを象徴するような時間であり、そういった意味では夏合宿一コマ目に
ふさわしい内容であった。
〜勉強幹事として〜
とはいえ、勉強の内容には収穫を得ながらも、レジュメの点数に表れているように、
幹事としては反省も多いところである。
「ウチ・ソト問題」というテーマ自体が抽象的かつ、デリケートな問題であるということも
一因であろう。しかし、今回の一番の問題点は、各チームが何を一番に明らかにしなければ
いけないのか、勉強のコンセプトを幹事が明確にしきれなかった点にある。
それ故に「ウチ・ソトとは何か」、「ウチ・ソト問題とは何か」という、最初に明確にすべき
問題を避けたまま学習を進めてしまったといえる。
今回のことは大きな反省とし、今回に限らず、常に課題とコンセプト見据え、
熱と内容の両方がこもった勉強を行っていきたいと感じた。